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ちょっといっぷく その169 [付記]

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

本編を四話ほどお届けしました。
夏期講習が明け、お盆に悲しい別れがあって、いっきが夏休
み後半戦をどうしのぐか。

勉強にしっかり集中したいところなんでしょうけど、いろい
ろ起こることはいっきの事情を一切勘案してくれません。

それらをこなしながらの後半戦スタートになりました。


           −=*=−


第八十一話。
家族全員がお世話になった大叔父の葬儀に、父親以外誰も出
席できない。
いろいろな厄介ごとが並行して動いているので、仕方ありま
せんね。

悲しさを紛らわせようと出かけて巴伯母さんに捕まったいっ
きは、しなければならないことを後回しにしてしまった後悔
にどやされるようにして、弓削さん案件への助力を切り出し
ます。

それは純粋に弓削さんの今後を案じてというよりも、多くの
人を巻き込んでもつれてしまった運命の糸を丁寧に解きほぐ
すため。
そうしなければならない義理は何もないんですが、辛かった
時に心を支えてくれた大叔父勘助の暖かさを、いっきは決し
て忘れないんです。

できることはすぐしよう。
受験が控えているから何もできない……そう言い訳せずに、
いっきは機敏に動きます。


第八十二話。
自分や実生と、親との距離感の微調整。
そして、後輩と中庭との関係の微調整。

微調整がテーマでした。

なにもかも原点に戻して修正するってことは、誰にもできな
いわけで。
今立っているところから前後を見据え、少しだけ立ち位置を
調整する。
そういうプロセスを見ていただけたかなと。


第八十三話。
二年生の夏休みにしゃらと激しく揉め、大きな心の傷を負っ
てしまったいっきですが、親や会長とは違ったスタンスで
いっきの安全柵を務めてくれたのが、設楽寺住職の光輪さん。
その光輪さんと若奥さんの間に、第一子の女の子が生まれま
した。

いっきもしゃらも大喜びなんですが、同時に、重い過去を背
負っている光輪さん夫婦の今後が心配になってしまいます。
光輪さんは、これまでいっきたちに詳しく明かさなかった自
分の過去をフルオープンしましたからね。

過去を清算せず、その重荷を背負ったまま自分の子供と向き
合う。
覚悟だけでこなせることではありません。
いっきはそこに、持って生まれた業の深さ、重さを思い知ら
されるのです。

光輪さん夫婦だけでなく自分たちにも、同じように業がある
のですから。


第八十四話。
テーマは縁です。

切らなければならない縁。
切ってはならない縁。
新たに結ぶ縁。

弓削さんと、弓削さんの実父であることが判明した田中とい
う粗暴な男。
いっきやしゃらは、決してそいつとの縁を結びたくはなかっ
たでしょう。
でも弓削さんの将来を少しでも明るくするためには、新たな
縁の創出だけではどうしても足らないんです。

一度物理的に切れてしまった親子の縁を、どこかで結び直す
チャンスを作る。
いっきはうまくできたかどうか不安だと言っていましたが、
過不足なしのぴったりだったかと。

ただ、伯母の巴がそう評価しなかったのは、ぴったりなのは
今だけだからです。
これから時間を重ねていく間に、失われてしまう縁がどうし
ても出てきてしまいます。

縁を結ぶのは簡単だけど、それを結び続けるのは大変。
田中の代わりに弓削さんの母親の墓参に行った三人は、善悪
を問わず誰もが時代の流れに翻弄されている現状を見て、ひ
どく複雑な心境になったでしょうね。

それでも。
『今』を繋がないことには、何もできません。
いっきたちの苦闘は続きます。


           −=*=−


さて。
このあと第八十五、六話と二話続けたところでいっきの高校
最後の夏休みが終わりになります。
楽しいこと、厄介なことがそれぞれ一つずつ。

それを読んでいただいたところで、またしばらく本編を休止
いたします。



ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽に
コメントしてくださいませ。

でわでわ。(^^)/




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「怒髪天というのを表現したかったんだ」

「どう見てもそう見えんよ」

「うん。オーラが散漫すぎ」




(^^;;





すっかり秋の空になりましたね。(^^)



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