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てぃくる 1100 最後に残っているのは [てぃくる]


「そう、あれだよ。ドロップの缶。空っぽになったと思って、逆さにして叩いたら。ぽこっと一個出てきたみたいな」
「いいねー。それがハッカの白いやつだったら最高」

「うん。そのイメージで最後に残ってるやつを見たんだ」
「白いハッカみたいじゃん」

「見た目はね。でも、こいつは逆パンドラだよ」
「は?」

「パンドラが開けちゃった函に最後に残っていたのは『希望』だろ?」
「ああ、そう」

「最後に残ったこいつは『災厄』だ」
「げ……」



tek.jpg


 そこまで言われる筋合いはないと猛抗議されそうですが。
 テイカカズラはものすごく厄介なつる植物でして。地面を這い回ればうっとうしいし、木に這い上ればモンスターグリーンと化します。
 園芸用のゴシキカズラ(テイカカズラの多色品種)はきれいなんですけどね……。

 ちなみに巨大なタンポポ綿毛みたいなのは、テイカカズラの種子です。結構長距離飛ぶみたいで、一度発芽してつるを伸ばし始めると駆除が難しくなります。

 テイカズラは地面を這っている間はまず開花・結実しません。木に登ってでかくなると花と実をつけるんです。でも、花を見たいからとうかつに地植えにしないようにしてくださいね。式子内親王への執着で墓に取り憑くカズラと化した藤原定家の名を冠しているのは伊達ではありませんから。(^^;;





  妄執は右巻きか左巻きか






Obsession by OK Go




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てぃくる 1099 虎は死して皮を残す [てぃくる]


「虎は死して皮を残す、か。でも現実にはありえんよな」
「腐って跡形もなくなるよ。普通は」

「つーことはなんだ。皮を剥がれて、なめされて、敷物にされたから残るっつーことだよな」
「それを残るとは言わねえよ

「じゃあ、俺たちの方が偉いってことだな」
「え? 俺たちだって腐って消えるけど?」

「いや、ちゃんと残るんだよ」
「なにが?」



ssk.jpg




ガラス





 ススキだけでなく、イネ科の植物にはケイ素を溜め込んで構造を強化するものが多いんです。わたしたちが食べているお米。そう、イネもそうなんですよ。ケイ素が足らないと植物体が軟弱になるので、環境によってはケイ素肥料を与えたりします。

 植物体内のケイ素はプラントオパールというガラスのような物質になることが多く、ガラス様物質ですから簡単には風化しません。つまり、ススキのようなイネ科植物が群落を作っていたという歴史が土の中のプラントオパールでわかるということなんですね。
 プラントオパールは植物種によって独自の形状を示すので、生えていた植物の種構成推定にも役立つようです。

 ちなみに。ススキにもたっぷりケイ素が入っていますので、枯れているからと油断すると手が切れます。(^^;;

 ススキは枯れてガラスを残す……なんですよね。





  割れ硝子の下には春が早く来る






ブルーグラス by 美波




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てぃくる 1098 油断は禁物 [てぃくる]


「なんかよう、俺たち、めっちゃ軽視されてないか? こんなぼけっぱあに撮られてよう」
「んだ。すっげえ腹たつ。ちゃんと帽子脱いで挨拶してるのに、シカトこきよるし」

「じゃあ、遠慮なく逆襲させてもらおうぜ」
「そうしよう」


muk.jpg


 いやあ、強烈な逆襲でしたね。ムクロジの実を踏んでぶっこけてしまいました。果皮にしわが寄っていたのでのでつい油断しました。中のタネは羽根つきの羽の黒玉にするくらいで、半端なく硬いんです。踏んだくらいでは割れも砕けもしせん。ですので、うっかり踏むと足をくじいてしまいます。

 でね。もう一つ逆襲を食らいました。
 果皮はするっと剥けるので、どんな味なのかなあとぺろっと舐めてみたんですが……えぐかったです。(T^T)
 そりゃそうですよ。果皮は多量のサポニンを含んでいますから。界面活性作用が強いので、古来から石鹸の代わりに使われてきたようです。

 果皮と違い、黒い種子の中身は炒って食べるとおいしいそうです。殻を割るのが大変なので、試す気はしませんが。(^^;;





  意思は堅いが石には勝てない






Stomping Grounds by Bela Fleck And The Flecktones




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てぃくる 1097 筆を立てる [てぃくる]


どれほど筆を振るっても
墨を含まねば字は書けぬ

だが
墨で汚すにはあまりに惜しい青空じゃ

されば
一時筆を立てようぞ

何をどのように書くか
想を練りながら




met.jpg

 二月も後半。
 暖冬予想が当たって、ぽかぽか陽気が続いていますね。
 寒さの苦手なわたしにはありがたいのですが、反動が夏に出なければいいなと。昨夏の猛暑は心底堪えましたので。

 それと。季節外れのぽかぽかは生物季節を狂わせます。気のせいか、メタセコイアの冬芽も心なしか膨らんできたような。おいおいそれはあまりに気が早いぞと、慌てて突っ込んでみたり。

 寒いなら寒いなりに。
 暖かいなら暖かいなりに。
 いろいろありますな……。





  春の雨 墨の匂いを漂わせ






Calligraphy by Grant West & Lilly Mae Stover



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てぃくる 1096 頭髪検査、やばくないか? [てぃくる]


「おい、おまえ、その髪やばくねえか?」
「うあ?」

「うあ、じゃねえよ。もろ違反じゃん! バリカンで刈り上げられちまうぞ!」
「むぅ」

「危機感ねえやつだなあ」
「てか」

「うん?」
「俺、どこが頭かわからん」



kdt.jpg


「頭髪……でないと言い張るわけだな」
「いや、ただ黙ってる」

「大丈夫なのかあ?」
「ニンゲンだって思われてないしぃ」



(^^;;






 キヅタの気根は、びっしり生えるとかーなりキモいです。
 全部が幹への付着に使われるわけではないので、無駄が多いなあと思うんですけどね。

 ちなみに半端なく毛量が多いので、バリカンで全部刈るのは無理でしょう。(笑





  春の陽を白髪の上で玉結び







Hairy Trees by Goldfrapp




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てぃくる 1095 チョコの作り方 [てぃくる]


「バレンタインでしょ? 手作りチョコ、いいかなーと思ってさ」
「おいしく出来てたら、喜ぶよ」

「なによ、それ。わたしにそんなの絶対できないみたいな!」
「じゃあ、作り方言ってみ」

「ええと。てきとーな板チョコをばりばり割って、丼に入れる」
「……(この時点で、もう絶対にアウト)」

「それをレンチンして、どろどろに溶かす。とかしたやつを氷水に浸けて冷やす」
「それって、丼型のチョコになるよな」

「質より量よ」
「あほー。歯が立たないだろ」

「てか、うまく固まらなかったんだよねー」
「加熱しすぎて分離したんだろ。で、どうしたんだ?」



vlt.jpg

(オオミノコフキタケの断面)





コンクリート流し込んで固めた







 削岩機がないと砕けないものはさすがにアウトでしょう。チョコフレーバーのコンクリートを誰が食べるのか、大いに興味あるところですが、わたしは遠慮しときます。(笑

 ちなみに、画像のきのこはコンクリート製ではないものの、歯が立たないと思います。もちろん、チョコ味もしません。身体にはいいかもしれませんが、試す気はしません。(^^;;





  恋人たちの守り神は無情にも
   恋人たちにチョコの試練を課す






Chocolate Song by Tori Amos



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てぃくる 1094 引っかけ [てぃくる]


「いきなりバカにされたら?」
「怒(いか)る」

「船が停泊する時に投げ落とすのは?」
「イカリ」

「イっちゃってる阿呆は、◯ぽんち」
「いかれ」

「納得してないやつを強引に引きずりこむには?」
「いいからいいから」



sme.jpg


「じゃあ、この鳥は?」
「シメ」




だーかーらー!
なぜぼけるんだっ!


(^^;;





 というわけで、シメではなくイカルです。
 黒い頭に黄色のぶっといくちばし。
 覚えやすい鳥だと思うんですが、わたしはほとんど出会ったことがありません。かわいいんだけどなあ……。




 冬の探鳥は初心者向けだと言われたが
  変温動物の私にはきつい






Hooked by Toto



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てぃくる 1093 いいかげん [てぃくる]


「おおーい」
「なんだー」

「もう咲いていいのかー?」
「いいんちゃうかー」



rob.jpg


「どのくらい咲いていられるんだー?」
「好きなだけー」

「っても、萎れるだろー」
「次が咲けば問題なしー」

「じゃあ、満開がいつかわからんだろー」
「満開になって喜ぶ人はそうそうおらんと思うぞー」

「そっかー」
「そだー」



◇ ◇ ◇




 いつの間にか咲いて。
 いつの間にか盛りを過ぎる。
 梅や桜が次々に咲き継ぐ頃には、蝋梅の木がどこにあったかすら定かでなくなる。甘く漂っていた芳香も、記憶には色をつけることができない。

 蝋梅の花は、春を告げるにも春を染めるにも淡過ぎるのだろう。いいかげんがわからず、いいかげんにしか咲かない。まあ、それがいいかげんというものなのだろう。





  蝋梅の咲き切ってなお二つ三つ






Early Spring by The Michael O'Neill Quartet



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てぃくる 1092 寄るな触るな弾けて飛ぶぞ [てぃくる]


 見た目のインパクトは強烈なんですが、見た目ほどはちくちくしないノゲシのロゼット。



nog.jpg


 じつは食用になるんですよね。若葉と若い茎が食用部位で、茹でたあと水に晒して苦味を和らげ、歯触りとほろ苦さを楽しむそうです。

 ただ、茎にはところどころに隔壁があり、丸ごと茹でると爆発するそうな。
 まさに弾けて飛ぶ……ですね。お湯ならまだしも油にそのまま投入すると大惨事になりますので、決して試さないようお願いします。(^^;;

 そういや棘の凶暴さでは一二を争うアメリカオニアザミも食用になるんですが、採取するには棘が……ねえ。怪我をするので、こちらも手出しはやめときましょう。(^^;;





  薄氷(うすらい)に映らぬ人の顔を描く






Where the Thistle Grows by Bonnie Grace



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てぃくる 1091 背中合わせ [てぃくる]


「すごくいいことがある時って、背中合わせに落とし穴があるんだよな」
「落とし穴?」

「そう。たとえば、宝くじの一等前後賞が当たったーっ! って身震いして」
「組違いね」

「んだ。憧れの彼女がにこやかに手を振って走り寄ってきて」
「隣の男に言うわけだ。待ったー?」

「うう。すごく楽しみにしていたコンサートにキメキメで出かけて」
「チケットが前日のだった、と」

「ゲームの難局面をやっとこさクリアして、さあ次のステージだっ! って喜んだら」
「セーブを忘れてどつぼった、と」

「そんな風に、いいことには背中合わせに不幸もついてるわけ」
「で? 何が言いたい?」



hir.jpg


「ヒラタケが大量発生してて、舞い上がって喜んだんだけどさ」
「ほう? うまそうじゃん」

「でしょ? でも、前の日がめっちゃ寒くて、凍ったらしい」
「……腐ったか」




(T^T)





 きのこの冷凍保存はできますが、凍ったのが溶けてしまうと傷みが一気に進むんですよね。日干しの方がまだまし。がっかり……。





  そういえば冷凍みかんを見なくなったな






Frozen Heart by 8bite



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