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てぃくる 1063 末期の水 [てぃくる]


 わいなあ、もうそろそろあかんねん。
 落ちる前に、末期の水飲ましてえな。



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 オオスズメバチが樹液を舐めに来ていました。
 夏の盛りであればコガネムシやカブトムシと場所取り争いになるところですが、すでに彼らはあの世。スズメバチもやがて落ち蜂となり、骸(むくろ)が地に転がります。

 ちなみに樹液を出しているシラカシの木も、カミキリムシやキクイムシの被害で気息奄々なんです。傷口から菌類が蔓延するので、遠からぬうちに枯れるか折れてしまうはず。

 その予想通り、この画像を撮ってしばらくして蜂の姿は全く見られなくなりました。樹液を出していた木は、危険だからと伐倒されてしまいました。

 蜂と樹木。末期の水を分け合ったということになるのでしょうね。





  朝寒や眼(まなこ)閉ざせぬ蜂往ぬる







Last Drink by Daniele Luppi & Greg Gonzalez



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てぃくる 1062 球 [てぃくる]


自分は球でありたいと思う


どれほど輪郭が不鮮明でも

端がみっともなくほつれていても

志は曲げずに

球でありたいと思う



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なぜ球になりたいのかと聞かれる

理由は単純だ


球はどこから見ても

球だからだ






 エノキの大木。
 競争相手がいない孤立したエノキは、上下ともこんもりと枝葉を茂らせて、まるで球のような堂々とした姿を見せます。

 ケヤキも大きな樹冠を形成しますが、孤立木でも枝葉がもっと斜め上に広がる傘型になることが多く、エノキとはちょっとタイプが違う樹形になりますね。

 もちろん、若木のうちからこのような球形になるわけではありません。まだ背が低いうちは上へ上へと伸びますので、痩せっぽちのっぽのイメージ。それが勢いを得て大木に育って周囲の木々を睥睨するようになると、樹形が球のように変わる……おもしろいなあと思います。





  水滴と水玉の違いを議論する






Sphere by DJ Okawari




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てぃくる 1061 おいしそうですね [てぃくる]


「今年は猛暑だったけど、その分ぶどうが甘くなっておいしかったですねえ」
「ええ、そうですね」

「高級品だったシャインマスカットが手頃な値段になったのも嬉しかったけど、やっぱり王道の黒ぶどう系が好きでしてねえ」
「なるほどー」

「巨峰系……巨峰とかピオーネとか藤稔とかもいいんですが、少し粒が小さいベリーAがまたいいんですよ」
「ほーほー」

「あの……察していただけませんか?」
「なにを?」

「いえ、おいしそうなものを目の前にぶらぶらされると、ほら、つい手が伸びそうになるじゃないですか」
「ああ、これは気が利きませんで。お好きなだけどうぞ」

「え? いいんですか?」
「うちでは誰も食べませんので」

「なんともったいない。こんなに良形で。色も見事だし、ブルームが吹いて甘そうなのに」
「小さいですから」

「では、遠慮なく」
「どうぞどうぞ」


atd2.jpg


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ぐわあああっ!
まずいーっ!

なんじゃこりゃあっ!





「ああ、それね。そもそもぶどうじゃないんです。アオツヅラフジと言ってね。まずいだけでなくて……」




毒です





  渋柿を手に食べ頃を思案する






Miniatures by Yan Volsy



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ちょっといっぷく その227 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編休止中です。
 いっきの高校生活最後の大イベントになる学園祭のシーンをせこせこ書いているんですが、どうも筆が進みません。思った以上に夏バテしちゃった感じで。はあ……。

 当初の予定では十月下旬にその分をアップしようと思っていたんですが、間に合いそうにありません。あと一巡てぃくるで引っ張って、その間にもうひと足掻きしてみます。

◇ ◇ ◇

 夏の猛暑の影響は草木のあちこちに出ていて、枯れないまでも今頃芽吹いたり、花が咲いたりという『季節感狂っちゃった』系のものが結構あります。

 きのこもずたぼろですねえ。夏きのこはほぼ全滅。初秋に出るきのこも、全体の量、種数とも少なめ。今後の降雨状況次第のところがあります。

 実ものも然りで、モチノキなんかもう実が終わっちゃってる。かと思えば、ウメモドキが今頃色付いてきてるし。めちゃくちゃです。こんなに画像の撮りにくい年は初めてですわ。(^^;;

◇ ◇ ◇

 猛暑の影響は、ベランダの鉢物を直撃しました。なんと、今になってオンシツコナジラミが大発生。ハダニとのダブル攻撃で、防除作業が追いつきません。春から夏にかけてもスリップス(アザミウマ)被害がひどかったし。

 虫といえば。恒例行事とはいえ、ベランダでの冬越しを目論むカメムシ軍団の来襲もしゃれになりません。例年ならマルカメムシとクサギカメムシがメインなんですが、今年は圧倒的にツヤアオカメムシ。果物への被害も出ているようですし、困ったものです。
# なにせ、臭い。(T^T)

◇ ◇ ◇

 そういや、ハチクが120年に一度の開花期を迎えるのだそうで、職場構内のハチクもかなり花がついて、枯れてきています。モウソウチクやマダケほどではないにしても、ハチクは身近にあるタケの一つ。今後どうなるか、動向を注視しています。
 ちなみに。ハチクは花が咲いても結実しません。クローンの一部を残し、そこから地味に再生するのでしょう。


◇ ◇ ◇

 別館のてぃくるをnoteに移動中ですが、900話台まで来ました。もう少し移動させて一段落、かな。
 note移植分のてぃくるは、こちらでご覧いただけます。


 note:マガジン『てぃくる』


◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。

 アメブロの本館で十年以上にわたって書き続けて来た掌編シリーズ『えとわ』を電子書籍にして、アマゾンで公開しました。第1集だけ300円。残りは一集400円です。
 予定より遅れましたが、先日最新作の第28集を刊行しました。ぜひお買い求めください。
 kindke unlimitedを契約されている方は、全集無料でご覧いただけます。







◇ ◇ ◇

 このあともう一巡てぃくるでしのぎます。ご容赦ください。


 ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽にコメントしてくださいませ。
 でわでわ。(^^)/



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「あんたの場合、夏枯れの『夏』は要らんのとちゃう?」
「そうともいう」


 (^^;;





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てぃくる 1060 秋の星が香る [てぃくる]



秋の星が香る


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それは


小さな星だ

どれほどより集まっても

周りを照らし出せない

小さな星だ



だが

星は香る

自らの体を

秋の香りに変えながら

燃え尽きるまで

香る





 よろしければ、金木犀をモチーフにした掌編をお読みいただければ。


 小さな星が香る






All The Little Lights by Passenger




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てぃくる 1059 くびれ [てぃくる]


「やっぱさあ、ぐっどぷろぽーしょんを狙いたいわけよ」
ぽんきゅっぽん、てやつね」

「そう。で、努力の甲斐あって、くびれゲット! ぽんきゅっぽんになったんだけど」
「うーん、なんか違うくない?」



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(^^;;





 まあ、首なし手足なしの胴体だけじゃねえ。(笑

 エンジュの莢果です。
 豆によくあるお馴染みの平べったい莢ではなく、ササゲのような円筒形の莢。中には黒い種子が入っています。

 でもね、この莢。熟しても裂けないんですよ。そのままぽとんと落ちてしまいます。どうやって種子はばらまくのか、とっても不思議だったんですが。

 実は種子の周りに甘い果肉みたいなものがあり、それで鳥などにアピールするようですね。エンジュの他にもタマリンドやアイスクリームビーンなど、同様の性質を持つ樹木が他にもあります。熟した莢を見つけたら、割って種子の周りを舐めてみてください。(^^)





  午後翳り小豆の莢が騒ぎ出す






Sweet Sweet Surrender by Beck, Bogert & Appice



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てぃくる 1058 ルビー [てぃくる]


赤い果実が / 秋野日差しを浴びて / きらきらと光る

わたしたちは / ルビー / とても尊いのよ




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 オオミサンザシの果実。つやつやでとてもおいしそうなんですが。
 残念なことに、それほどおいしくはありません。生薬としては有名なんですけどね。

 人間にも人気がないんですが、鳥や動物たちにも受けが今ひとつで。樹下にぼたぼたとルビーが落ちっぱなしになっています。(^^;;





  傷のある紅玉一つ買い求む






Ruby Baby by Donald Fagen




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てぃくる 1057 猫、はよ来い [てぃくる]


「もうそろそろ頃合いだよな」
「そう。旬を過ぎちゃうと猫じゃなく雀が来る」


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 ということで。まだ青いんですが、エノコログサの穂がいい感じに垂れてきました。種子がしっかり充実すると穂から外れてぽろぽろ落下し、鳥たちが拾い食いに難儀するようです。

 そういや、こやつは通称猫じゃらしですが、穂に野良猫がじゃれているのを見たことがありません。穂に寄ってくるのはいつも雀。もちろんじゃれて遊んでいるわけではなく、穂にとまってご飯してるんですけどね。(^^)

 ついていた種子がほとんど落ちて、垂れていた穂が立ち上がるようになれば……秋も終盤です。





  猫ぢゃらし 拾い集めて吾がぢゃれる






Honky Cat by Elton John




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てぃくる 1056 ストレスを溜めてはいけない [てぃくる]


 「やっぱさあ、ストレス溜めすぎるのはまずいと思うんだよ」
 「そうだよなあ」
 
 「小出しにしておかないと、ぱんぱんになるでしょ?」
 「で、そのあとぼかあん!」



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(^^;;





 爆発するわけではなく、内外まんべんなくぼろぼろになりますね。

 オニフスベ
 大きいものは直径50センチ以上になることもある、巨大な腹菌類です。割ってみて中が白いうちは食用になりますが。

 試食した人のほとんどが……。



ま・ず・い!




 ……と評価するようで。
 食べること自体がストレスになりそうなので、やめときます。(^^;;





  空が泣く 月見団子は絵で済ます






Burst And Pop by Mondays f. Paulina Froeling




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てぃくる 1055 どこで見分けるか [てぃくる]



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「ねえ、どれが花で、どれが実なわけ?」
「小さいのが花で、大きいのが実だよ」

「全部小さく見えるけど」
「じゃあ、黒く熟すのが実で、色が変わらないのが花」

「全部同じ色に見えるけど」
「ううう、それじゃ、虫が来るのが花で、鳥が来るのが実」

「虫も鳥もいないよ?」
「ああ、めんどくさ。もう、あんたが思う通りでいいよ!」

「へー。じゃあ、花も実もないってことね」
「ぐ……」




(^^;;





 まあ、花も実もお地味ですからねえ。
 カクレミノの花が咲き、受粉したものから膨らんで実になっていきます。実が黒熟するのはずっとあとなので、不毛な見分け紛争は続きそうですね。

 カクレミノのみならずですが、ウコギ科樹木の花も実も概してお地味です。冬に咲くヤツデが目立つくらいですかねえ。もっとも、地味で困っているわけではなさそう。カクレミノっていう名前の割には存在感がありますし。(笑





  こおろぎは閻魔と帝がそろってる

 帝ではなく、三角(ミツカド)ですけどね。(^m^)






Identify by Natalie Imbruglia



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