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てぃくる 1103 枯れ穂 [てぃくる]


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 暦の上ではとっくに春なのだ。早春花はすでに盛りを過ぎつつある。今はまだごく浅い緑も、日を追うごとに膨らんでくるだろう。

 その中にあって、枯れ残っていた者たちは徐々に姿を消しつつある。枯れた時点ですでに終わりなのだ。意地を張って残り続ける意味はどこにもないのだ。だが、枯れてしまえば自らは動けない。ただひたすら在り続けるしかない。

 枯れ穂は。わずかな乾湿を繰り返しながら、少しずつくずおれてゆく。これまで残り続けてきた者もやがて地に倒れ伏すだろう。
 それまでの一間。

 湿った春の雨雲を乱雑に区切りながら、あるかないかの風に身を任せている。





  春萌えを待つ草原は藁のまま






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suzu*

今回は〝真面目に…詩〟、ですね。
言葉と文字の使い方で、こうも上手く表現できるものなんだと…
素晴らしいです♪
by suzu* (2024-03-17 16:03) 

水円 岳

>suzu*さん

コメントありがとうございます。(^^)

時々、こういう自由律のものを書きたくなります。
エッセイと詩のどちらにも取れるような、独り言。
楽しいです。(^^)

by 水円 岳 (2024-03-17 22:44) 

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