てぃくる 1115 主役がいない [てぃくる]
「なんかさあ。俺たち、浮いてないか?」
「浮いてはいないけど、存在感が今いちだよなあ」
「見た目は決して悪くないと思うんだけど」
「個性も、造形も、色模様もばっちりだぜ」
「その割には、みんなにスルーされてるよなあ」
「なにが足りないんだ?」
「うーん……」
足りないもの?
決まってるじゃん
主役だよ
そう言われてしまうと身も蓋もないんですが。
アケビの花がもちゃっと咲き揃っていました。
サイズは大きくないものの、咲き姿がかわいいので、わたしの好きな花なんです。
ただねえ。
やっぱり主役がいないと場が締まりません。
え? 主役は誰だって?
決まってるじゃないですか。
女の子です
(^m^)
(^m^)
寝過ごした木の芽を茹でて菜(さい)にする
Heroine by Asia
てぃくる 1114 地味 [てぃくる]
「地味な花だな」
「木自体が地味だから、これでいいんだ」
「でも、果実は派手だろ」
「色はな。味は地味だ」
「ダウト。あれを味と呼んだら、味が怒るぞ」
「そこまで言うか」
モチノキ
花は薄緑色で目立ちませんが、結構訪花している虫を見かけます。地味なりに、ちゃんと目をかけてくれるお得意さんがいるんですよね。
花は早くに咲くんですが、あの真っ赤な実が目立つようになるのは夏ももう終わり近くになってから。しかも、その頃の実は強烈に苦いので、悪食の鳥すら見向きもしません。
ゆっくりじっくり時間をかけ、冬に向けて魅力を蓄えていくということなのでしょう。
ちなみに、よく似たクロガネモチは開花期がモチノキより遅く、花も紫色を帯びるので区別できます。そちらも地味ですけどね。(^^;;
目立てばいいというものではないが
あまりに目立たないのはやはり哀しい
Sober by Kelly Clarkson
てぃくる 1113 虫干し? [てぃくる]
ないしないし言ってますが、内視鏡検査はしてません。
だしだし言ってますが、ダシは取れません。(笑
ナツグミの花。派手さが全くありません。
いっぱい咲くんですが、他家受粉性のため木が一本だけだとほとんど実がなりません。
せんせん言うしかないなんて、詮ないなあ……。
一つだけ実る花あり雪解百合
夜もすがら君想ふ by TOKOTOKO ft.GUMI
てぃくる 1112 天使の影 [てぃくる]
「天使に影ってのがあると思うかい?」
「俺は天使じゃないからわかんねえよ」
「いや、僕の下にサングラスかけたへの字口のガラの悪い悪魔がいるからさ」
「そいつは俺じゃねえな。俺は悪魔でもないから」
「じゃあ、この影は誰のだ?」
「あんたのじゃないのか?」
「じゃあ、僕は天使か」
「どうしてそういう結論になるのかわからないが、俺はあんたの単なる影であって天使でも悪魔でもないことだけははっきり言っとく」
(ノゲシ)
世の中には、全てを自分の都合のいいように解釈する人種がいる。彼らは自分に都合の悪いことを全て影のせいにしようとするが、影は彼らの写しに過ぎない。つまり、影が悪魔である限り、本体が天使になんざなりえない。
だから。俺は天使にも悪魔にもなりたくはない。
単なる影だからさ。
野花の影行き過ぎてなお春淡し
Claude Kelly by Shadow Of An Angel
てぃくる 1111 忘れ物 [てぃくる]
「おまえは、まあた忘れ物か。ちゃんと前の日から用意しておけば、忘れるはずないんだが」
「用意したことを忘れるんですー」
「どうしようもないな」
「でも、絶対に忘れないものもあるんですよー」
「ほう? なんだ?」
「ぼくですー」
「来なくなったら、自分を忘れたってことだな」
「はいー。そろそろあぶない気が……」
◇ ◇ ◇
ここまで極端ではないにせよ、わたしの忘れ癖は昔からですね。小学校の連絡帳にいつも『忘れ物が多い』と書かれてましたから、三つ子の魂百までってことでしょう。えへん。
で。何かを忘れているような花が。
ツゲの花。
花弁をどこかに忘れてきたのかな。
いえいえ、彼は忘れ物なんてしてませんよ。花弁は最初からありません。春早くに咲く樹木の花には無花弁のものが多く見られます。まだまだ花が少ない時期ですから、花弁で目立たせなくても虫が来てくれるということなのでしょう。
きめが細かく狂わないので細工物によく使われるツゲですが、野生個体数は減少の一途を辿っています。成長の遅い木ですからねえ。庭木にもよく使われますので、見かけたら「忘れてないよ」と声をかけてあげてください。(^^)
グロウブの忘れ物増え 冬終はる
Forgiven, Not Forgotten by The Corrs
てぃくる 1110 ぴかぴか [てぃくる]
ぴかぴかに磨き上げたから
ぴかぴかに光るんだ
ぴかぴかのお日様だから
ぴかぴかにしてくれる
ぴかぴかを高めるために
ぴかぴかを水拭きしたら
ぴかぴかのぼくは
ぴかぴかになりすぎて
かぴかぴになっちゃうかも
大丈夫。
その前に光らない坊主頭になるから。(笑
ヒメリュウキンカの花が、雨のあとにぴかぴか輝いていました。花弁のように見えるのは萼(がく)。なので、花弁よりも長持ちするように思います。濡れていなくても基部に近いところが濡れているように見えるのが、花の特徴です。
丈夫で管理に手がかからない多年生園芸植物として広く普及しましたが、繁殖力が強く野生化の恐れもありますので扱いには注意が必要です。
背丈が低いためはびこっている印象は受けないんですが、じわじわと根茎で広がります。(^^;;
水を受け水を弾いて花光る
Glistening by Lights & Motion
てぃくる 1109 変わっていないはずなんだけど [てぃくる]
確かにその通りなんです。
晴れていても風は冷たいし、日差しにもまだ腰が入ってません。葉っぱは去年のままで薄汚れていて、冬芽が動く気配もありません。
それなのに。
やっぱり春を感じてしまうんですよ。
ああ、もう少しで春なんだねって。
どうして?
ああ、そうですね。
変わったのは、わたしなのかもしれません。
春陰に無くしたい手を翳してみる
Song Of The Sleeping Forest by Susumu Yokota
てぃくる 1108 白鳩 [てぃくる]
てぃくる 1107 陽の雫 [てぃくる]
満開のサンシュユ。
葉が開く前に咲く黄色い花は数多いんですが、サンシュユの黄色は輪郭が淡くて圧迫感がないのに、しっかり存在を主張するんですよね。
それは、まるで零れ落ちて四方に散りゆく陽光の雫のよう。
春爛漫が来る少し前に膨らむ暖かさを、そこはかとなく予感させてくれます。
春光に絹糸結び放ちけり
Honeydew by Singto Conley ft.Hikaru Station
てぃくる 1106 これでも [てぃくる]
「散ったあとの桜?」
「桜の開花はまだ先だよ」
「じゃあ、梅が散ったあと?」
「梅もまだ咲き残ってるって」
「じゃあ、これはなに?」
「まさに満開の花だよ」
「散った後じゃなく?」
「今がまさに満開」
「ええー?」
「嘘じゃないってば」
早春の樹木の花は、意外に地味系が多いんです。
これなんか、まだ目立つ方ですよ。
ハナノキが一斉に開花しました。
ハナノキはカエデの仲間ですが、他のカエデ類が開葉と同時くらいに花を着けるのに対し、開葉前に一斉に花を開きます。見ての通りで決して派手な花ではないんですが、地味系の多いカエデ類の中では花が目立ちますね。だからハナノキと名付けられたのかなと。ただ花期は短く、展葉するまでは地味な枝に戻ってしまいます。
日本の固有種ですが自然分布域がとても限られていて、天然記念物に指定されています。紅葉もとてもきれいですよ。(^^)
卒園児頬膨らませ花を待つ
They Say It's Spring by Tommy Flanagan