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てぃくる 649 目の黒いうちは [てぃくる]




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(ギョリュウバイ)





俺の目が黒いうちは絶対に許さん!

そう怒鳴った父が、目を赤く泣き腫らしている。

私の夫は目が青い。

その目が黄色くなるくらい根を詰めて。

私を白眼視から守ってくれた。

祭壇の前に二人並んで、目を虹で染める。

私たちの目の黒いうちは、ずっと目に互いを映せますようにと祈る。






  白無垢と語らう如く春の雪







In Your Eyes by Ben Harper



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てぃくる 648 矛盾 [てぃくる]



みんなの中心にいる明るい人ほど
 その中心から動けなくて孤独を味わう




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(ノースポール)





嘘つきは勤勉じゃない
 でも勤勉に嘘をつく


くだらない役を押し付けられると
 引き受けた途端に役をもっとくだらなくする


バカは風邪を引かないと言いながら
 風邪を引いたとたんにバカになる


最悪のケースに備えている人ほど
 最悪のケースにぶち当たってしまう


災害に強い都市を作るというが
 都市である時点で災害には弱い


世の中をこき下ろしているおっさんほど
 自分がこき下ろされていることを知らない


いじめやハラスメントを許さないと息巻く人は
 加害者意識のないまま理不尽な狩りをする


自分を信じてがんばると口にする人は
 自分を信じようとする意欲が早く失せる


右だ左だとぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる連中ほど
 そのどこにも入れない




 ああ。
 人間てのは、そもそも矛盾だらけの存在だよ。
 それなのに真理だの信念だの、矛盾とは相容れない概念を持ち込んじまうから、もっと矛盾だらけになるんだ。





  切れる包丁ほど俎板を傷つける
  傷つかぬ俎板ほど包丁を傷める

  切れぬ包丁は俎板に優しいが、調理に向かない
  傷つく俎板は包丁に優しいが、手入れが面倒だ






She's A Contradiction by Face To Face



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てぃくる 647 蓑 [てぃくる]


 雨降りの時 着る蓑を
 晴れていても 着ているんだ

 雨でも晴れでも いつでも
 世間の風が 冷たいからだ

 蓑さえきっちり 着ていれば
 中身が俺だと わからない

 ああ そこにはただの
 傷んだ蓑が あるだけさ

 傷んでいるのは 蓑じゃない
 本当は 中身の俺なんだ

 でも傷んだ俺が 見えていると
 無闇に励まされて 辛いんだ

 ただの蓑は 何も言われない
 だから俺は ただの蓑でいい



sid.jpg


 クマシデの果穂。
 果苞の根元に種子があり、本来は軸から外れてばらばらに飛び出すはずなんですが、種子が熟さなかったのかもしれません。


 形を失って初めて機能するもの。
 第三者がそれを見ると、無残だと感じてしまうことがままあります。

 でも、実態を手放して初めて得られるものもあるんです。


 たとえば。
 リンゴは、食べられることによって種子を散布します。

 食べられて形を失うことは、彼らが命を繋いでいく上で必須なんです。

 一方でガラスで作られたリンゴには、リンゴとしての意味がありません。
 それが変わらずに美しい姿を保っていても、です。



 風に散ることのできなかった蓑。
 それをしばらく見上げてから。

 目をつぶりました。






  悲喜の色 日付を越せず失せにけり







Hide Me by Ember Island




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てぃくる 646 手出し無用 [てぃくる]


「おまえは気に食わねえ野郎だが、鉄拳制裁は勘弁してやる」

「それは俺の台詞だ! ごるあ!」

「なんだ? やんのか? ああ?」

「やらねえよ。やったが最後」




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(フヨウとススキの枯れ穂)




二人揃ってぽっきりだ




(^^;;







 枯れて喧嘩しなくなればいいんですが、枯れるとかえって喧嘩早くなってしまうお年寄りが結構おられますよね。

 わたしもそろそろシニアの仲間入り。
 はらわたが煮えくり返っても、せいぜいへそで茶を沸かすくらいにしときます。






  焼き芋を割って湯気だけ先に食ふ







Blow Away by Joshua Radin




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てぃくる 645 墨で描く花 [てぃくる]

「師匠。色のある花をあえて墨で描くってえのは、どんな意味があるんですかい?」
「そんななあ、いろいろだよ」
「へえー」


「墨絵から色が見えるようになるまで、精進しろってのが一つ」
「おいらには死ぬまで無理だなあ」


「色の意味を知らねえ半可通に、あかんべえくれてやるってのが一つ」
「おいらも知らないや」


「色絵の具は高いから、できれば使いたくねえってのが一つ」
「おいらもそんな金があったら一杯やっちまうかも」


「描いてるやつが、目の病気だっていうのが一つ」
「おいらは見えてても描けねえけど」


「墨には墨の味があるから、色なんざ要らねえって強がるのが一つ」
「おいらは墨なんか不味いと思うけどなあ」


「弟子の出来が悪いから、墨で十分だってのが一つ」
「おいらは……うう」



ume.jpg


「まあ、いいんだよ。墨がどんなに色を持ちたがっても、墨にしかなれねえのさ。それなら、墨らしく振る舞えばいい」
「おいらみたいに?」

「ははは。さっさと描かないと、花が散っちまうぞ。ない花は描けねえからな」
「えー? 思い出して描けば……」


「それはおめえの花だ。目の前にある花じゃねえ。色のないはずの墨に変な色が着いちまう」






  墨染の梅一枝に指の跡







Fantasy Creatures by The Monochrome Set



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てぃくる 644 鉄路 [てぃくる]


 鉄の路から 逃れ出て
  自由とやらを 手に入れて

 自由に飽いて 鉄路に依るも
  路の上には 戻られず



tet.jpg


 鉄路の上には生えることができませんし、生えたにしても轢かれます。
 鉄路の脇に生えることはできますが、生えたにしても抜かれます。

 じゃあ、どうすりゃいいのよ?
 そんな雑草の声が聞こえて来そうですが。
 わたしゃ鉄路の上にも脇にも居たくないからねえ。

 わたしは、草のように自在に増えることはできません。
 その分、自在に動くことにいたしましょう。

 鉄路の上を。
 そして、鉄路から降りて。






  風花や鉄路はすでに眠りゐる







Railroad Song by Lynyrd Skynyrd




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てぃくる 643 しあわせ は [てぃくる]


どこかに しあわせが あるだろうと
ここをでていく ひとばかりで

のこっている ぼくらの まわりは
しあわせだらけに なってしまった



koha.jpg
(コハコベ)



しあわせ は
はこぶひつようも はこばれるひつようも ない

だって それは
ずっと ここに あるのだから

しあわせだと おもえば
ずっと ここに あるのだから







  泥靴にひとひら白く花はこべ






A Little Happiness by Aimee Allen




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てぃくる 642 幽閉 [てぃくる]



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「わたしたちをここに閉じこめた悪者は誰なの?」
「悪者こさえる前にすることがあるんじゃない?」


「救助を呼ぶスイッチはどこにあるの?」
「自分で作れば?」


「ここを出たら何しよっかなあ」
「出てから考えなさいよ」


「もう少し家具がほしいよね」
「ここに馴染んでどうすんのよ。ったく」


「閉じこもると立てこもるって、違うのかなあ」
「閉じこめられる、とは明らかに違う」


「だんだん居心地がよくなってきたわ」
「わたしはあんたの隣にいるのがいや」


「いつか王子様が来て、助けてくれるよね」
「腐ったわたしたちを見たら、黙って引き返すって」


「わたしたち、閉じこもっているの? それとも閉じこめられているの?」
「自分でそう思った方が、真実なんでしょ」


◇ ◇ ◇


 センナリホオズキの古びたがく。
 中にうっすらオレンジ色の実があるのが見えます。

 守られている間は、外に出られない。
 それを幽閉っていうのはちょっと違うんじゃない?
 説得しますが、実はぼろぼろのがくからすら出られないようです。

 ……ってか、植物だから動けないし。

 心を閉じこめるのも。心が閉じこめられるのも。
 同じ幽閉なんだよなと。

 妙に納得したり。






  春浅しサンダル片方閉じこもる







Big Bird In A Small Cage by Patrick Watson



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てぃくる 641 主役 [てぃくる]


「ほとんど枯れ野だから、枯れ草が主役のはずだよね」

「そうだな」

「それなのに、わずかしかない緑が主役みたいな顔してる。気に食わない!」

「しゃあないじゃん。少数派の方が目立つんだから」

「じゃあ、わたしたちが少数派になったら目立つの? 主役になれるの?」

「なれるわけないじゃん。もっと地味になる。脇役やエキストラ以下だよ」

「じゃあ、いつ主役になればいいのよっ!」

「贅沢言うなよ。かつては俺らが主役だったんだからさ」




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  配役を代え もう一度春ドラマ







Abandoned by Alexander Rybak



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てぃくる 640 蓋をする [てぃくる]


「どこまで蓋をすれば、世界を覆い隠せると思う?」
「世界に全部蓋をしようとすれば、ものすごくたくさんの蓋が要るだろ?」
「そうだね」
「そんなにいっぱい蓋を作ったら、世界が蓋だけになってしまう」


「自分が蓋になっちゃったら、どうすればいい?」
「誰かに、これで蓋してって言えばいい」
「自分が蓋になりたくなかったら、どうすればいい?」
「誰かに蓋されればいいだけさ」


「誰が蓋をするかが重要なの?」
「いや、誰が蓋をしないかが重要なんだ」
「どうして?」
「蓋をするやつは、決して蓋をどけない。蓋をどかせるのは、蓋をしないやつだけなんだ」


「自分に蓋をする意味って、あるの?」
「さあ。それは蓋に聞いてみないとわからないな」
「その人に聞くんじゃなくして?」
「それがどんな色と形をしていても、結局蓋だからね」


「先に蓋をされちゃったら困るなあ」
「だったら自分から先に蓋をすればいい」
「誰に?」
「それは蓋を開けないとわからないね」


「世界に蓋をする意味って、どこにあるの?」
「さあ。事実として、どんな小さな蓋でも、その下に隠れる世界があるけどね」
「じゃあ、蓋禁止!」
「無理だって。みんな、蓋をして世界を区別してるんだから」



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  鍋蓋の裏に隠れる春キャベツ







Keep A Lid On Things by Crash Test Dummies



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