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ちょっといっぷく その163 [付記]

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

いっきがいろいろな課題を抱えたまま、それでも覚悟して臨
んだ予備校の夏期講習。

重光和尚のどつきをなんとかこなし、やっとエンジンがか
かったあとの三話、第七十四話から第七十六話までをお届け
しました。いかがでしたでしょうか?

次がずっしり重くなるので、その前に三話をさらっとおさら
いしておきますね。


           −=*=−


第七十四話。
立水の買い物に付き合う形で、新宿まで息抜きに出かけた
いっき。

出足からぶっこけた者同士、リセットとリスタートが自分よ
り早いか遅いかは気になるんです。
それがほぼ同じだったことを知って、内心では二人ともほっ
としたでしょう。そのまま巡航ならよかったんですが。
とんでもないトラブルに巻き込まれてしまいました。

これまでも何度か登場しているいっき父方のまたいとこ、工
藤健、さゆりの、あにいもと。
年回りがいっき兄妹と全く同じなので、とても仲がいいんで
す。
お盆くらいしか会う機会がないと言っても、いっきにとって
の感覚は兄弟に近いでしょう。

ところが。
その妹の方、さゆりちゃんが見事に墜っこちていました。
いっきは母親から、さゆりちゃんの実情はもう聞かされてい
ます(三年生編第五十話)。
でも、いかに仲がいいと言ってもいっきには手が出せません。
窮状を知りながら、何もできなかったんです。

それが、まさかまさかの最悪ばったりです。
まあ、矢野さんの登場で騒動自体は無事に収まりました。
収まらなかったのは、いっきが心から信頼している大叔父の
勘助おじさんの容体を知ったいっきの心。

すでに意識がなく、ICUから出られない状態であること。
いっきは……ここでもう覚悟せざるを得なくなりました。
最悪の事態を。

でも、勘助おじさんやさゆりんのことが気になりながらも。
今いっきが向き合わなければならないのは、自分自身なんで
す。
内心、忸怩たる思いだったでしょうね……。


           −=*=−


第七十五話。
地味な短い話ですが、ここが三年生編のピークになります。

まだ、迷いや逡巡はいっぱいあるんです。
それをこなしきれないまま合宿になだれ込んで、前半をだい
ぶ無駄にしました。

重光さんにがっつりどやされて強制的に原点に戻ったといっ
ても、そこから積み上げていくプロセスがこれまでと同じな
ら、経過も到達点も同じになってしまいます。

予備校でのカウンセリングで追加情報をもらったいっきは、
現在自分が手にしているものを何から何まで目の前に広げ、
そのどれを使ってどれを整理するかを冷静に考えました。

だって。
いつかどこかで、決断しなければなりませんから。

いっきの決定プロセスが正常か異常か。
それにはいろんな見方があるでしょう。
でも、いっぱい悩んだいっきが自力で決めたことです。
一度こだわりだしたら、絶対中途半端に投げ出さないいっ
き。

そうです。いっきの進路はこれで固まりました。
この小説は、本当はここで実質終わりなんですよ。

でも、エキスだけを見ればそうなんですが、過去と現在でい
ろんなものを背負いこんでいるいっきは、このあとその負債
を丁寧に整理していきます。

これから。
夏合宿以降のいっきの思考や行動は、常にそういう意識につ
ながっていると考えていただければ。


そして第七十六話。
話の流れとしては前話の続きなんですが、いっきは自分の中
で決めたことを熱に変え始めます。

決意を自分自身の中に置いておくだけでは、また冷めてしま
うかもしれない。
いっきは何かに急かされるように自分の決めたことを言葉に
して、吐き出し始めました。
まず、重光さんと立水に。

自分の信じていること、約束したことを自分からひっくり返
すのが大嫌いないっきにとって、宣言することは自分の退路
を断つ覚悟を示すこと。

追い込まれて動くのではなく、攻めて未来を獲りに行く。
初めて自分の積極駆動に成功したいっきにとっては、堂々と
青写真を説明する自分の姿に、清々しさえ覚えたかもしれま
せん。


           −=*=−


さて。この後合宿を終えて実家に帰ることになるいっきです
が、お盆までの四話、第七十七話から第八十話までを続けて
お届けします。

時間は巻き戻せない。
その厳粛さを思い知らされるようなお話になります。



ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽に
コメントしてくださいませ。

でわでわ。(^^)/




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(ヒメリュウキンカ)


陽光を飲んでバターになるのか。

バターだから陽光に溶けるのか。



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