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二年生編 あらすじ(1) [あらすじ]

二年生編 第一話〜第十九話 一学期前半編



 二年生になったいっき。残念ながら、しゃらとはまた別の
クラスになった。そしていっきのクラス、2Fの担任になっ
たのは、ぽんにから異動してきた強持ての教師斉藤 瞬(さ
いとう しゅん)であった。新校長沢渡の厳しい訓示と合わ
せて、いっきは二年生の船出が前途多難なことを予感する。
 そして、いきなり斉藤とクラス運営を巡って正面衝突した
いっき。いっきとともに叛旗を翻した長身の女の子三田潮見
(みた しおみ)と斉藤との個別面談に臨み、そこで学生の
反発を自立に結び付けようとする斉藤の目論みを見破る。

 翌日委員決めを仕切ったいっきは、そこで先生にだけでな
くクラス全員に覚悟を求めて啖呵を切る。出さない意見は、
ない意見だ、と。
 新校長の沢渡とプロジェクトの扱いを協議する前に、三田
から部にしたらどうかと提言を受けるいっき。プロジェクト
を続ける意義を問われて、いっきはプロジェクトを部にする
意志を固める。

 中沢から相談を受ける形で、ぽんいちきっての催眠術師の
英語教師、荻尾慶子おぎちゃん)の授業改善提案をしたいっ
きは、中沢と化学教師菅野左門さもん)の個性的な初授業
に強い印象を受けた。
 また、1Cと同様に一年の時にアクティブなクラスだった
1Gの出身者である佐倉 唯(さくら ゆい 愛称ゆいちゃ
)、坂本貫太郎(さかもと かんたろう 愛称かんたろ
らと打ち解け、ロングホームルームでの自己紹介も功を奏し
て、新クラスでの友人作りが自然にスタートした。

 二年生になって最初の一週間をなんとか乗り切ったいっき
は、坂口近辺で煙たがられているご隠居こと木戸充彦(きど
みつひこ)と出会い、恩納先輩の買い物ルートの確保を狙っ
て、先輩と同居しているおばあちゃん(小塚友代)に引き合
わせる。ライバル視して、激しくやりあうじじばば。

 週が明けて、沢渡校長とプロジェクトの部活化交渉にのぞ
んだいっきたちは、条件付きながら校長の了承を取り付ける。
また、プロジェクトに加わりたいと言い出したあっきーを喜
んで受け入れる。
 その一方で、コンプレクスに捕われて落ち込みがちな三田
のサポートを斉藤から頼まれ、うんざりするいっき。
 また、ひょんなことから学年トップの秀才天交高人(あま
かい たかと)が甘党であることを知って、その素顔に触れ
る。

 プロジェクト紹介のオリエンテーションもこなし、クラス
の最初のごたごたもなんとか乗り切って、一息ついたいっき
の元に、前校長の安楽忠治が訪ねてくる。安楽は、いっきを
支援していたのではなく極度に警戒していたことを公にし、
妥協を許さない厳しい姿勢を初めて剥き出しにした。
 安楽に改めて気合いを注入されたいっきは、その勢いで従
妹のジェニーとのスカイプ英会話を本格的に始める決意をす
る。

 校長がプロジェクトの部活化の条件としていた部長会での
承認を取り付け、プロジェクトは正式に部として動き出した。
プロジェクト継続の形を模索するいっきに、中沢がアドバイ
スする。残すことを前提とするな、楽しかったという化石が
残ればそれはどんな形であっても続いていく、と。
 そして、いっきたちのがんばりの甲斐があって、十五人も
の新入部員が参加し、プロジェクトは新入部員を加えて早速
始動する。そしてその席で、聖メリアの園芸部、市工のアグ
リ部との合同交流会の開催がアナウンスされた。

 新クラスとプロジェクトは順調に動き出したが、これまで
のバイトが細ってしまい、慌てて新しいバイトを探すいっき。
思いがけず、かっちんの兄の中塚元広(愛称もっくん)から、
桂坂ミューゼアムという私設博物館でのタヌキの胃内容分析
のバイトを紹介され、気乗りはしなかったが作業を見学する
ことにする。同時に、元広が大学を止める決意を固めたこと
を知る。
 バイトの元締めは、顔中毛むくじゃらの県立大の学生、
上下 中(かみした あたる 愛称ちゅん)で、いっきはそ
の捉えどころのないキャラに驚く。

 連休早々、聖メリア園芸部、市工アグリ部との合同交流会
に臨んだいっきたち。飛び入りの市商華道部のメンバーも加
わり、有意義な一時を過ごす。
 その翌日、プロジェクトの重鎮しのやんから、聖メリアの
北尾結花(きたお ゆか)に一目惚れしたことを打ち明けら
れて大慌てするいっき。鉄壁に囲まれている聖メリアの生徒
は、アプローチするにはハードルが高すぎる。意気消沈する
しのやんに、いっきがアドバイスした。これってミステリー
じゃないか、まず相手の実像を探れ、と。
 同じ日、看護師として働き始めたレンさんこと中平練が、
医師の藤崎弥生を伴っていっきの家を訪ねてくる。そして二
人が事実婚をすること、その結婚生活が藤崎の子宮ガンがも
とで短命で終わることを同時に告げられる。唖然とするいっ
きの家族。

 五月に入って連休の中日。博物館でのバイトの元締め上下
が元カレだったことを中沢から聞かされて、フクザツな思い
を抱くいっき。自分から上下に告白しておきながら、超マイ
ペースの上下に付き合いきれず自爆したことを白状した中沢
は、それにケリを付ける決意をする。中沢の過去を立ち聞き
してしまったかんちゃん桧口 完)は、途方に暮れる。

 翌日、博物館での奇妙なバイトをネタに獣医志望の毛利理
央子
(もうり りおこ 愛称もーりー)と話をしていたいっ
きは、職業学習の授業である『テーマ』の素材を学芸員にす
ることに決める。
 放課後初バイトに臨んだいっきは、中沢と上下の乾いた会
話に驚く。しかし、バイトからの帰り道で、いっきは中沢が
路側に停めた車の中で号泣しているのを見てしまった。時を
経ても塞がらない心の傷を思ういっき。

 連休後半。またいとこの工藤健(くどう たけし)と工藤
さゆりが東京からちゃりで遊びにくる。急きょ友人を動員し
てミニバスケに興じるいっきたち。健はいっきに友人が増え
たのを見て安心し、もう俺たちに逃げ込むなといっきと実生
に釘を刺した。
 健たちが帰ったあと、単独でモヒカン山の反対側に単独で
探検に出かけたいっきは、古い小さな寺(設楽寺)を見つけ
る。その帰りにリドルで中沢と鉢合わせたいっきは、かんちゃ
んから優しさの裏の憎悪を聞かされる。かんちゃんの生に触
れた中沢は、隠さずにそれを見せてくれたかんちゃんに、涙
ながらに謝意を伝える。

 連休も残り二日。いっきはしゃらとローダンセ美術館に出
かけ、そこで橘兄妹、楠守ひびき(佐伯天有の孫)を連れた
糸井美郷と出くわす。うららかな春の田園風景に浸りながら、
藤崎と中平の壮絶な結婚話を披露するいっき。一行は夫婦の
意味をそれぞれに考える。そして……橘行長は、クリスマス
の時の返礼とばかりに糸井にキスを見舞う。

 連休最終日。タカ中塚孝広)と五条さん(五条千咲)の
結婚式がレストラン『リンデン』を貸し切られて行われ、出
席者はその型破りの式に驚きながらも、二人の門出を暖かく
祝福する。過去の清算はこれでもう終わりにする。五条は、
二人での旅立ちにあたってその決意を口にした。




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一年生編 あらすじ(8) [あらすじ]

一年生編 第百四十六話〜第百六十話 三学期後半、春休み編


 放課後中庭作業の進捗を会長に報告しようと、しゃらと一
緒に帰るいっきは、風邪を引いて早退した五条に出くわす。
その体調を心配して付き添ういっきたちとタカの前に、バレ
ンタインでいっきが無視した女生徒のそそのかしを真に受け
た男子が刃物を持って現れる。
 タカが簡単に取り押さえたように見えたが、隠し持ってい
たナイフで攻撃され、それがタカをかばおうとした五条の脇
腹に刺さる。病院で生死の境をさまよう五条に、初めてタカ
が自分の真情を叫ぶ。五条は一命を取り留める。
 伯母の機転でマスコミの過剰取材を逃れたいっきとしゃら
だったが、疲れ果てて帰宅したいっきを待っていたのは、八
内師範の訃報だった……。

 葬儀のため母、実生とともに山形に向かったいっきは、師
範があっきーに何も遺さないという厳しい遺言をしたためて
いたことを知り、愕然とする。相変わらず心を許せる友達を
作れず呆然としているだけのあっきーを、いっきたちが心配
する。そこに会長が現れて、あっきーの身元引き受けを提案
する。即答を避けるあっきー。通夜の晩、いっきはあっきー
に、もうあっきーを恋人としては受け入れらないことをはっ
きり伝える。

 あっきーは、会長の家に下宿する意志を固め、転入試験を
受けるためにいっきの家に来る。五条を見舞ったいっきと
あっきーは、そこで五条がタカのプロポーズを受けたことを
知る。同じ日、リョウが阿部を伴って、その進路についての
助言を求めにくる。優しいが覇気がなく、記憶障害を抱える
阿部が、リョウの卒業後無事に学校生活を送るのは難しいだ
ろう、と。いっきは榎木のところでの住み込みの仕事を頼み
込んでみては、と提案する。

 自宅待機が解けて久しぶりに登校したいっきは、予餞会の
ウォークライに臨む。全智全霊をかけて、意志をほとばしら
せる1Cの面々。受験に失敗し、浪人が決まった外山先輩か
ら気をもらったと言われ、それぞれに自分と戦う意味を考える。
その日の放課後、いっきはしゃらに、すぐに自制せず自分の
意志をきちんと示すことを求める。

 三月入りしてすぐ。いっきたちはボランティアで佐々木の
農作業を手伝うことになった。同行した阿部が、榎木に住み
込み従業員を頼み込む。榎木は農家の厳しい現実を突き付け
るが、阿部は自分を活かす仕事ならどんなにきつくても耐え
られると答え、榎木の承諾を勝ち取る。
 昼ご飯の時、佐々木といっきはみんなの前で榎木から厳し
い叱責を受ける。仕事に対する甘え、助力に対する鈍感さ、
リーダーとしての心配りのなさ。叩き付けられた言葉の重み
を、いっきは自身に刻み付けた。

 ぽんいち名物、卒業式でのバッジ交換を無事済ませたいっ
きとしゃらだったが、この日を境にかっちんとなっつの関係
がおかしくなる。二人がシャイで、互いの気持ちを確かめら
れていないことを察したいっきが二人に苦言を呈するが、効
果は上がらなかった。しょーこが二人に直球の突っ込みを入
れたことにぶち切れたかっちんをなっつが引っ叩き、泣きな
がら教室を走り出る。追え! かっちんに活を入れるいっき。

 かっちんの兄もっくんこと元広の思わぬキャラと、進路へ
の迷いを知ったいっき。リドルのウエイトレス佐竹美琴
もっくんに言い放った言葉が耳に焼き付いた。
「できることから進路を選ぶなんて、最高の贅沢」

 終業式直前、ひと足先に終業式を終えて田貫市に出て来た
あっきーは、付き合いの長い友人を二人連れて来たが、その
二人がとんでもな女の子であることにいっきがキレる。しか
し、信じていた友情を裏切られたあっきーの怒りの方がずっ
と大きかった。いっきの家にあっきーたちが着いた後、女の
子たちはいっきの母と会長からきっちり絞られる。

 結局終業式まで沈没したままのかっちんとなっつを、いっ
きたちが心配する。1C解散式を経て自宅に戻ったいっきの
もとにかっちんとなっつが現れ、現状維持を報告する。黙っ
ていても変わって行く、だから今はそれでいいじゃん。そう
言って笑ういっき。居合わせた会長はあっきーに、飾らず生
の心をぶつけ合う大事さを説く。あっきーの歓迎会の打ち合
わせが終わったあと、いっきは大野からのメッセージを読ん
で、大野から受け取ったものの重みに涙する。

 あっきーの歓迎会は、いっきがアドバイスを与えた中学生
カップル(長崎大介、加賀野広海)のぽんいち合格もあって
盛り上がった。前向きに変化を受け入れ、気合いを入れるた
め、いっきはあっきーに空手の演武を見せるよう頼む。
 しかし、変化は時に心を置き去りにする。雨の日に孤独に
耐えられなくなったりん、あっきー、リョウがいっきの家を
訪ね、抱えている痛みを吐露する。いっきも、彼らに過去の
傷を癒し切っていないことを告げる。いっきの母が彼らを諭
す。「孤独は、孤独でないことの幸せを噛み締めるには欠か
せない」と。

 プロジェクトも新体制に向けて動き出した。みのんととも
に中庭の世話に出かけたいっきは、そこで次期校長の沢渡延幸
に遭遇する。沢渡は、前校長の安楽が妖怪のような寝技師
であり、自分はそういう運営はできないといっきたちに告げ、
いっきたちの覚悟を促す。
 いっきたちはそれを受けて主要なメンバーを召集し、学校
側から正式な活動許可が得られる方策と、次期執行体制の構
築を模索する。
 打ち合わせが終わったいっきは、みのんとしゃらを家に誘
う。そうして、遊びに来ていた伯父のリックに英語の学習法
を相談する。リックは、姉メリッサの娘ジェニーとスカイプ
による英会話をすることを提案する。
 二年になって起こるであろう様々な変化を、行動してこな
していくこと。いっきはそれを強く意識した。


  <一年生編 了>



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一年生編 あらすじ(7) [あらすじ]

一年生編 第百三十一話〜第百四十五話 新年〜バレンタイン編


 年が明け、数少ない年賀状をチェックしていたいっきは、
宇戸野と尾花沢の一番弟子半田の結婚報告に驚く。尾花沢は
二人の結婚を祝福しながらも、手塩にかけた半田の離職を嘆く。
 その後しゃらと初詣に出かけたいっき。二人が引いたおみ
くじは、恋愛運のところが二人とも悪い微妙なものだった。
 翌日、菊田にバイトに駆り出されたいっきとしゃらは、
いっきの母とともに晴れ着姿でホームセンターの初売りバイ
トに臨む。

 三学期入り。中庭のレイアウトを考えるいっきとしゃらに、
無理解な親との確執で追いつめられているりんが悩みを訴え
る。解決策が見つからないまま帰宅したいっきは、伯母の巴
が突然斜向いの空き家に引っ越してきたことを知って仰天す
るが、伯母にりんの下宿先を引き受けてもらうことを思いつ
く。こともなげに引き受ける伯母。
 そしてりんと里村の、伯母宅への出奔が実行に移された。
すぐに、それぞれの親が娘を連れ戻しに来た。里村の母は、
かつては美声の美人歌手で、伯母はその大ファンだった。引
退後も自分をずっと覚えてくれていたことに心動かされた里
村の母は、娘の下宿を認める。
 対照的に、力ずくで娘を連れ帰ろうとする傲岸なりんの両
親。大学教授の肩書きをかさに着て尊大に振る舞う両親に、
伯母の爆弾が落ちる。伯母は二人の勤務先の大学を丸ごと買
い取り、二人を解職した。そしてりんに、親から独立したい
のなら心を鍛えろと諭す。

 高校が三年生の受験でぴりぴりする中、校内で発煙事件
発生する。いっきとしのやんは、それが愉快犯の仕業ではな
く、受験ノイローゼで思い詰めた生徒の犯行と見抜いて、大
野にそれを伝え、騒ぎを収束させる。
 そして、いっきにアクシデント発生。これまで経験のない
頭痛に襲われたいっきは、それが偏頭痛発作であることを知
る。また、チョコがそれを誘発するかもしれないと、診察医
に警告される。

 プロジェクトの方も、春に向けての植栽計画や資金の確保
に課題があり、いっきはそれをメンバーの間で揉む。春花苗
の植え付けとバレンタインイベントの企画が出され、それを
受けて作業が動き出す。
 しかし、これまでプロジェクトの調整を一手に引き受けて
いたじんが、生徒会入りのために突然プロジェクトを辞める
と言い出す。じんの決意を、学校側の理解者が一斉に退職、
転勤することへの対処と受け取ったいっきは、プロジェクト
の執行体制の見直しを決意する。

 バレンタインが近付く中、いっきの朋友たちにも憂いの時
が来る。さとちゃん、かっちんとなっつ、しょーこ。それぞ
れの想いは秘められて憂いに変わる。クラス全体で見せる最
後のパフォーマンスとしてオリジナルのウォークライをする
ことを決めたいっきたち。少しずつ、別れの時を意識し始める。

 花農家の佐々木が突然の腰痛で仕事に支障をきたし、いっ
きに手伝いを要請してきた。バイト経験のないりんと里村に
就労経験させるチャンスと見たいっきは、それを引き受ける。
二人の他のバイトメンバーの確保をリョウに打診したいっき
は、寿庵で店員バイトをしていたリョウの後輩阿部明衣を紹
介される。
 佐々木の農園でのバイト当日。いっきたちは、園芸農家の
厳しさとやりがいを榎木や佐々木らから聞かされる。鉢物の
積み込みにきたおじさん(近田尊一)に尾花沢への口利きを
頼まれたいっきは、バイト明けに尾花沢にそれを伝える。尾
花沢は首を傾げた。やつは名庭師が手塩にかけた一番弟子。
なぜ、干されてるのか、と。

 いっきの盟友しのやんが突然ゴナンのヤンキーたちのかつ
あげに遭った。大野とともにレスキューに向かういっき。大
野があっさり鎮圧したものの、ゴナンの先生の加害者への指
導は理不尽なものだった。大野は、納得出来ないいっきとし
のやんをゴナンに送り出す。納得出来るまで突っ込んで来い、
と。ゴナンの生徒指導教師菅野は、全てのハエを撲滅させる
ことはできないと説き、しのやんに自分を強くするしかない
と納得させる。

 現メンバーでの最後の共同作業になるであろう中庭での春
花苗植え付け作業。いっきたちは、そこに以前打診があった
市工アグリ部との交流を組み込んだ。自発的に動き、組織を
柔軟に動かすいっきたちと、高度なテクニックを駆使して高
校生ばなれした活動を行っているアグリ部の二人(藤原貴一
後野 新)は、相互に強い刺激を受ける。
 そして作業後、プロジェクトを出るじんから重要な情報が
もたらされる。学力の地盤沈下の激しいぽんいちのテコ入れ
に、腕利きの先生が送り込まれる、と。いっきたちは、先行
きの厳しさを覚悟する。

 腰痛の回復が思わしくない佐々木のサポートで、ボランティ
アとして植え付け作業を手伝いに行ったいっき。同様に手伝
いに行った尾花沢は、師匠の息子にプライドを傷付けられて
離反した近田の心意気を汲み、いっしょにやろうと誘う。ま
たいっきたちは、尾花沢の会社で黙々と働く山崎が、ゴナン
を中退して一心不乱に造園作業に取り組んで来たことを知る。
ゴナンの生徒である阿部は、その決断の潔さ、一途さに衝撃
を受ける。

 いろいろな想いが交錯するバレンタイン。偏頭痛発作を避
けるため、チョコだめ宣言をしたいっきのもとには、いろい
ろな色物プレゼントが集まる、失笑するいっきとその友人た
ち。しかし、その中にもいろいろな想いは織り込まれていた。
 いっきは、楽しい、嬉しいだけではない切ない想いを胸に、
小野寺からの告白を静かに退ける。
 いっきはしゃらに銀糸細工のコンパクトを送り、しゃらを
喜ばせる。いっきもしゃらから送られたパズル仕立てのクッ
キーに小躍りする。しかし、いっきに贈られたプレゼントの
中には、一つとんでもないものが紛れていた……。

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一年生編 あらすじ(6) [あらすじ]

一年生編 第百十九話〜第百三十話 クリスマス、年末編


 十二月に入り、クリスマスイベントを考えようとプロジェ
クトが動き出す。同時に、いっきの家でも人を呼んでクリス
マスパーティーをしようということになる。父がクリスマス
嫌いで一度もパーティーをしたことがないしゃらは舞い上が
り、期末試験の勉強に手が付かなくなる。
 中庭のクリスマスディスプレイを済ませたいっきは、喫茶
店リドルで中沢に出くわし、相談を持ちかけられる。両親の
減刑嘆願に協力するか否か。いっきは、資産になるものが一
切ないことを示して両親の反応を探ってはどうかと提案し、
中沢も納得する。

 期末試験が近付き勉強に精を出すいっきのところへ、突然
レンがやって来る。聞けば、高瀬さんが老人ホームに入所す
ることになり、いきなり自立を迫られた、と。レンが看護師
の資格を持っていることを知ったいっきの父が、それを活か
すべきだとアドバイスする。謝して立ち去る間際、隣家の鈴
木の新生児を抱かされ、怯えた子が泣く。傷付くレン。しか
し、鈴木にこの子はまだあなたの顔は見えない、切羽詰まっ
た雰囲気に怯えたと言われ、黙して去る。
 レンの登場で勉強が手に付かなくなったいっきは、リョウ
に臨時の家庭教師を頼み、徹底的にしごかれる。そして、
リョウもクリパへの参加を決める。

 試験が終わって、いっきはレンの就職先としてリハビリで
通っていた佐古丸総合病院のリハビリ科に目をつけ、担当医
藤崎弥生に打診する。呼びつけられたレンとその履歴書を
見た藤崎は、即座にレンに言い渡す。使えない。
 しょげるレンを藤崎がどやす。自分が泥沼にいるうちは、
同じ泥沼にいる患者さんを介助できない、まずあなたにリハ
ビリがいる、と。藤崎は自分がガンで片目を失っていること
を見せ、生への執着を見せつける。生きることにどこまでも
こだわらない限り、道は開かないよ、と。
 その姿勢に打たれ、前を向いたレンの元に吉報が届いた。
いっきはレンをクリパに誘い、レンはそれを快諾する。

 冬も深まり、珍しく積雪があった日。いっきの家族と、しゃ
ら、会長夫婦とで、冬のローダンセ美術館を鑑賞に行く。秋と
は違う峻厳な景観に息を飲む一同。いっきは会長に佐伯天有の
絶筆を示され、それを深く心に刻む。
 いっきたちを歓待した橘兄妹。しかし、彼らは実の兄妹では
なく、父親の再婚相手の連れ子同士だった。家庭を守るために
あえてお互いへの恋心を封印する二人を、いっきの母がクリパ
に誘う。

 期末試験の結果があまりに良すぎてカンニングの疑いをかけ
られたいっきは、複雑な気分で帰宅する。そこに、糸井との関
係がこじれたレンが糸井を伴って現れる。糸井の知らない間に
高瀬の入所とレンの就職が決まっていたことに激怒する糸井。
しかしいっきは、成人しているレンに糸井の庇護は必要ないと
突き放す。苦笑した母が糸井のレンへの恋情を暴露。それを受
け入れられないレンが押さえ込んでいた憤怒を爆発させ、糸井
に引導を渡した。失恋した糸井を、母がクリパに誘う。

 模試に出かけたいっきは会場でりんに捕まり、親からの独立
の方法を聞かれる。里村を巻き込んだ下宿を提案するいっき。
その後クリパのプレゼントを買い出しに行ったいっきは、しゃ
らにあてたメッセージカードの文面を練る。

 クリパには、工藤家の四人の他、しゃら、リョウ、伯母の巴、
橘兄妹、レン、糸井、それに駆け込みで参加した花農家の佐々
木の十二名が集った。自己紹介のあと、和やかな雰囲気の中で
ホームパーティーが始まる。談笑の合間に、それぞれの抱える
葛藤や軋轢がちらちらと顔を出す。失恋で泣き上戸になった糸
井のキス事件などもあったが、母のフラメンコ披露で盛り上がっ
たあとプレゼント交換となる。それぞれの祈りと想いを込めて
披露される小さなプレゼント。その心を抱きしめながら、パー
ティーはお開きになった。
 最後にいっきとしゃらとの間で、万感の想いを込めてプレゼ
ントとメッセージが交わされた。

 クリパの翌日は雪。終業式のあといっきは、二日酔いに苦し
む中沢の面倒を見てくれと大野に頼まれる。いっきの家では中
沢だけでなく、同じように酒で潰れた糸井と妹の実生が転がっ
ていて、野戦病院状態。
 中沢の深酒はただの飲み過ぎではないと見破ったいっきに、
中沢は両親との絶縁とかんちゃんへの届かぬ想いを白状して泣
く。同じように失恋で泣き暮れる糸井と実生。

 年の瀬が押し迫る中、老人ホームに入所した高瀬をいっきと
しゃらが見舞う。高瀬は糸井とレンとの関係が、そもそも不自
然なものであることを二人に話した。お互いに舐め合う傷は腐
る、と。また二人は、花屋のおばあちゃん指月が、かつて高瀬
の愛娼であったことを知って愕然とする。帰りがけに指月のい
る花屋に寄った二人は、指月に長岡との友達付き合いを頼まれる。
生きるためには今を見なければいけないと言って。

 おおみそか。いっきは、静かに一年を振り返る。いじめから
の逃避だけを考えていた年初。引っ越しを機に、ゼロからいろ
いろなものを積み上げてきた一年だった。たくさんの出会いが、
彼を彩ってきた。いっきは、それをコトバにして噛み締める。
『こんにちは ありがとう』

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一年生編 あらすじ(5) [あらすじ]

一年生編 第百九話〜第百十八話 二学期後半編


 学園祭でのイベントという大きなヤマを越したいっきは、
しゃらを伴って、わだっちとじょいなーの入賞作を見に、巡
回展に出かける。二人は、その作品に込められた思いに圧倒
されたが、同時に中沢、校長、若槻がそれを複雑な感情で受
け止めていることを知る。

 プロジェクトの方のプランニングが停滞する中、息抜きで
寄った寿庵の新作おかず鯛焼きに喜ぶいっき。しかし、帰宅
したいっきの元を突然訪れた五葉南高校(ゴナン)の教師
菅野左門から、リョウの進学拒否の理由を探ってくれと頼ま
れる。中途半端に人の生き方をいじるなと言い捨てて拒否す
るいっき。それがもとで、母とも衝突する。
 翌日ホームセンターにバイトに出たいっきは、リョウに就
職の動機を聞き、菅野のことを愚痴る。なぜか反応する菊田。
なんと菅野は菊田が率いていた暴走族の副官だったという。
菅野の童顔と図太さに驚いたいっきは、帰宅後それを母に伝
えて諍いを収束させる。

 二年生が修学旅行の間に、いっきが移動中の片桐先輩と入
れ変わるという珍事が発生。しかし、誰もそれを信じなかっ
た。その後、初代校長の銅像が笑うという珍事も。片桐先輩
の怪しさ大爆発。

 プロジェクトの遅滞を気に病むいっきは、気晴らしにとしゃ
らに美術館デートを持ちかけるが、しゃらがなぜか渋る。五
条さんから用心しろという警告が出ていることを聞かされた
いっきは不安を募らせる。
 ローダンセ美術館に出かけた二人は、そこで景観をそのま
ま作品として見せるというコンセプトに驚愕し、感動する。
その景観を仲立ちしていたのは、天才庭師佐伯天有の遺作で
ある庭だった。美術館の館長兄妹(橘 行長穂積)と知り
合った二人は、占いに凝る穂積に警告される。危険が迫って
いるから充分に用心しろ、と。

 その四日後、嫌な予感を感じたいっきはぴんぴんに張り詰
めた状態で登校し、事務員に母親が事故にあったと呼び出さ
れて教室を飛び出したしゃらを追って引き止める。それはお
かしい、と。さらに、不調で時差登校してきた恩納先輩に搬
送先の病院が廃院になっていることを聞かされ、偽情報であ
ることを知る。
 首謀者をあぶり出すため、あえて不審者の気配の中に出て
行った彼らの前に姿を現したのは、前にしゃらを襲った市工
の生徒と、見知らぬやくざだった。刃物を出して迫る男たち。
その目的がしゃらの蹂躙であることを知った先輩は、全裸に
なって自分を抱けとやくざに迫る。その肩のあざを見たやく
ざは血相を変え、俺は死にたくないと叫んで逃げる。入れ替
わりでいっきたちの前に現れた五条とタカによって、首謀者
の前生徒会長高岡と男たちは鎮圧される。
 ほどなく、逃げ出したヤクザが轢死したことを知った先輩
は意識を失って倒れる。今後の対応を詰めるためにぽんいち
の校長とともに訪れた市工の校長(宇津木寿和)から市工ア
グリ部
の存在を知らされ、交流を持ちかけられる。

 事件のショックで錯乱状態になった先輩のレスキューのた
めに森本先生から呼び出されたいっきとしゃらは、そこで先
輩の壮絶な過去を知らされる。
 小学生の頃から母親の連れに無理やり犯され、嫉妬した母
親から家を追い出されて、ろくでもない男たちに体を提供す
ることでしか生きるすべがなかったこと……。しかも、その
相手がことごとく死んでいること。肩に彫られた死神の入れ
墨は、除去手術を受けても消えずに浮かんで来る、と。
 いっきは、肩の死神がそうさせているのではなく、先輩が
抱えている恨みが破滅願望となって、死ぬ運命の相手を呼び
寄せてしまっていると看破する。そして、今はちゃんと光に
目を向けているんだから、それを続ければいいと先輩を諭す。
 少し立ち直った先輩といっきたちのところに、尾花沢から
バイトの依頼が来る。個人宅の庭の手入れで、そこの住人の
話し相手をしてくれ、と。先輩は喜んで引受ける。

 翌日、いっきが先輩、みのんと出かけた先は、足の悪い老
婦人(小塚友代)が一人暮らししている家だった。先輩は持
ち前のバイタリティでおばあちゃんの話相手を務めるが、尾
花沢が研いだ秀峯が見せた自分の怨念の幻影に怯え、倒れる。
バイトが終わっても、独りきりの部屋に帰りたがらない先輩
に、おばあちゃんが同居を提案し、先輩はそれにすがりつく。
寂しい者同士の寄せ集め。でも、それが必要なこともあるん
だと納得するいっき。奇しくも、それはいっきの十六歳の誕
生日だった。

 数日後、下校しようとしたいっきとしゃらの元に、老人
高瀬公作)が現れて二人に謝罪する。その老人は死んだヤ
クザがいた組の老親分だった。老人宅に行くことになった二
人は、死んだヤクザがしゃらの兄の失踪にも関与していたこ
とを知らされ、愕然とする。しかししゃらは、えん罪の真実
を話せなかった兄は弱かったし、その兄の辛さも今は分かる
と言って、老人の謝罪を受け入れる。
 家を辞そうとしたいっきたちは、祖父を気遣う糸井と再会
して驚く。そして、一緒に夕食の食卓を囲むことにする。老
人の付き人のレン(中平 練)は、身寄りがなく、幼少時の怪
我が元で隻眼であり、顔に大きな傷を負っていた。いっきた
ちは、寡黙だけれど実直なレンの将来を、高瀬がひどく心配
していることを知る。



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一年生編 あらすじ(4) [あらすじ]

一年生編 第百話〜第百八話 学園祭編


 鉄のカーテンの中の秘境、聖メリアの学園祭に理事長招待
の形で乗り込んだいっきとしゃら。いっきたちは、見事に整
えられた庭園に感心するが、その手法を中庭には使えないと
話し合う。聖メリアの生徒会長天野や園芸部部長佐藤らにそ
の理由を聞かれ、校風や部のポリシーの違いによるものと説
明するいっき。全てを自分たちの力で切り拓いてきたいっき
たちのバイタリティに、聖メリアの面々は衝撃を受ける。
 ほとんど女の子と父母しかいない中で目立ちまくっていた
いっきだったが、同じ高校生として学園祭を楽しむ。そして
いっきたちを招いたしおんが、ステージで見事なアカペラを
披露したことをりんとともに心から喜ぶ。幸せになる権利を
使っているね、と。

 続いて市商の学園祭。こちらはバザー主体で、いっきたち
家族もしゃらもそれぞれ目標を定めて商戦に突入し、戦果を
得る。いっきが着目したのは園芸用品のブース。そこにいた
女の子(楠守ひびき)と商談し、値切って古い剪定鋏を買っ
たいっきは、それが楠守の祖父の遺品であることを知り、不
憫に思って会長と若槻を呼ぶ。すっ飛んできた二人は、ブー
スの中のものを全て買い占めてご満悦だった。
 しかし、いっきが買った剪定鋏を見た二人の顔色が変わる。
それは……刀匠弥富宗門がこの世に三本だけ残した逸品、
秀峯だった。そして、楠守の祖父が孤高の名庭師佐伯天有
あることを知って絶句する。
 学園祭を楽しんだいっきは、帰り際に市商華道部の生け終
えた花をもらおうとして秀峯を出し、それを見た若い女性教
師(糸井美郷)に声を掛けられる。糸井は、いっきがすみちゃ
んや長岡の立ち直りを手伝ったことに深謝するのであった。

 クラスイベントの調理の打ち合わせと実習、寿庵への菓子
の依頼。だんだんと、ぽんいちの学園祭に向けていっきの気
合いが高まって来る。
 しかしプロジェクトのイベントリハで、いっきたちは思わ
ぬ課題を突き付けられる。演出を手伝ってくれる演劇部副部
長の外山杏梨の厳しい指摘。想いを言葉にするなら、へなへ
なな声じゃ届かない。ちゃんとそれを見せる意識がないとだ
め。外山に実例を見せられたいっきたちは、短期集中のボイ
トレと演出の見直しを余儀なくされる。
 主催者でありながら、取り組みが甘かったことを苦にして
落ち込むいっき。しかし、そのどさくさに隣家の鈴木さんが
緊急出産で病院に担ぎ込まれ、残された鈴木さんの長男の世
話をするはめになった。いっきは、子守りを手伝ってくれた
リョウの意外な一面を知る。

 そして。ぽんいちの学園祭が開幕した。初日のステージで、
プロジェクトメンバーのじん白井 仁)率いる1Gが披露し
た見事な無言劇を通じて、言葉のもろさ、頼りなさを突き付
けられたいっきは、屋上で自分に想いが伝えられるかどうか
悩むが、自分なりに表現するしかないと開き直る。

 二日目。1Cの主催したバル『ゴセモス』は大盛況。演し
物も料理も高い評価を受けた。かっちんたちのバンド、ラー
クスもその実力を出し切って喝采を受け、見事にデビュー戦
を飾った。
 学園祭が終わりの気配を漂わせる頃。いっきたちは、プロ
ジェクトのイベントに臨む。これまで活動に関わってくれた
大勢の関係者が見守る中、一番想いを伝えたいぽんいちの生
徒たちに向けて、いっきたちは持てる力を全て出し切って朗
読と演奏に集中した。そして、最後にいっきが思いの丈を振
り絞って訴える。中庭を見て下さい。そこに何が必要かを教
えてください、と。いっきは自分の未完の詩を朗読し、それ
が完結するように庭に関わる決意を改めて表明する。プロジェ
クトメンバー全員による挨拶で、舞い上がり彷徨する鳳凰。
いっきは、少しは中庭に元気をあげられただろうかと自問する。
 イベントが終わって、中庭はいつもの静かなたたずまいに
戻った。残っていたいっきは、後夜祭に誘いにきたしゃらを
座らせ、これまでの協力に感謝するとともに初めてのキスを
かわした。出歯亀満載の中で。それは……たこ焼き味だった。

 学園祭後のクラスの打ち上げで、料理を全品売り切った1
Cの模擬店が思いがけない多額の収益を上げたことが報告さ
れる。しのやんの提案で、その収益は宇戸野から借り受けて
いるエクステリアの購入代金として学校に寄贈されることに
なった。いっきはスポンサーの発言力が一番強いと言った母
の忠告を実感する。

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一年生編 あらすじ(3) [あらすじ]

一年生編 第八十三話〜第九十九話 二学期前半編


 新学期入りして早々に、転校生の女の子、しょーここと
小野寺晶子がいっきのクラスにやってきた。それは夏休みに中
庭で出会った犬を追いかけていた子だった。病気で一年留年
していたというその子は、なぜかしきりにいっきに絡み、同
じ質問を繰り返す。「楽しい?」 とまどういっき。

 一方で、学園祭に向けたプロジェクト主催のイベントの準
備も着々と進んでいた。ポエトリーリーディングの伴奏を依
頼するために、軽音部部長で超絶スパニッシュギタリストの
岡辺の説得にあたったいっきはそれに成功し、その勢いで中
庭の整備になだれ込む。エクステリアの設置を終えたいっき
たちは、秋物の花苗の確保に乗り出す。

 学園祭のクラスイベントでも、バルをやることを提案した
いっき。盛り上がってとんとんと割り当てが決まったまでは
よかったが、しょーこが突然売り子当番を拒否。鉄面皮の
しょーこにわだっちがぶち切れて、しょーこはクラス中を敵
に回すはめになった。
 おかしい。どこかがおかしい。いっきは、これをミステリー
と見て、しのやん、ばんこ伴野桐子)、さとちゃん佐藤
真琴
)のミステリー班を召集する。これまでの情報を整理し
て、早速謎解きに動き出すしのやん。
 しのやんはすぐにしょーこの過去を洗い出した。そして、
入院中仲良くなった同室の女の子の心臓がその死後にしょー
こに移植され、それが彼女の生をもたらしたという壮絶な事
実がいっきたちに突き付けられた。同席したわだっちにも逃
げ場はなかった。

 秋苗の植え付け作業後に、亡くなった友人の模倣を出来な
くなったしょーこが幽霊のように現れる。いっきは、その異
常さをしょーこに説明するが、のれんに腕押し。いっきたち
はしょーこを伴って会長宅に庭作業の報告に行くが、会長は
しょーこに、時間をかけてまず自分の居場所を作れとアドバ
イスする。
 わだっちも自分なりの付き合い方を考えて、しょーこにス
トレートなやり取りをすることを持ちかけ、二人の仲違いは
丸く収まる。いっきは、わだっちの決断の潔さに感心する。

 プロジェクトとクラスのイベント両方に絡んで少し疲れた
いっきは、休日に街区頂上に残る木立ち(モヒカン山)に昼
寝に行き、そこで長身短髪の女の子がフルートを吹いている
のに気付く。ポエトリーリーディング用にオリジナルの詩を
作らないとならないいっきは、そこで作りかけを朗読し、女
の子に気付かれる。彼女は二歳年上の町内会長の娘(高井 涼
で、超のつくヤンキーで有名なゴナンのリョウだった。しか
し、それを知っても全く態度が変わらないいっきに、リョウ
が逆に興味を示す。
 そして休日に息抜きでホームセンターに出かけたいっきは、
そこに店員姿のリョウの姿を見て驚く。パートさんにも菊田
にも今は店員適性がないと言われたリョウに、いっきは短時
間のバイトで実務を見せ、ヒントを出した。ホームセンター
からの帰りに、リョウにタカの仕事姿を見せるいっき。リョ
ウは、そこで何かを掴む。

 学園祭の準備でばたついてる最中、突然しおんから呼び出
しがかかる。超お嬢様高校の聖メリアの先生が面会したい、と。
意図が分からず首を傾げながら出かけたいっきは、呼び出し
の相手が理事長(若槻英代)であること、その理由が鉄壁の
ガードで知られる聖メリアの学園祭の入校許可証発行の是非
であることを知って頭を抱える。
 リハビリでしおんと知り合ったことを伝えたいっきは、プ
ロジェクトの説明をする。その活動に、会長、尾花沢、宇戸
野といったそうそうたるメンバーが関わっていることを知っ
た理事長は仰天し、許可証ではなく招待状を出すと約束する。
いっきは、会長に憧れる理事長としおんのクラブへの入会希
望を預かることになった。

 クラブ入会に浮かれた若槻は、早速しおんを連れて会長宅
を訪問。そこに元気のないリョウが現れる。母親との確執だ
けでなく、働く覚悟の足りなさをいっきと会長に指摘された
リョウは、自分が変わる姿を手本にしたいといういっきの言
葉に衝撃を受け、一礼して去る。
 数日後、リョウは自分なりの仕事への向き合い方を考えて、
きびきびと働き始める。それを見て目を細める菊田は、いっ
きに自分の後継者として育てると告げ、自分がかつて暴走族
のヘッドだったと明かしていっきを驚かせる。

 着々と進むプロジェクトイベントの準備。打ち合わせのた
めに、りんがハーピストの従姉のそみちゃんこと里村素美
連れてしゃら、ちっかとともにいっきの部屋を訪れる。しゃ
らは、いっきが超絶美人の里村を見て絶句したことを妬むが、
逆に里村がイベントを壊す恐れがあることを指摘されて青く
なる。
 マスケラで顔の一部を隠すことで調整することになったが、
いっきが外見に振り回される里村の心中を思い遣ったことを、
母が高く評価する。

 保健委員のペアである能天気で大食らいの恩納先輩(恩納
文香
)の不調。保健室で先輩の面倒を見る養護教諭の森本は、
中沢と五条の過去に関わってきたことを明かすとともに、大
野への実らない想いを抱えてきたことを吐露する。森本は、
人間は業の深い生き物だといっきに語る。

 そして十月。片桐の予言は、いっきたちが予想もしていな
い形で実証された。なんと、会長が懐妊!
 会長本人が呆然とする中、いっきとしゃらはそのサポート
をすることを決意する。片桐は、白紙で生まれ来る子に後悔
を吹き込むなと会長に警告する。一方いっきの母は、船員の
夫がほとんど家にいない会長への接触を慎重にするようにと、
いっきに強い警告を発する。
 会長懐妊の波紋が広がる中、しゃらがモデルを務めたわ
だっちの彫塑と花屋バイトの成果を結集したじょいなーの油
絵がともに高美展で特選を受賞したことを喜ぶいっきとしゃ
らであった。

 一難去ってまた一難。突然リョウが授業中にいっきの高校
を訪れた。リョウの母親が物騒な妄想を爆発させて入院して
しまったことに、呆然とするリョウ。いっきと大野はそのサ
ポートに動くが、リョウの父はリョウを残して実家に引き上
げることをいっきに告げる。突然壊れる家。いっきは深く考
え込む。




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一年生編 あらすじ(2) [あらすじ]

一年生編 第五十九話〜第八十二話 夏休み編


 夏休み序盤。寂れた花屋のおばあさん(指月喜代子)に話
しかけられたいっきは、指月の孫(田代智美)の出産立ち会
いの間、そこを借り受けて花屋をすることになった。早速
しゃらとクラブ員であるみのんことマイアー稔、美術部員の
じょいなーこと立野敦記と組んで、準備を始める。
 そこへ、花屋の隣にある和菓子屋寿庵の臨時店員として、
しゃらのかつての仇敵長岡がぐだぐだの状態で五条に引っ張
られて来た。謝罪どころか自分の殻に閉じこもるだけの長岡
に対して、被害者感情を爆発させるしゃら。いっきはみのん
たちに、ここで膿みを出さないとしゃらは前へ進めないと訴
える。
 花農家のゆずぽんこと佐々木譲、和菓子屋寿庵中村信太郎
と組んだいっきたちの店は、じょいなーの描いた似顔絵を付
けるというアイデアが当たって大繁盛になる。
 中村に三日間預けられた長岡は、そのしごきをこなして、
お菓子を作る楽しさに目覚める。同時に自分の壊したものへ
の恐れを感じて、初めて生の感情が出る。花屋の終了後、長
岡は指月宅への住み込みを直訴し、指月にそれを認められて
号泣する。
 すみちゃんたち市商の班に花屋をバトンタッチした後、バ
イト代として大金を手にしたいっきだが、指月の孫への厳し
い姿勢に触れ、成功した嬉しさよりも商売の怖さを痛感する
のであった。

 突如割り込んできたしゃらを加えて、家族で軽井沢に避暑
に出かけたいっきたち。そこで、いっきはけじめをつけるた
めにしゃらに初めて自分の想いを伝える。好きだよと、はっ
きりと。これまでいっきの気持ちを掴み切れずに不安の中で
過ごして来たしゃらは、舞い上がってキスを要求するが、
いっきはやんわりと拒否。ぶんむくれるしゃら。
 翌日機嫌を直したしゃらと出かける寸前、いっきの妹の
実生(みお)が散歩中に野球のボールを頭にぶつけられて卒倒。
実生を背負って連れて来た中学生の松本康太郎と実生が、お
互いを意識しながらもうまく意思表示できない状態になる。
 帰宅前日に実生のところを再訪した松本に、母が娘の複雑
な性格をゲームであぶり出させ、見せつける。それでもいい
のか、と。
 どこかもやもやを残したままで、いっきたちは帰宅するこ
とになった。

 軽井沢から戻って早々に、熱射病で実生が倒れる。どたば
たの最中に尾花沢がいっきのところを訪ね、台風で中庭の木
が倒れる恐れがあると警告を出す。
 気になったいっきが、中庭への人の出入りを止めようと用
務員とロープを張った後、中庭に人影を認めてうろたえる。
それはプロジェクト唯一の上級生片桐みえりだった。いっき
からロープを張ったことを聞かされた片桐は顔色を失う。そ
の直後に、いっきは何者かに襲われる。必死にロープを外し
たいっきは、中庭の曰くがただならないことを初めて思い知る。
 中庭の木が倒れれば最後の抑えが失われると焦る片桐は、
邪念の実体化を防ぐためにいっきと二人で必死に依り代となっ
ているボタンを探して庭から出し、仮の結界を張って一時的
に庭を封鎖した。

 台風の通過後、中庭の木は全部倒れていて、抑えの機能は
完全に失われていた。苦悶する片桐に尾花沢が示したのは、
鳥居の束石。片桐はそれを中庭の八方位に埋めて気を鎮め、
モニュメントの下に埋められていた宇戸野の髪を出して、そ
こに守り神(鳳凰)を降臨させた。安心したいっきに片桐が、
鳳凰には邪を祓う力はないと警告する。結界を張るのに使わ
れた銀貨が暴れた邪念によってくちゃくちゃになっているの
を見たいっきは、それをお守り代わりにすることを決める。
 中庭の物音を聞き付けてやってきた中沢に引き連れられて、
その家にやってきた片桐は、両親の怨念が降り注ぐその家か
ら早く出るようにと中沢に強く警告する。
 その翌日、いっきは会長としゃらに物の怪騒動のてん末を
報告した。縮み上がる二人。

 お盆。母方の祖母の墓参で、思いがけず祖父の縁者がいっ
きたちの前に現れ、母が恨んでいた祖父の事情が初めて明ら
かにされる。母は行き場のない想いに泣き崩れた。
 一方で、父が養子で誰とも血縁がないにも関わらず、それ
を未だ頓着しない養父母の親族の暖かさに、いっきたちは血
の繋がりの意味を考える。

 お盆開け。いよいよ中庭での作業が始まる。下地を作る作
業の後にはレイアウトを考えなければいけない。いっきたち
は尾花沢に早速宿題を負わされる。
 植え付け直後に中庭の世話に出かけたいっきは、そこで犬
を追いかけていた一人の少女に出会う。彼女はいっきに聞く。
「楽しい?」

 中沢は片桐の助言を受けて、かんちゃんが住んでいる理髪
店とは目と鼻の距離にあるアパートに転居する。引っ越しの
お礼といっきを呼んだ中沢は、夏風邪を引いたかんちゃんも
呼んで食事の世話をする。いっきは生徒とかんちゃんを区別
しない中沢の粗雑な態度に呆れるが、しゃらはその裏を鋭く
見抜く。惹かれていても、お互いの闇の深さに踏み込めない
んじゃないか、と。
 ほどなく、中沢の旧宅が全焼した。

 親が交際を反対している中学生カップル(長崎大介加賀
野広海
)がいっきにアドバイスを求めに来る。高校を目指す
目標を自力で立てるよう説くいっき。同じ日、実生ははるば
る訪ねてきた松本くんと、初々しい付き合いをスタートさせる。

 夏休みも残り少なくなり、叔父にあたるリック・マクブラ
イト
と伯母にあたる万谷巴の訪問があったり、しゃらと二人
でプールに出かけたり、模試を受けたり、タカ主催の大ロッ
クパーティーに出かけたりと、いっきは充実した日々を過ご
した。
 プロジェクトの方も主要な関係者が会長宅に集まって、今
後の方針が話し合われ、骨格が固まる。その席で、片桐が会
長に予言する。十月になればきっといいことがありますよ、と。

 



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一年生編 あらすじ(1) [あらすじ]

一年生編 第一話〜第五十八話 一学期編


 父親の転職を機に田貫市の新居に引っ越してきたいっき
工藤樹生は、通い始めた高校(田貫第一高校 ぽんいち)
で、かっちんこと中塚勝広なっつこと井本夏乃と意気投合
して友達になり、幸先のいい高校生活のスタートを切る。
 いっきは膝の怪我で部活の選択肢がないことを逆手に取っ
て、高校の荒れ果てた中庭再生をオリジナルの部活にするこ
とを思い付き、その第一歩として隣家の園芸通のおばさん、
会長こと波斗聡子の発案で園芸愛好会グリーンフィンガーズ
クラブ
を結成する。
 同時に、中庭で生物教師の“猫拾い”中沢瑞宝と、いっき
と同じように中学で壮絶ないじめを受けていたしゃらこと
御園沙良と出会い、いっきとしゃらはよっこ先輩元西与子
とともに、潰れた生物部の仕事を手伝わされるはめになる。
しゃらは、中学時代の悪夢に捕われず未来指向のいっきに好
意を抱く。

 街中で、怪我をしながらもしゃらの中学時代のいじめ加害
者を撃退し、しゃらを助けたいっき。そのフォローに訪れた
担任教師の大野や中沢は、いっきの心の傷がまだ癒えてない
ことを垣間見る。
 その後、偶然に駅前で山形時代の合気道の師範(八内兵衛
と再会したいっきは、中学のクラスメートだった兵衛の孫娘
あっきーこと八内亜希が、いっきの怪我を苦にして合気道か
ら離れていることを知る。直後、再度いっきとしゃらを襲っ
た因縁の相手を師範が軽く撃退し、それに深く感動したしゃ
らが合気道を始めると言い出す。
 しゃらの指導を師範から押し付けられた婦警の五条千咲は、
二人を呼び出してそれぞれに警告を発する。しゃらには合気
道を習うことを人に漏らすな、いっきには生の感情をちゃん
と出せ、と。その帰り道、しゃらはいっきに想いを告白。そ
れを受けて、二人はトモダチから付き合いをスタートさせる。
そして、しゃらもクラブメンバーになる。

 ゴールデンウイーク。山形から来襲した元気いっぱいの
あっきーに手を焼くいっきだったが、いっきの怪我を気に病
むあっきーの心の傷の荒療治のため、五条とともにあえて厳
しい組み手をあっきーに挑み、見事に過去の呪縛を解く。そ
の後、ピクニックや野外コンサートのイベントを介して友達
を増やしたいっきたちは、わいわいと賑やかに過ごす。
 こどもの日に会長宅を訪ねたいっき、しゃら、あっきーは、
会長からそれぞれの心の弱さを指摘される。そして、会長の
娘(波斗一帆)が五年前、十五歳で自殺していることを知る。
 連休最終日。いっきにぎごちない告白を試みるあっきー。
だがいっきは、まだ人恋しさの中から抜けられない、トモダ
チを作るだけで精一杯だとそれをはねのける。まだチャンス
はあると言い残して、あっきーは笑顔で山形に帰った。

 連休明け、しゃらの最後の拠り所だった祖母が病死し、しゃ
らに生活の危機が迫った。いっきとかっちん、なっつ、りん
市東 倫)といった友人たちは、葬儀に駆けつけてしゃらの
心を支えるとともに、奔走してしゃらの家庭再生の道を探る。
いっきたちは、アル中で自立支援施設に入所していたしゃら
の父親の理髪店再開の決心を引き出し、五条や会長のサポー
トもあってしゃらは危機を乗り切る。
 生活を安定させるためにバイトを探したしゃらと、それに
便乗するいっき。そのバイトを介して、造園業の尾花沢利明
ホームセンターの菊田宏子、花農家の榎木苑江らと知り合い、
真剣に仕事に向き合うことの厳しさを知り、また貴重な人脈
を得る。
 両親が理髪店を再開したしゃらの状況が落ち着いたので、
いっきは中庭復興の具体策を考え始める。そのいっきに、校
長(安楽忠治)から課題が課せられる。組織して中庭に手を
入れ、そのノウハウを残せ、権限を不法に握っている事務長
保岡 壮)を自力で説得しろと。

 中央公園に初デートに出かけたいっきとしゃらは、そこで
この前しゃらを襲ったグループにいたすみちゃんこと住田美緒
に出会った。
 住田は自分が無理やりグループに引きずり込まれたこと、
しゃらいじめの最先鋒だった長岡令奈が、しゃらの襲撃に失
敗した責任を負わされて付き合っていた男の兄に暴行され、
重傷を負った上に親から見放されていると語る。しゃらは、
中学時代のクラスメートとの関係修復に踏み出し、すみちゃ
んとむーちゃん室井ほのか)にそれを持ちかける。

 体育祭の鈍足リレーメンバーから卑屈な出場依頼を持ちか
けられたいっきは、それを断るとともに逆にショーアップを
提案する。それが奏を功して、いっきのいる1Cは落伍者を
出さずに学年優勝を勝ち取った。
 アイデアマンとしてのいっきの能力に気付いたクラスメー
トたちは、いっきに対する見方を変えていく。ほぼ時を同じ
くして、いっきは初めて携帯を手に入れる。

 その後、白紙事件を介して友達に自分としゃらの過去を明
かしたいっきは、合コンを企画してしゃらとその中学の同級
生との仲直りを橋渡しし、一気に友達を増やした。それを通
じてかっちんとりんはギタリストのすみちゃんとボーカルの
ちっか千賀千香)を引き入れ、軽音部でロックバンドを立
ち上げる。

 バイト帰りに尾花沢に中庭を見てもらったいっきは、そこ
に曰くがあることを指摘される。専門家の見立ての重要性を
覚ったいっきは会長にも庭を見てもらい、母の発見もあって
かつての中庭施工者の宇戸野一呼を探り当てる。
 校史の冊子から、十二年前の中庭施工時の美しい中庭が一
年も保たず、近年は完全に放置されていることを知って愕然
とするいっき。
 校長の課題をクリアするため友人たちに声を掛けたいっき
は、中庭復興のためのプロジェクト立ち上げを提案し、中庭
に心を植え心をつなぐという目標を立てて、ハートガーデン
プロジェクト
を発足させる。
 さらに施工者の宇戸野を訪ねたいっきらは、見かけを整備
しただけでは中庭が救えないことを痛感する。

 作家志望の友達、しのやんこと篠崎正晴に事務長の説得材
料探しを依頼していたいっきは、七年前に中庭で生徒が死亡
するけんかがあり、それに保岡が出くわしていたことを知ら
され、覚悟を決めて保岡との一対一対決に臨む。一生後悔を
引きずって生きるのかと迫るいっきに保岡が折れ、中庭の管
理権を生徒側に取り戻す。
 機は熟した。いっきたちは代表者を選んで校長と事務長と
の交渉に望み、プロジェクトによる中庭の整備を正式に認め
られる。

 期末試験前、幽霊生物部の解散宴会と称して中沢の家に呼
ばれたいっきとしゃらは、中沢と五条の壮絶な過去を知らさ
れる。実の親に保険金目当てで殺されかけた中沢。親からネ
グレクトされ、猛烈にグレたあげくケンカに負けて強姦され
た五条。そして死を望む二人を、大野が自宅で妻とともに献
身的にケアしたこと……。中沢はいっきに、傷はどんなに時
間がたっても塞がらない、それと向き合うしかないと諭す。

 試験が明けて、突然家に押しかけたリハビリフレンドの
しおんこと久我詩織のアタックを、同情と好意は違うと拒絶
したいっき。会長は、失意のしおんの前で自殺した娘を引き
合いに出し、生きている限り誰でも幸せになる権利がある、
でもそれは使わないと取り上げられる、と諭す。
 同じ日、従業員を募集しようとしたしゃらの一家に、五条
から殺人罪で服役している受刑者の雇用打診があった。恋人
を殺され、その犯人に復讐したという事情を聞いてうなだれ
るしゃらたち。
 出所後、付き添いの刑事とともにしゃらの家を訪ねたかん
ちゃん
こと桧口 完は、しゃらの父親に自らもまだ立ち直る途
上だ、一緒にがんばろうと励まされ、その温情に触れて涙を
流す。
 かんちゃんの生活物資確保のためにかっちんのところへ出
向いた一同はそのまま宴会に引きずり込まれ、かっちんの兄
であるタカこと中塚孝広のスケールの大きさに驚かされる。

 一方、プロジェクトの広報でポスターを掲示したいっきた
ちに生徒会からクレームが付き、しゃらが生徒会室で生徒会
長の高岡に襲われるという事件になった。いっきは高岡を撃
退したが、副会長の木崎、書記の大村にプロジェクトの甘さ
を指摘され、対策案を示される。いっきたちは、その真摯な
姿勢に圧倒される。

 夏休み直前。タカのおおらかさに惹かれた五条の恋煩いが
深刻化し、関係者全員で五条の尻を叩いて本人の前で告白さ
せた。オーケーを出したタカとのカップルが誕生する。また、
その時に中沢がかんちゃんと出会う。

 しゃらは、美術部員のわだっちこと和田六月の彫塑のモデ
ルを引き受け、付き添ったいっきに心が見えないことを訴え
る。また、お互いの部屋への行き来を通じて、いっきに友達
より深い繋がりを求めるようになっていく。



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