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一年生編 あらすじ(6) [あらすじ]

一年生編 第百十九話〜第百三十話 クリスマス、年末編


 十二月に入り、クリスマスイベントを考えようとプロジェ
クトが動き出す。同時に、いっきの家でも人を呼んでクリス
マスパーティーをしようということになる。父がクリスマス
嫌いで一度もパーティーをしたことがないしゃらは舞い上が
り、期末試験の勉強に手が付かなくなる。
 中庭のクリスマスディスプレイを済ませたいっきは、喫茶
店リドルで中沢に出くわし、相談を持ちかけられる。両親の
減刑嘆願に協力するか否か。いっきは、資産になるものが一
切ないことを示して両親の反応を探ってはどうかと提案し、
中沢も納得する。

 期末試験が近付き勉強に精を出すいっきのところへ、突然
レンがやって来る。聞けば、高瀬さんが老人ホームに入所す
ることになり、いきなり自立を迫られた、と。レンが看護師
の資格を持っていることを知ったいっきの父が、それを活か
すべきだとアドバイスする。謝して立ち去る間際、隣家の鈴
木の新生児を抱かされ、怯えた子が泣く。傷付くレン。しか
し、鈴木にこの子はまだあなたの顔は見えない、切羽詰まっ
た雰囲気に怯えたと言われ、黙して去る。
 レンの登場で勉強が手に付かなくなったいっきは、リョウ
に臨時の家庭教師を頼み、徹底的にしごかれる。そして、
リョウもクリパへの参加を決める。

 試験が終わって、いっきはレンの就職先としてリハビリで
通っていた佐古丸総合病院のリハビリ科に目をつけ、担当医
藤崎弥生に打診する。呼びつけられたレンとその履歴書を
見た藤崎は、即座にレンに言い渡す。使えない。
 しょげるレンを藤崎がどやす。自分が泥沼にいるうちは、
同じ泥沼にいる患者さんを介助できない、まずあなたにリハ
ビリがいる、と。藤崎は自分がガンで片目を失っていること
を見せ、生への執着を見せつける。生きることにどこまでも
こだわらない限り、道は開かないよ、と。
 その姿勢に打たれ、前を向いたレンの元に吉報が届いた。
いっきはレンをクリパに誘い、レンはそれを快諾する。

 冬も深まり、珍しく積雪があった日。いっきの家族と、しゃ
ら、会長夫婦とで、冬のローダンセ美術館を鑑賞に行く。秋と
は違う峻厳な景観に息を飲む一同。いっきは会長に佐伯天有の
絶筆を示され、それを深く心に刻む。
 いっきたちを歓待した橘兄妹。しかし、彼らは実の兄妹では
なく、父親の再婚相手の連れ子同士だった。家庭を守るために
あえてお互いへの恋心を封印する二人を、いっきの母がクリパ
に誘う。

 期末試験の結果があまりに良すぎてカンニングの疑いをかけ
られたいっきは、複雑な気分で帰宅する。そこに、糸井との関
係がこじれたレンが糸井を伴って現れる。糸井の知らない間に
高瀬の入所とレンの就職が決まっていたことに激怒する糸井。
しかしいっきは、成人しているレンに糸井の庇護は必要ないと
突き放す。苦笑した母が糸井のレンへの恋情を暴露。それを受
け入れられないレンが押さえ込んでいた憤怒を爆発させ、糸井
に引導を渡した。失恋した糸井を、母がクリパに誘う。

 模試に出かけたいっきは会場でりんに捕まり、親からの独立
の方法を聞かれる。里村を巻き込んだ下宿を提案するいっき。
その後クリパのプレゼントを買い出しに行ったいっきは、しゃ
らにあてたメッセージカードの文面を練る。

 クリパには、工藤家の四人の他、しゃら、リョウ、伯母の巴、
橘兄妹、レン、糸井、それに駆け込みで参加した花農家の佐々
木の十二名が集った。自己紹介のあと、和やかな雰囲気の中で
ホームパーティーが始まる。談笑の合間に、それぞれの抱える
葛藤や軋轢がちらちらと顔を出す。失恋で泣き上戸になった糸
井のキス事件などもあったが、母のフラメンコ披露で盛り上がっ
たあとプレゼント交換となる。それぞれの祈りと想いを込めて
披露される小さなプレゼント。その心を抱きしめながら、パー
ティーはお開きになった。
 最後にいっきとしゃらとの間で、万感の想いを込めてプレゼ
ントとメッセージが交わされた。

 クリパの翌日は雪。終業式のあといっきは、二日酔いに苦し
む中沢の面倒を見てくれと大野に頼まれる。いっきの家では中
沢だけでなく、同じように酒で潰れた糸井と妹の実生が転がっ
ていて、野戦病院状態。
 中沢の深酒はただの飲み過ぎではないと見破ったいっきに、
中沢は両親との絶縁とかんちゃんへの届かぬ想いを白状して泣
く。同じように失恋で泣き暮れる糸井と実生。

 年の瀬が押し迫る中、老人ホームに入所した高瀬をいっきと
しゃらが見舞う。高瀬は糸井とレンとの関係が、そもそも不自
然なものであることを二人に話した。お互いに舐め合う傷は腐
る、と。また二人は、花屋のおばあちゃん指月が、かつて高瀬
の愛娼であったことを知って愕然とする。帰りがけに指月のい
る花屋に寄った二人は、指月に長岡との友達付き合いを頼まれる。
生きるためには今を見なければいけないと言って。

 おおみそか。いっきは、静かに一年を振り返る。いじめから
の逃避だけを考えていた年初。引っ越しを機に、ゼロからいろ
いろなものを積み上げてきた一年だった。たくさんの出会いが、
彼を彩ってきた。いっきは、それをコトバにして噛み締める。
『こんにちは ありがとう』

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