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三年生編 第99話(2) [小説]

「うーっす……」

甘くなかったか……。
バスに乗ってる間に、頭痛の脈動が大きくなってきて。
やっぱりロキソニンは効かなかった。

「おい、いっき。おまえ、めっちゃ顔色悪いぞ」

言われなくても分かってるわい。
ヤスが心配してくれるのは嬉しいんだけど、その声すらも
頭痛を増幅しちゃう。

「ううー、頭痛がはんぱね」

「帰った方がいいんちゃうか?」

「とりあえず、一時限だけは死ぬ気で受ける」

「まともに聞けないんちゃうの」

ごもっとも。

「いっきー、やっぱ無理しない方がいいよう」

しゃらも泣きそうな顔をしてる。
それだけ、誰から見ても僕の状況がよくないってことなん
だろう。

「まあね。えびちゃんのリーディング終わったら、保健室
経由で病院行くわ」

なんとかなるかと思ったけど……吐き気がしてきた。
ぐ……うう。これは……もうヤバいかも。

予鈴がなって、朝のホームルーム。
教室に入ってきたえびちゃんが、僕の顔を見るなり即座に
命令した。

「工藤くん」

「ふぁい」

「退場」

そうだよなあ……。やっぱり無理だったか。

「保健室経由で病院に行きます」

「どこ?」

「佐古丸総合病院です。頭痛外来があるので」

「分かった。すぐに行って」

あーあ、結局迷惑かけちゃったな……。
母さんが言ってたみたいに、素直に病休にしとけばよかっ
た。

先生に一礼し、しゃらにちょっとだけ手を振って。
教室を出た。

ずぐん、ずぐん、ずぐん……。

「いででででで」



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