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三年生編 第98話(3) [小説]

下校時。
校門を出たところで、薄くなってきた青空を見上げて大き
く息を吐いた。

「ぶふう」

「やっぱ授業とか、すっごい濃くなってきたねー」

「んだ。ここが踏ん張りどころだなー」

しゃらと肩を並べて、ゆっくり歩き出す。

これまで、なんだかんだ言って後輩をサポートをしてきた
旧イベ班の重鎮……しゃら、ちっか、りんは、完全にプロ
ジェクトから手を引いて後輩主導に切り替えた。
その分、しゃらの下校が少し早くなったんだ。家のことも
あるしなー。

企画班を率いる黒ちゃんやみぽりんにとっては、これから
が正念場。
まあ、僕らの時とはシステムが違うし、その違うってこと
を全力で楽しんで欲しい。

月末には高校ガーデニングコンテストの受賞式もあるし、
気分はあげあげでしょ。
僕らは、自分自身のことであげあげにしていかないとね。

「お母さんの具合いはどう?」

「うーん、一進一退かなあ。でも、ものすごく良くなるっ
てことは、もうないと思う」

「うん。そっか」

ふう……。

「お母さんの場合はさあ、とにかく無理しないってことを、
しっかり守らせるしかないんだよね」

「そうだよなあ。お母さん、エンジンかかるとがんばっちゃ
うんでしょ?」

「そうなのー。さすがに、新規開店前に入院なんてことに
はしたくないって自重してるけど……」

「しばらくは目を離せないね」

「うん。体にすっごい負担をかけなければ、でこぼこあっ
てもフツーに暮らせるから」

「なるほど。開店の時も、張り切りすぎないようにブレー
キかけないとってことだなー」

「うん」


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