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ちょっといっぷく その214 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 本編休止、お弁当休暇中です。

 てぃくるを二巡させましたが、このあと本編の最後の在庫を吐き出します。これで在庫ゼロ。わはは。(^^;;

 2010年のスタート時は怒涛の勢いだったのに比べると、まさに竜頭蛇尾ではあるんですが、だからと言ってつまらないエンディングにはしたくはないので、たっぷり仕込みの時間を使います。これからしばらく、ほとんどてぃくるだけになると思います。

 三年生の10月後半部分が書けない限り、半端に本編を継ぎ足しアップしないつもりです。

 ◇ ◇ ◇

 さて。これからお届けする第108話と109話ですが、大きなイベントをお届けします。

 本作は、父親の転職に伴っていっきが山形から田貫市に来るところから始まりました。誰も知り合いのいない高校で、早々に知り合ったのが恋人のしゃらでした。しゃらがいっきに対して好意を寄せるようになったのは、しゃらの家族の再生に真剣に取り組んでくれたからなんです。

 一度店を潰されてしまったしゃらの父親は、いっきたちのサポートもあって家業を再開。そのあとかんちゃんを巻き込んで一気に再生を加速し、店のリニューアルに踏み切ったのが三年になってすぐ。林さんという同業者の土地家屋を買い取って上物を建て直し、いよいよ新装オープンです。それが今回お届けする二話になります。

 いっきが手伝ったのは、あくまでもスタートアップだけ。自分の再生も不十分なのに、人に手を貸すことはできませんから。でもいっきが起点になった再生アクションは大きな流れに乗りました。その集大成が、御園理髪店のリニューアルなんです。

 とてもめでたいんですが、いいことばかりではありません。資金に余裕のない御園家は大博打を打ったことになりますし、しゃらの母親の体調も一向によくなる気配がありません。それでも。賽は投げられたんです。

 いっきは、店の再生に関わった人たちと喜びを分かち合うだけでなく。人生の厳しさ、困難さについてもじわりと思い知らされることになります。

 好ましいイベントではあっても、全てを薔薇色に塗ることはできない。そういう苦さも込みで、お読みいただければと思います。

◇ ◇ ◇

 閑話休題。バレンタインデーですね。
 おっさん……というか、すでに爺さんのわたしには縁のないイベントですが、息子の受験も終わりましたし、気分あげあげでいきたいところ。でも、新型コロナのとばっちりで業務がぎちぎちに詰まっています。
# 再雇用後の方が忙しくなるって、どうなのよ。(^^;;

 まあ、ぶつくさぼやいていても仕方ありません。麦チョコを買って、自分にご褒美をやることにしましょう。安いし。(笑 


 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

 アメブロの本館で十年以上にわたって書き続けて来た掌編シリーズ『えとわ』を電子書籍にして、アマゾンで公開しました。第1集だけ300円。残りは一集400円です。最新作は第25集で、第26集も近々刊行予定です。
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 ◇ ◇ ◇

 つーことで、三月後半までてぃくるを挟みながら本編をお届けしてまいります。どうかお付き合いください。


 ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽にコメントしてくださいませ。





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寒さに耐えて赤くなってるわけでも

春を先取りしてるから赤いわけでもないの

ただ単に 赤いの

それでいいでしょ?




 ウグイスカグラの花。
 本来の花期はもっとあとなんですが、真冬からもう咲き始めます。がんばるなあ……。





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ちょっといっぷく その213 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 年明け最初のいっぷくですが、本編が進んでいないので近況報告のみ。
# いっぷくしてばかりでいいのかというツッコミはご容赦を。(笑

◇ ◇ ◇

 掌編は欠かさず書き続けているものの、文量の多いものに取り組もうという意欲がちと減退しています。
 なんでもかんでも新型コロナのせいにするつもりはありませんが、ずっと落ち着きなさを引きずっている感じで、集中できないんですよね。

 オミクロン株についてはまだ評価が定まりきっていませんし、第六波の山が潰れるまではひたすら辛抱するしかありません。ノリの悪い時に長いのを書けないのは経験的にわかっているので、しばらく冬眠するしかないようです。

◇ ◇ ◇

 書けない時には読めばいい……その通りなんですが、読書効率もなかなか上がりません。再開したばかりの読書のわくわく感が少し薄れ、義務感が漂ってきたのが辛いところ。もともと乱読派ではないので、脳を鷲掴みにして引きずり回すような作品でない限りゆっくりとしか読めないんですよね。

 こちらも書く方同様に少しペースダウンさせるしかありません。電子本はその点便利です。どれほど本を詰め込んでも重さが変わらないので、読みたい本だけを好きな時に読むという欲求にはぴったり。問題は、読みたい本がそれなりに高価だということでして。(笑

 キンドル・アンリミテドの書庫に収蔵されている作品はかなり偏っているので、読書欲求を満たすには寸足らず。しばらくはあの手この手で古書の山から発掘作業するしかなさそうです。

 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇

 今年は、体感的に寒いなあとうんざりする冬になりました。それでなくとも新型コロナでくさくさしているのですから、心まで冷やさないようにぼつぼつ準備運動に励もうと思います。

 本編再開までにはまだかなりかかると思いますが、ずっと休ませていたエンジンの暖機運転を始めることにしましょう。
# すぐエンストしたりして。(^^;;


 ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽にコメントしてくださいませ。

 でわでわ。(^^)/




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「やっぱり真冬は野菜が高いなあ。ハンバーガーにレタスを挟めないや」
「紙でレタスを作ってみたんだけど。挟む?」
「それになんの意味があるんだ!」」


 (^^;;




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あけましておめでとうございます [付記]


あけましておめでとうございます


本年もどうぞよろしくお願いいたします



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(ブナの果実)




【初日の出】
 年越しで飲みすぎて、こたつでそのまま潰れていた。眩しくて見上げたら、それが初日の出だった。
 ただし。俺の部屋には窓がない。電球の灯りでも、最初に目に入りゃあ立派に初日の出さ。

【雑煮】
 雑に作っているわけでもないのに雑煮というのはかわいそうだと言ったら、あんたの分は雑に作ってあると言われた。ああ、そうですかい。でも、餅の代わりに古石鹸が入ってないだけまだましだ。

【お節料理】
 お節介な料理のことだと思っていたが、いつも通りの食事だったので、料理はなにもお節介してくれない。ただの卵焼きを伊達巻に見立てて懇願する。なあ、たまにはお節介してくれよ。

【屠蘇】
 酒と屠蘇とは違うらしい。俺は、字が易しい酒の方が好きだなあ。ういっ。

【門松】
 門でずっと待ってたところで、郵便配達のおっさん一人きやしない。寒いから待つのはおまえに任せたと言い置いてきた。
 冥土の路の一里塚と詠んだのは一茶だったか。コスプレしたメイドが来るならともかく、新年早々物騒な歌を詠まんでほしい。

【お年玉】
 もらえることはもうないが寂しいとは思わない。寄越せとうるさくつきまとうやつにも久しく会っていない。
 もっとも、閻魔から年玉なんざもらいたくはないし、貧乏神にくれてやりたくもない。黄ばんだポチ袋を置いて、薄ら笑いをくれてやる。ほら、こいつが俺のお年玉だ。

【凧揚げ】
 凧がひょいひょい上がる勢いで運気も上がってほしいが、上がるのは家賃と食費ばかりだ。商売は上がったりだし、ちょっと動いただけでも息が上がる。
 ろくでもない上がりものは、おまえさんが空に持っていってくれ。そうしたら、俺が糸を切るから。

【羽根つき】
 運がつくなら嬉しいが、羽根がつけてもご利益がない。だいたいあんなごてごてとケバいラケットで小さいシャトルがうまく打てるわけないだろ。おっさんが羽根をつくのはキモいと言われたし。余計なお世話だ!

【独楽回し】
 そんなもんより、誰でもいいから世の中をうまく回して欲しい。俺はいいように振り回されて目が回ってるよ。

【福笑い】
 笑えるような顔なら俺がいるから十分だ。あんたに協力してもらうまでもない。おかめにそう言ったら、渋い顔をされた。まあ……俺がそんな風に仕立てたんだが。

【書初め】
 筆と炭と半紙。そのどれ一つとしてないから、書けないし、書かないよ。まあいろんなところを欠いてるから、それでいいんだろう。わざわざ書くまでもない。

【年賀状】
 増えてほしくない時にはうんざりするほど増え、減ってほしくない時にはこれでもかと減る。ダチがそう愚痴っていたから鼻で笑った。ふん、最初から一枚も来なければこれ以上減ることはないんだ。増減を気にする方がおかしい。

【初詣】
 悪態をついても誰も聞いてくれないから、どんどん無口になる。無口になると、みんながいい人だと勝手に思ってくれる。それはありがたいんだが、俺は本当はとことん悪態をつきたいんだよ。
 仕方がないので、初詣に出かけた時に神仏に向かって散々悪態をつく。それで腹を立てるようなちんけな神仏なら、最初から願い下げだ。

【元旦】
 一年に一度しかないとありがたがるやつが多いが、そういうやつほど次の日にすっぱり忘れる。どんな名前がついていたところで、一日が伸び縮みするわけじゃないんだ。変な肩書きをつけられた一日は、本当に迷惑してるだろう。
 ご苦労さんと言いながら、日めくりのでかい日の丸を破り捨てる。向こうさんもきっとあかんべえしてたんだろう。俺以上にでかい顔しやがってと。



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(チビホコリタケ)



(^^;;




 まあ、新型コロナのこともあって、いろいろストレスの溜まる今日この頃です。たまにはこんな風に、身も蓋もない年始の挨拶があってもいいかなあと。

 え? だめ? けちぃ。(笑





  「いい人」を装う者も装わぬ者も
    諸々集い柏手を打つ






When You Say Nothing At All by The Petersens




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今年もお世話になりました [付記]


本年も拙サイトにお越しくださり、ありがとうございました。


明年も、どうぞよろしくお願いいたします。





 今年はみなさんにとってどのような年だったでしょうか。
 新型コロナで明け、新型コロナを引きずったまま暮れていく一年。社会情勢はともあれ、個人的にはコロナによる変化よりも自身の変化が大きい年でした。

 定年退職と再雇用。同じ職場でありながら、仕事の内容はがらっと変わっています。その大きな変化があったにも関わらず、退職に当たってはほとんどセレモニーもイベントもなし。わたしだけではなく関係者全てがそうなので、いいも悪いもありません。なし崩し的……という感じで、どうにもすっきりしない変化ですね。はっきり変わったのは激減した給料くらいでしょうか。(笑

 一方で、変えたかったけれども変わらなかったものもあります。そう、本編の進行です。今年は、数十話くらいどどっと書きたかったのですが、やっとこさ二話書き進めるのが精一杯。まあ、本館の長編執筆を抱えていましたので、しょうがないですね。あっちもこっちもはできません。

 ずっと同じ場所でスタックしていますので、もうそろそろ再始動の方策を考えないとなあと。来年の話をすれば鬼が笑いますが、鬼もそろそろ笑い飽きたでしょうから、ぼつぼつ足を前に出すことにします。

 つーことで、自分の今年の状況を『炎』で象徴させてみました。



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 何かに挑戦しようとする時には、どうしても熱が要ります。今年のわたしには、種火はありましたが熱源が全く足りませんでした。炎にまでは育てられなかったと思っています。退職前に比べて忙しくなっているにも関わらず、忙しく心身を動かした割に燃えなかったなあと。

 大きく明るく輝く炎がいいとは限りません。小さくても灯され続ける炎が好みです。そういう炎にするためには、もっと熱源が要ります。薪でも灯油でも電気でもいいんですけどね。来年は、その熱源をもう一度探し出し、手持ちのものも再点検する年にしたいなと思います。



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(ナンキンハゼの紅葉)


 焼べられて初めて炎の出る薪と違い、植物が自らを彩る炎には必ずしも熱は必要がなく。また、炎に熱が伴うとも限りません。いつもの営みの中の炎を見落とさないようにすること。それもまた、来年のテーマになるかもしれません。


◇ ◇ ◇


 そんなわけで。消えるでも燃え盛るでもなくゆらゆら揺れ続けた自らの炎をもう一度掲げ。来るべき年の始まりを、その暗がりを、少しだけ照らすことにします。

 どうぞ、みなさまよいお年をお迎えください。



 追伸:
 息子の受験臨戦態勢のため、年末年始のご挨拶は失礼させていただきます。
 コメ欄を閉めますが、どうかご容赦ください。






  最後の最後にガムを噛む。

   それもまた大晦日の一部。






Kindling (Fickle Flame) Elbow ft. John Grant




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ちょっといっぷく その212 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編休止、お弁当休暇中です。今後の予定などなど。

 ◇ ◇ ◇

 このあと久しぶりにSSとしてささやかなクリスマスストーリーをお届けします。SSのカテゴリーで話を編むのは久しぶりです。

 主人公は先日お届けした三年生編第106、107話にも登場したトレマホームセンター社員の高井涼。
 かつてゴナンのリョウとして一斉を風靡した武闘派ヤンキーでしたが、今はまじめにホームセンターの社員として働いています。まあ、上司がリョウ以上の鉄板ヤンキーだった菊田さんですからねえ。(^m^)

 気難しい一匹狼だったリョウは社会人として職務経験を重ねることで徐々に成長していますが、その成長を支えてきたのは実親ではなく上司の菊田さんなんですよ。
 でも。第106、107話でもすでに触れていますが、菊田さんは近々栄転の予定。サポーターを失うリョウの不安を、そのまま話に編み上げることにします。

 トレマホームセンターは、本編においても重要な位置付けになっている店です。いっきの家からだとちゃりで楽に行ける圏内にあり、いっきの花苗購入先としては定番。ハートガーデンプロジェクトで作庭に使う苗の購入元でもあります。二人のバイト先でもありますし、いっきの母親も今はパートタイマーとして働いています。
 店の園芸部門主任の菊田さんはとても厳しい人ですが面倒見がよく、いっきやしゃらにとって頼りになるアドバイザー。

 いっきがバイトするようになったきっかけは一年生編第29話に、リョウとトレマホームセンターとの縁については同じく一年生編第92話に書いてあります。
 菊田さんの過去については二年生編の第72話、菊田さんがホームセンターで働き始めた頃のエピソードについてはSSの『転機』にそれぞれまとめてあります。

 わたしは、本作に登場するどの人物にも思い入れがあるんですが、菊田さんのキャラは特に好きなんですよ。丸顔にメガネの人の良さそうな風貌ながら、読みが深く、ビジネス感覚が研ぎ澄まされていて、人に安易な同情を寄せません。
 自他に恐ろしく厳しいんですが、関わる人が誰であれ中途半端には投げ出しません。弱者をまず抱え込もうとする五条さんとは違い、自他の距離をしっかり考慮した上で必要なアドバイスなり助力を考える。オトナですね。

 これからの話の主人公になるリョウも、ある意味菊田さんに似ています。勘がよく、熟慮の上で最良の選択をする素養があるからです。
 ただ、菊田さんとリョウとの間には一点だけ大きな違いがあります。それは集団というものに対する距離感。暴走族の統率者だった菊田さんと、最後まで一匹狼だったリョウとは、気質の根本がまるっきり違うんですよ。菊田さんは、当然自他の違いをしっかり見据えてリョウにアドバイスをします。

 そのあたりのことをアタマのどこかに置いといてもらえると、話が理解しやすいかなと思います。

 ◇ ◇ ◇

 お届けするリョウの話には、実は下敷きがあります。カクヨムで超絶お題話の企画があり、提示されたお題25個を全部組み込んで話を作れというノルマを達成するための素材として書いた掌編があるんです。それを編み直すことにします。せっかくのお題話なので、入れ込んだネタは外しません。(笑
 どんなネタを組み込んだかは、最後に披露することにしましょう。

 短編ですが二万字弱ありますので、六分割してクリスマス当日まで毎日お届けします。


 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇

 SSお届けのあとはちょこっとてぃくるでつないで、年末年始のご挨拶。それからてぃくるを一巡するところまで続ける予定です。

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 でわでわ。(^^)/



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枯れれば色が失われるという固定観念も

色を失ったものは枯れているという固定観念も

全く役に立たない



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ちょっといっぷく その211 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編を二話だけ進めました。
 このあとしばらく本編を止めますので、二話の要点を総括しておきます。

◇ ◇ ◇

 第106話。学内の雰囲気が学園祭に向かって一斉に走り出していく中、プロジェクトの企画が頓挫してしまいます。

 いっきが先頭に立って引っ張っていた間は、彼が提案をし、お祭り好きのサポーターがそれをがんがん盛り上げるという形で実にうまく行ってたんです。でも、いっきたち一期生が裏方に回った以上、その方式が使えません。後輩たちに舵取りを任せることにしたのですから。
 でも、ゼロからこつこつプロジェクトを組み上げてきた一期生と、受け皿が最初からあった後輩たちの間には、背景にものすごく落差があるんです。プロジェクトがとんでもない大所帯になってしまいましたし。案の定、プランニングの段階でもうスタックしてしまいました。

 いっきが後輩たちに知恵をつけるのは簡単なんですよ。でも、かつてのリーダーが出しゃばれば、いっきの卒業と同時にプロジェクトがぽしゃってしまう……そう心配しているいっきは、どうしても前に出られません。
 本当は、後輩たちの間だけでなんとかけりをつけて欲しかったんですよね。でも結局助け舟を出したのは、一期生の中でもとびきりのお祭り男であるじょいなーでした。

 じょいなーはいっきの心配についてはもちろんわかってます。でも、最後のお祭りをお通夜にはしたくないんですよ。どうしても。だから、ヒントだけを示しました。いっきとしては、そこも含めて後輩たちの中だけで解決して欲しかったんでしょうけどね。仕方ありません。

 突き放しにかかっているいっきは、菊田さんのラインを通じてかつてトレマホームセンターの売り場を仕切っていたパートの松田さんに後輩たちをつなげました。ええ、つなげただけ、です。あとは君たちでしっかり交渉しなさい、ですね。


 第107話。いっきの紹介に飛びついた後輩たちは、ガーデニング相談コーナーの講師として招くべく松田さんとリョウさんにアクセスするものの見事に玉砕。

 当たり前ですが、いっきはそうなることを最初から織り込んでいます。実社会は、「○○さんの紹介だから」で話が済むようなヤワな世界ではありません。正式な仕事の依頼ですからね。
 ガクセイという立場の甘っちょろさを会長や尾花沢さん、菊田さんにどやされ続け、「人に何かをお願いする時には、誠意を込めて必死に」を心に刻んだいっきです。後輩たちには一度は必ず失敗してほしかったんですよ。だって、コンテストが当たってしまいましたから。

 コンテストで選に漏れたならば、後輩たちは「次こそは」で奮い立ったでしょう。でも、最初に成功体験をしてしまうとどうしても緩みにつながってしまいがち。だからこそ、話し合いがまるっきりうまく行かなかったんですから。

 まだ柵で守られているガクセイの世界を堪能するだけでなく、柵から外に出なければならない自分たちの未来を意識する。いっき自身がたった今も取り組んでいることに、後輩たちもこれから挑まなければならないんです。
 チャレンジの成否に身内であるなしは一切関係ありません。いっきは妹の実生を容赦無くどやしましたし、返す刀でリョウさんの甘さもばっさり袈裟斬りにしました。

 自ら身をもって体験したことしか、心に刻めない。その提言は、これまで数々のイベントとアクシデントを乗り越えてきたいっきのプライドと自負の結晶と言ってもいいかもしれません。


 このあと、いっきやしゃらにとっての最後の学園祭にどっとなだれこむ予定なんですが、全然書けてません。(^^;;
 十月前半部分の話に目処が立つまで、長いお弁当休暇をいただくことになりそうです。

 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇

 さて、このあとてぃくるでつなぎます。
 クリスマスには掌編をお届けする予定ですが、内容については次のいっぷくでご紹介しますね。


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 でわでわ。(^^)/



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「枯れていく姿を愛でられるのは嬉しくないね」
「自らの枯れる姿は絶対に認めたくないくせになあ」


 紅葉は滅びの一歩手前。
 彼らはそれをよく知っていて、我々は知っていることから目を逸らす。

 理不尽な秋の一コマ。



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ちょっといっぷく その210 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編休止、お弁当休暇中です。近況など。

 ◇ ◇ ◇

 これから本編第106話と第107話を続けてアップします。その二話は、いっきの高校生活最後の九月を締めくくるお話。
 夏の慌ただしさに煽られる八月と祭りの賑やかさがある十月に挟まれた、どこかふわふわと落ち着きのない九月をどうしめくくるか。じっくりご覧いただければ幸いです。

 いっきにとって、翌月の十月には大きなイベントがいくつか予定に入っています。アクシデントではなく、オフィシャルですね。一つは最後の学園祭。観客ではなく、主役としてお祭りをきちんと仕切ってきたいっきにとって、初めて脇役に下がった形でのお祭りになります。当然、もやもやするわけで。九月ラストの二話でも、そのもやもやがくすぶります。

 もう一つのイベントは、しゃらのお父さんが経営する理髪店の新規開店。これまで同業の林さんが引退したあとの店舗を借りて営業してきたお父さんですが、かつては自分の店があって、そこで主役を張っていたんです。その頃と同じには戻れないにしても、きちんと過去にけじめをつけ、新たに出発をしたい。一度壊れかけたしゃらの家が、見事に立ち直るんです。そのプロセスに最初からずっと絡んできたいっきは嬉しいでしょう。ただ……。

 そう単純な話にはならないんですよね。(^^;;

 ともあれ、十月に予定されている二つのイベントに向けていっきが自分の気持ちをどう整理していくかを、さらっとご覧いただければと思います。

 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇

 小説の年内公開はこれからお届けする二話でおしまいです。
 来年はもうちょい進められるといいなあ……。(←まるでひとごと (^^;;)


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 でわでわ。(^^)/



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春には 春なのに重苦しいと言われ

夏には 夏なのに暑苦しいと言われ

秋には 秋なのに色がないと言われ

冬には 冬なのに寒々しいと言われ

だが 俺がいつも黒いのは俺のせいじゃない

単なる逆光のせいだ



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ちょっといっぷく その209 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編休止中です。
 新型コロナでいろいろ制約があって、なかなか執筆がはかどりません。いや、コロナのこと以前に、ずっとはかどっていないんですが。(^^;;

◇ ◇ ◇

 子供の進路関係のことでひどくばたついていて、小説内では高三受験生のいっきたちのことをフィクションだと言っていられなくなりました。

 本小説を執筆し始めたのは、今からもう十年以上前。その当時は、息子はまだ2、3歳でしたので、いっきの世界は完全に架空の出来事として割り切れたんです。
 でも、息子は今や中三の受験生。しかも、ちっとも勉強をしません。成績は地べたを這いずり回ってますし、本人が「それでいいや」と開き直っています。まさに、のんびりが代名詞の「ぽんいちの学生」そのものに育ってしまいました。

 まあ、親のできることはサポートだけ。本人ができない、やりたくないと言っていることを無理やり押し付けるつもりはありません。ただ、あとで「あの時もう少しがんばればよかった」と後悔されても、わたしの知ったことではありません。

 人生の形を考え、実現し、充実させ、最後に評価するのは自分自身です。親としては、応援はできても人生の責任は取れません。そこだけ納得してもらえれば、あとは好きにしてくれていいです。息子にもそう言ってあります。

 努力というのは、自らが望むものに近づくために自発的に行うこと。させられる努力なんかになんの意味もない。それをいつどんな形で本人が悟るのか、わたしにも家内にもわかりません。

 親の心子知らずですが、まあ……しゃあないですね。

 ◇ ◇ ◇

 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇

 さて。このあと、もう一巡てぃくるでつなぎます。
 今年もあまり進まないうちに年末になりそう。息子の進路が固まれば、少しだけ余裕ができるかもしれません。


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 でわでわ。(^^)/



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親が子に愛を伝える

親が子に道を諭す

親が子に従えと脅す

親が子の意思を食らう



親子の形は様々だが

親子の外見が内容と一致するとは限らない



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ちょっといっぷく その208 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 本編休止、お弁当休暇中です。近況など。

 ◇ ◇ ◇

 暑さが一段落して、少しだけ何かしようという気力が出てきました。本編の執筆は完全休止中ですが、その代わり本館の長編(へっぽこ探偵中村操の手帳)を一つ書き切り、百万字超の大作の末尾に『完』の字を置くことができました。全部アップし終わるのは年末になりますが、わたしの場合書きながらアップというのは基本的にしないので、あとは細かい手直しだけということになります。

 連載スタートが2013年。脱稿まで足掛け8年かかりましたが、きちんとロードマップ通りに話を展開し、最後まで緩まずに書き切ったことは紛れもなく大成果です。

 その勢いで、こっちもがんがん書き進めたいところなんですが……なにせ、こちらは向こうの五倍の文量ですからねえ。(^^;;

 まあ、ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌は、紛れもなくわたしのライフワークです。焦らずにゆっくり書き進めることにします。


 ◇ ◇ ◇


 あと長編で書きかけのまま残っているのは、一葉館のシリーズ。それは来年書き進める予定です。

 ファンタジーもののゾディのシリーズは短編連載の形式なので、一話あたりの文量も限られていますし、ゆっくり進めます。

 新しく書き下ろしたい長編の構想もあるんですが、ちゃんと一つずつ終わらせてからじゃないと、虻蜂取らずになりますね。(^^;;

 しばらくは、既作のブラッシュアップに精を出すことにします。


 ◇ ◇ ◇


 定番化させるつもりでコマーシャル。(笑

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 ◇ ◇ ◇


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 でわでわ。(^^)/



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「夏の空と、秋の空。どこがどう違う?」

「雲がないと区別つかないかもね」

「で、これはどっち?」

「トンボの分、ちょっぴり秋、かな」




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ちょっといっぷく その207 [付記]

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 若干長尺の第105話をご覧いただきました。さらっと総括しておきます。

◇ ◇ ◇

 第105話。いっきたちの後輩、現部長の鈴ちゃんたちが張り切って応募した高校ガーデニングコンテストの授賞式の様子を見ていただきました。

 いっきたちにとって、ハートガーデンプロジェクトの活動はとても内向きなものです。自分たちが通う高校の中庭を整備して元気にする。いっきたちの頭には、それしかなかったのですから。なので、鈴ちゃんたちが中庭の存在意義を外向きに発信しようとしたことには、若干違和感を感じていたと思います。

 でも、代が変われば部活の形も変わります。いっきたちのプロジェクトは学校や顧問の先生が主導するタイプの部活ではありません。現部員が一番楽しめる形を模索する……中庭の整備自体はほぼ完了したのですから、それをただ続けてもつまらないという後輩たちのやる気を最も尊重したんです。

 そういう後輩たちのがんばりが受賞という形で結実したものの、大会とかコンテストというものの裏を見せられてしまう形になりました。
 もちろん、全部員がなんだかなあと思っているわけではなく、コンテスト事務局の小熊さんのえげつない当て付けの裏をしっかり読み切っているのはいっきと大人たちだけだと思いますけどね。(^^;;

 いっきは基本的に大人の世界を丸呑みしません。中学時代のいじめに先生たちが何も取り組んでくれなかったという体験を通して、大人の世界が自分たちの現実の延長線上にあるということを冷徹に見通しています。
 その怨嗟にも近い感情は、もっとも近しいはずの親から裏切られた中沢先生(今は桧口先生ですね)も持っていて、だからこそとても乾いた論評になりますね。

 でも、ぶつくさ文句を言ったところで世の中は何も変わらないんです。そういう世の中であるということを現状認識した上で実を取る。コンテストというのもそういうものだよ。こき下ろすでも諦めるでもなく、理解して取捨選択しなさい……そういう先生の示唆は的確でした。


 蝶(人)を呼ぶ庭を目指してねという滝本さんの示唆は、素敵でしたね。

◇ ◇ ◇

 さて。このあとまたしばらくてぃくるでつなぎます。本館で長く描き続けてきた長編小説に一つピリオドを打つ予定なので、しばらくそちらに注力いたします。


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 でわでわ。(^^)/



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雲の下に夏があり

雲を抜けると秋が来る




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