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てぃくる 1103 枯れ穂 [てぃくる]


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 暦の上ではとっくに春なのだ。早春花はすでに盛りを過ぎつつある。今はまだごく浅い緑も、日を追うごとに膨らんでくるだろう。

 その中にあって、枯れ残っていた者たちは徐々に姿を消しつつある。枯れた時点ですでに終わりなのだ。意地を張って残り続ける意味はどこにもないのだ。だが、枯れてしまえば自らは動けない。ただひたすら在り続けるしかない。

 枯れ穂は。わずかな乾湿を繰り返しながら、少しずつくずおれてゆく。これまで残り続けてきた者もやがて地に倒れ伏すだろう。
 それまでの一間。

 湿った春の雨雲を乱雑に区切りながら、あるかないかの風に身を任せている。





  春萌えを待つ草原は藁のまま






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