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三年生編 第96話(4) [小説]

久しぶりに会長と突っ込んだ話をして。
会長の言葉にどこかほっとしている僕がいた。

どういう生き方を選ぶか。
僕だけでなく、僕の周りの人たちはみんな自分なりに考え
てスタンスを決めてる。それにいいも悪いもないんだ。

外野がいろいろ口を挟むと思うけど、自分でこなして自分
で決めなさい。
会長が言いたいのは、きっとそれだけだと思う。

そして僕にだけでなくて、しゃらにもあっきーにも同じこ
とを言うよね。
会長のアドバイスには、大きなぶれがないんだ。

僕は……それにものすごくほっとする。
さて、そろそろ引き上げよう。

そう思って会長の家の庭から目を離したら、伯母さんの家
のドアがこそっと開いた。

「お? りんとばんこがこれからバイトに出るのかな?」

「伯母さまのところも、みなさんしっかりしてらっしゃる
わねえ」

「伯母は、そういうタイプの子が大好物なので」

「あはははっ!」

会長は、町内会の付き合いがあるから伯母や同居人のこと
はよく知ってる。
直接話してるかどうかは分かんないけどね。
会長も大学生活をバイトしながら切り抜けてるから、伯母
さんとこの下宿生を見る目が優しいんだろう。

とか、のほーんと玄関口を見ていて。
ぎょっとした。

「えーっ?」

思わず大声を出しちゃったよ。
それから……絶句。

「う……そ」

ちょっとちょっとちょっとちょっと!
弓削さんじゃん! もう外に出していいのかあ?
びっくり通り越して、青くなってもた。

会長の庭先で僕が固まっているのが目に入ったんだろう。
りんがスキップしながら走り寄ってきた。

「うーす、いっきぃ。どしたー? そんな景気悪い顔し
てー」

「生まれつきじゃ、ぼけぇ! ってか……大丈夫なんか?」

「だいじょぶも、しょうじょぶも、じょびじょばもないわ。
まあ、いろいろとわけありまくりでさ」

「おう」

「ちと、慣らしを先倒ししよって話になったわけ」

「あの……状態で?」

「もちろん、いきなしどっかで働くなんてのは無理だよー。
あくまでもシミュレーション」

ほっ。

「そゆことか」



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