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三年生編 第100話(1) [小説]

9月19日(土曜日)

レンさんと長話したこともあって、今朝は十時近くまで爆
睡。
いつもなら容赦なく母さんが叩き起こしに来るんだけど、
昨日激しい偏頭痛でゾンビになってたのを見てるから、配
慮してくれたみたいだ。

模試とかを入れてないって言っても、それは僕の都合。
コンディションがよくなれば、受験勉強の方も追い込んで
いかないとね。

「ふうっ……」

ベッドから上体を起こして、机の上の携帯を見る。

「着信なし、と」

昨日の夜、いつもならしゃらからの定期便が来る時間。
レンさんとずっと長話してたから、つながらなかったと思
う。
しゃらはいらいらしてただろうな。
頭痛のことがあったから無理に問い詰められることはない
だろうけど、機嫌はよくないだろう。

「ううー、めんどくさ」

それでも、頭痛が治まったことは連絡しておかないとなら
ない。
頭痛のことで、頭痛のタネが出来ちゃうって、どうよ?

思わず苦笑い。

しゃあない。かけようと思って携帯を手にしたところで、
どんぴのタイミングでしゃらからかかってきた。
やっぱりなー。

「うーす、おはー」

「おはよー。頭痛はどうだった?」

「昨日のはしゃれにならなかった。病院行って、イミグラ
ン注射してもらったんだけど効きが悪くて」

「うわ……」

「結局丸一日潰れてた。早引け、正解だったわ」

「そっかあ……。あ、昨日の夜、誰かと電話してた?」

やっぱり突っ込みが入ったか。

「レンさんとね」

「あ、そうなんだー。元気だった?」

「レンさんは元気だよー。レンさんは、ね」

「……」

しゃらが、僕の発言の裏を探ってる。

「もしかして、高瀬……さん?」

「いや、そっちじゃなくてね」

ふう……。

「オフ、ね」

「……うん」

「伯母さんが、穂積さんを放り出しちゃったんだよ」

「えええーーーーっ?」

しゃら、絶句。



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