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三年生編 第99話(3) [小説]

バスでの移動の時も、揺れるたびにその振動が神経に触る
感じで、辛いのなんの。
病院に着くまでの時間が、とんでもなく長く感じられる。

「ううー、つ、着いたー……」

問診票書くのすら辛い。
それでも、待ち合いのベンチに座れたのはラッキーだった。
大発作の時は、立っているのが本当にしんどいから。

連休前の病院だからめちゃめちゃ待たされると思ったんだ
けど、頭痛外来はそれほどでもなくてほっとする。

「工藤さん、工藤樹生さん、中待ちにお入りください」

お? 順番が来そう。助かる……。
中に入って十分もしないうちに診察になった。
頭痛はピーク。吐きそう。

野口先生は、僕を一目見て顔をしかめた。

「うわあ、しんどそうだなあ」

「めがとん級ですー。ううー」

久しぶりの発作だということと、イミグランの点鼻薬を
どっかにしまいこんじゃって見つけられなかったとことを
伝えて、処置してもらった。

また点鼻なのかなあと思ったら、今度は注射。
それだけ、僕が本当に辛そうだったみたいだ。
吐き気止めの飲み薬も一緒に服用。

いっちゃん最初の大発作クラスだよ。とほほ……。

「工藤さんの場合、薬が効きだすのが早いから、痛みがま
しになるまで少し横になってたらいいよ」

野口先生にそう勧められて、素直に従うことにした。
正直、動くと吐きそうだったし。

氷のうを頭にあてて簡易ベッドでマグロってる間にも、他
の患者さんが次々にやってくる。
聞くつもりじゃないんだけど、やり取りが耳に入っちゃう
んだよね。

そして、頭痛を訴えてくる人の全部が全部、偏頭痛じゃな
いんだなってことが分かる。
場合によっては、おっかない病気の可能性もあるんだよな。

頭痛持ちになっちゃったっていうのはすっごい不幸に思え
たけど、まだ偏頭痛で済んでるって考えた方がいいのかも
しれない。

二十分くらい横になっている間に、これまでよりは少し時
間がかかったけど少しずつましになってきた。

「ふう……助かった。これなら午後の授業に出られるかも」

そう言いながら起き上がったら、ビニールカーテンを開け
た看護師さんに、すかさずダメ出しされた。

「工藤さん、ちゃんと安静にしとかないと、薬切れた途端
にまた痛くなるわよ。イミグランは服用間隔あけないとな
らないんだし」

ううう、その通りですね。
無理は禁物かあ。素直に帰宅します。くすん。

服装を直してベッドから降り、先生にお礼を言って診察室
を出た。

「ありがとうございました」

「お大事にね」



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