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三年生編 第99話(1) [小説]

9月18日(金曜日)

朝。

僕は、ベッドの上で頭を抱えていた。
いろんなごたごたに収束する見通しが立って、嬉しい出来
事がいくつか続いて。
本当なら、気分すっきりやる気満々になるはずなのに。

「ううー」

そういう時に限って偏頭痛の発作。
しかも、今日のはごっつーでかそうだ。
どうしようもなく痛くて我慢出来ないってほどじゃないけ
ど、もうずきずきの脈動は始まってる。
これからどんどんひどくなっていく予感がする。でも……。

「休みたくないんだよなあ」

今日一日しのげば明日から休み。しかも連休だ。
その間は自分でペース調整出来るから、今日くらいはなん
とかこらえたい。

よたよたとベッドを下りて、鎮痛剤を探す。

「ううー」

ロキソニンはすぐに見つかったけど、発作が出ちゃったら
効かないのはもう実証済み。
そして、前に野口先生に処方してもらったイミグランの点
鼻薬が、どこを探しても出てこない。
頭痛がなければそのうち思い出すんだろうけど、今は無理。

「しゃあない。強行突破するかあ……」

顔をしかめながら制服に着替えてリビングに降りる。

「あれ? いっちゃん。調子悪そうね」

「ひさしぶりの偏頭痛発作」

「病院に行く?」

「そうなるかもしれない。保険証持ってくわ」

「って、病院じゃなくて、学校に行くの?」

「明日から連休だから、連絡事項とかいろいろありそうだ
し。しのげるなら今日一日なんとかしのぎたいんだ」

「まじめねえ。わたしならさっさと休んじゃうけどなー」

さすが、母さん。さもありなん。

「無理するんじゃないよ。周りに迷惑かけちゃうんだから」

とほほ。そっちですか。
でも、母さんの言うのはもっともなんだよな。

「実生は先に出たの?」

「水撒き当番だって言ってたよ」

「あ、そうか」

「ぐずぐずしてたら遅れるよ」

「うう、そっすね」

頭痛のせいで食欲がない。
でも、とりあえずテーブルの上の朝食を全部お腹の中に押
し込んで、ロキソニン飲んで家を出た。

「ちゃりで行かないの?」

「そうしたいけど、頭痛がひどくなった時にはちゃりこぐ
のがしんどいんだ」

「あ、そうなんだ」

「行ってきまーす」

「気をつけてね」

「うい」



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コメント 2

mitu

ロキソニン飲むときは胃腸薬も飲んでおいたほうがいいのかも
(*´з`)
by mitu (2020-10-08 00:40) 

水円 岳

>mituさん

コメントありがとうございます。(^^)

よく効くんですが、胃が荒れますよね。(^^;;
空腹時には飲めません。(^^;;


by 水円 岳 (2020-10-09 01:00) 

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