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三年生編 第98話(5) [小説]

えええっ?

僕もしゃらも、唖然呆然。
すっごい変わりようだ。

なんていうか、純和風がいきなりパンクモード。それっく
らいのインパクトだった。

「う……」

声が出ない。
しゃらと二人して、口全開で硬直。

「いひ。びっくりした?」

「てか……ほんとに先輩……すか?」

「そだよ」

「髪……」

しゃらが、どぎまぎしながらショートヘアを指差す。
そう、短いってだけじゃない。ブリーチして、派手なダイ
を入れてる。

「長いと夏はうとうしくてさー。ばっさり切ったついでに、
いろいろといじってみた」

けろっ。

「それって……準規さんは」

しゃらが、こそっと突っ込んだ。

「ん? ロングの方が好みだとは言われたけど。でも、わ
たしは準の人形じゃないもん」

先輩が、ぴしっと放り出す。

「高校までは校則で出来なかったこと。んで、就職したら
出来るかどうか分からないこと。そんなのを冒険するなら、
今しかないからね」

にっ!
先輩は、僕らを挑発するように笑った。

髪だけじゃない。化粧も派手。新潟に行った時の生気のな
い化粧じゃなくて、これでもかとインパクトが強い。
耳にはピアスが。
はめてる指輪も、準規さんとのペアリングとかじゃなさそ
う。どうみてもファッションリングだ。

うわ……使用前、使用後、みたいだ。

先輩が、呆然としてた僕らを見比べて苦笑した。

「いや、来年工藤くんや御園さんが進学したら、きっとわ
たしみたいになるよ。そんなもんさ」

いやいやいやいや、ならないし。絶対、ならないし!
しゃらと二人で、ぷるぷる首を振って否定する。

「てか、先輩。もう新学期始まってるんでしょ?」

「うん。今日は休講が二つ重なってたから、一枠代返頼ん
で10時に向こう出たの。夜の新幹線で今日中に帰るよ」

「何かあったんですか?」

しゃらが、心配そうに聞いたら。

「ああ、弟が生まれたんだよ。顔見に来たんだ」

!!

思わず、二人してぴょんぴょん飛び跳ねちゃったよ。

「すっごおい!」

「おめでとうございます!」

「わたしゃフクザツだけどね」

先輩は、全力で苦笑いしてた。

「まあ、それでも兄弟が出来るってのは嬉しいね」

「お母様はもう退院されたんですか?」

「自宅にいるよ。見に来るかい?」

「いいんですか?」

「かまわないよ。親父が爆裂してるし」



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