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ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌 一年生編 あとがき [付記]

《ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌 一年生編を終えて》


全160話の長きに渡って、辛抱強く読んでくださった方々
に、まずもってあつくお礼申し上げます。


高校生工藤樹生の三年間を綴る。
そう言ってしまうのは簡単ですが、実際にそれを具体化しよ
うとすると、いろいろな難題にぶち当たります。一年生編は、
私にとって試行錯誤の連続でした。もちろん、今の今までそ
れは続いているんですが。(^^;;

本館の方で書いている短編・中編だと、分量に限りがあるの
で話の筋や流れを作りやすいんですが、この話ではそれをき
れいに見せるのが難しい。一番の悩みどころはそこです。

ですが、私はあえて筋立てをべったり決めないことにして、
この話を書き始めました。だいたいのイベントの置き場所だ
けを考えて、あとはいっきが動くまま、考えるまま。

章立てせずに一日完結のストーリー構成にしているのも、真
新しい日記のページをめくるわくわく感を、書く方が失いた
くないからなんです。

どんなに起伏があっても、私たちの生活は一日の積み重ねで
すよね。そして、明日起こることは誰にも分からない。それ
を、いっきにもそのまま踏襲してもらいました。私が前書き
のところで『淡々とした話』と書いたのは、そういう意味な
んです。

一年生編では、そういう私自身の試行錯誤の色が濃く出たか
なあと思っています。


           −=*=−


一年生編で、私がいっきを通して見せたかったもの。
それは、人との出会いによる自身の変化です。

簡単に出会いと言いますが、そこにはいろんなレベルのもの
が混在しています。自分の一生を左右するものから、単なる
挨拶だけで終わるものまで。

中学時代のいじめのダメージを払拭するために、自分を一旦
白紙にしたいっきは、自身の孤独を恐れるように積極的に出
会いを求め、そこから出てくるものを何もかも飲み込もうと
してきました。一年生編は、まさにその軌跡です。そして、
いっきはその出会いの意味を全部理解しているわけではあり
ません。それは、私たちと何も変わりません。

出会いから何を得るか。
それは一意ではありませんし、私はそれを固定して考えたく
ありません。たくさんの登場人物とのやり取りを通じて、
いっき自身が得るものもまた一意ではありませんし、その影
響も変化して行くでしょう。


           −=*=−


もう一つ。
いっきとしゃらは、過去の自分を整理して新しい自分を作る
『再生』というプロセスを駆け足でこなしてきました。

いじめによって感情が縮こまっていた二人が、徐々にその羽
を伸ばす。一年生編にはその過程がいっぱいちりばめられて
います。ですが、その再生はまだ途上です。

いっきもしゃらも、近親者や友達からその付き合いのとろさ
を何度もからかわれてきました。ですが、過去の経緯からま
だ生の感情をぶつけ合うことに恐れを抱いている二人は、相
手に踏み込む勇気がなかなか出ないんです。単なるシャイと
か奥手ということじゃありません。

傷付けられて来た二人が、自他を傷付けることを覚悟で相手
に踏み込んで、その心の琴線に触れられるか。一年生編では
とてもそこまでは行きませんでした。形をなぞっただけです。
同情や寂しさでつながる仲は続かない。いっきもしゃらもそ
れは分かってます。これから……彼らも試行錯誤ですね。


           −=*=−


一年生編では、たくさんのサブキャラを登場させました。
家族や準主役の会長は言うに及ばず、サポーターの中沢先生
や五条さん、親友のかっちんとなっつ、たくさんのクラス
メートと先生たち。恩納先輩、長岡さん、あっきー、タカ、
リョウさん、かんちゃん、レンさんのように複雑な過去を抱
える若者。そして尾花沢さん、榎木さん、寿庵の中村さん、
トレマホームセンターの菊田さん、巴伯母さんと言った人生
の大先輩たち。

私は、できるだけ彼らを魅力的に造形したつもりです。です
が、神様や超人格者は一人もこしらえませんでしたし、その
必要もないと考えています。誰もが、その魅力と同じくらい
影も抱えているのですから。

このお話ではいっきがナレーターを務めていますが、決して
いっきだけが主人公というわけではありません。一年生編の
間にそれぞれの登場人物の持っている綾を、いろいろな分量
で書き置いてきました。それが絡まり合って、どのような方
向に動いていくのか。一年生編では、まだそこにほとんどオ
チが付いていません。


           −=*=−


ぽんいちの中庭とプロジェクト。

いっきやしゃらにとって、中庭は心を映す鏡になっています。
それを曇らせないようにと二人が身を賭して奔走したことが
多くの人を動かし、見事に庭を蘇らせることに成功しました。
一年生編では、そのサクセスストーリーを描いたつもりです。

しかし、庭は生き物です。しかもぽんいちの中庭は曰く付き。
そう一筋縄では行かないでしょう。


           −=*=−


ともあれ。
いろいろあっても、人脈を築きつつ自ら動くことで難局を乗
り切ってきたいっきたち。
きっと実り多い一年だったと思いますし、読者の皆様にもそ
う思っていただけたら嬉しいです。

一年間のご愛読に改めて深謝しますとともに、二年生編も引
き続きご笑読いただきますよう心よりお願いいたします。m(_"_)m



                     筆者 敬白





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コメント 6

ひよこ豆

パチパチ(拍手v)いろいろあった一年、書き続けるのも大変だったのでは。
これからの一年が、作品にも生かされますよう('◇')ゞ
by ひよこ豆 (2012-04-04 00:21) 

yoshinonoko

一年生編、お疲れ様でした!
ほんと、色々なことがありましたねぇ。
キャラクターみんなの成長などなど楽しませていただきました^^
これからも楽しみにしていますね♪

by yoshinonoko (2012-04-04 21:30) 

水丸 岳

>ひよこ豆さん

コメントありがとうございます。(^^)

まあ、よくもこんなに書いたなあという感じですが、
いっきを始め、登場人物がそれなりにライブで動いて
くれたんじゃないかと。

また、次の一年、いっきたちと二人三脚で参ります。
どうかまたお目通しくださいますよう、よろしく
お願いいたします。(^^)/

by 水丸 岳 (2012-04-05 02:39) 

水丸 岳

>yoshinonokoさん

コメントありがとうございます。(^^)

彼らの年齢というのは、いろいろなものを貪欲に吸
収して、それがカオスの状態でありながらも成長に
つながってく、とても貴重な時期だと思ってます。(^^)

まだ、離陸までは一波乱も、二波乱もあります。
どうか、応援してあげてください。(^^)/

二年生編では、中沢先生の出番もぐっと増えますよ。(^m^)

by 水丸 岳 (2012-04-05 02:42) 

ラブスコール

二年生編、楽しみにしてます*^^*
by ラブスコール (2012-04-06 17:06) 

水丸 岳

>ラブスコールさん

コメントありがとうございます。(^^)

どんな展開になりますやら。(^^;;
お楽しみに。(^^)/
by 水丸 岳 (2012-04-06 23:09) 

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