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三年生編 第103話(4) [小説]

まあ。
そのあと何か話し合える方がおかしい。
僕は、すぐ散会にした。

ただし、副委員長の森下くんと書記の河西さんには残って
もらった。
二人とも、瞬ちゃんの噂以上のすさまじさに圧倒されて、
もう顔面蒼白。

「まあ、だいたい予想通りだったなー」

「えええっ?」

絶句してる。はははのは。

「そりゃそうさ。納得行かないものを斉藤先生が引き受け
るはずがないもん。さっき吠えた通りだよ。俺はこんなク
ソみたいなもんには絶対関わらん。その通りでしょ?」

「げ……」

「でも委員会の顧問は必要だから、会議の時には居てや
る。それだけだよ。吠えるのは今日だけで、あとはずっと
寝てると思うよ」

二人がぽかあんとしてる。

「分からない?」

「ちっとも分からないですぅ」

河西さんがげんなりした顔をしてる。

「はははっ! まあ、あれが斉藤先生だからなあ」

苦虫を噛み潰したような瞬ちゃんの顔を思い浮かべる。

「斉藤先生は、今生徒会の顧問をやってるの。生徒会は、
生徒のいろいろな要望や要求を束ねて、自分たちで解決で
きるものはそうするし、学校を動かさないとならないもの
は学校側と交渉する」

「はい」

「うん」

「斉藤先生は、その生徒会の舵取り役なんだよ。立ち位置
は学校側にあるんじゃない。僕ら、生徒側にあるんだ」

「えええええっ?」

二人がまたまたびっくり。

「そりゃそうさ。まだ社会の仕組みをよく知らない僕らみ
たいなガキが、てっぺんのある組織を最初からうまく動か
せるわけないもん。こういう委員会だってそうでしょ?」

「あ、そうかあ」

「だから、部活でも委員会でも顧問の先生を置いてるわけ」

「納得ですー」

「で、生徒会が単なる学校の手先になっちゃったら、最悪
なんだよ」

「どうしてですか?」

森下くんが突っ込んでくる。いいぞー。

「そりゃそうでしょ。生徒会が学校の言いなりだったら、
僕らがああして欲しいこうして欲しいと思ってることを、
学校より先に生徒自らが潰しちゃうってことだもん」

「げ……」

「それじゃあ、生徒の不平不満の出口がなくなる。息が詰
まって校則違反を誘発するし、それが潜っちゃうんだよ。
見つからなきゃ何やってもいいってね」

「そっか」

「だから、生徒会ってのは僕らにとってだけでなくて、学
校にとっても大事なんだ。当然、生徒会役員には才能とタ
フさが求められる」

「でもぉ、立候補なんか、ほとんどいないんですよね?」

「いないね。クラス選出の候補で、形だけ選挙ってことが
多い」

「それで……大丈夫なんすか?」

「やる気があって、ちゃんと責任感を持って生徒会の仕事
をこなせる。そんな生徒はそうそういないよ。でも、優秀
な生徒会がなくなっちゃうのは困る。じゃあ、どうすれば
いい?」



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kousaku

やはりRSSがすべて28日で止まっていますね、
by kousaku (2021-05-06 11:24) 

水円 岳

>kousakuさん

RSSの発信がおかしくなってますよね。(^^;;
わたしも、いつも伺っているところはできるだけ読みに
回っているんですが、自信がありません。(^^;;

by 水円 岳 (2021-05-06 14:36) 

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