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三年生編 第92話(11) [小説]

僕も、人のことなんかあれこれ言えないよ。
あちこち穴だらけの性格で、やっちゃったー失敗したーと
思うことも多い。
でも、僕は人を作り変えようとは思わない。
自分自身しか修正しようがないんだ。

だけど、先生には人を変える権限があるの。
僕らを指導するっていう名目でね。
それなら、権限を使うことにもっと慎重になって欲しいと
思う。

体当たりの弊害と限界をよく知ってる大野先生。
自分の受験の挫折を根底に置いてる斉藤先生。
完全じゃないからこそ、いろんなことを状況に応じて見直
せる。
妖怪の安楽校長は言うに及ばずだし、頼りなかった中沢先
生やえびちゃんだって、ちゃんと修正してスキルアップし
てる。

でもさ。
自分がかちこちになっちゃってる人。
逆にへなへなですぐに倒れちゃう人。
そういう修正出来ない人には、『先生』っていう仕事をし
て欲しくないなあと……思ってしまうんだ。

「どうした?」

「あ、安楽先生」

いつの間にか、隣に校長が立っていた。

「いや、視聴覚室の鍵を返しに来たんですけど、素敵な
リースがあるなあと思って」

「はっはっは! 見てたのはリースじゃないだろ?」

さすが校長。お見通しかー。

「はあ……いや、大高先生。恐いなあと思って」

「ん? どういう意味だ?」

「大高先生は、自分の影響力をきちんと見てないです。風
紀委員会から外れて生活指導をするようになったとして
も、そこが……どうも心配で」

「まあな。緑陽で厳格な生徒指導をやってたから、その実
力を買ってということなんだろうが、もう少し慎重に動い
て欲しかったな」

「緑陽では、生徒にすごく嫌われていたそうですね」

「誰かに聞いたのか?」

「はい。じんから」

「ふむ」

「原則論でがりがりやる先生ですから、生徒に好かれよう
が嫌われようがやることはやる。そんな感じだったのかな
あと」

「ははは。確かにな」

「でもね」

「うん?」

「きっと、それだけじゃないですよ」

「……どういうことだい?」

「大高先生。えこひいきが外からはっきり見えます。丸見
えです」

「む」

「それが……生徒に嫌われていた本当の理由だと思ったん
ですよ。今日」

「……」



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