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二年生編 あらすじ(10) [あらすじ]

二年生編 第百四十話〜第百五十六話 二学期後半 学期末まで



 学園祭、修学旅行と言った大きなイベントが終わり、いっ
きたちは徐々に受験に意識が向き始める。模試の後、寿庵
寄ったいっきとしゃらは、店が閉まっていたことにがっかり
するが、店から出てきた長岡に相談を持ちかけられる。自分
を見捨てた親が家に戻って来いと言っている、と。
 それは娘を案じたからではなく、親から溺愛されていた兄
が医大受験に失敗して引きこもりになったため、後継ぎを娘
に切り替えようという呆れた理由だった。いっきたちは五条
の助力を頼むことにし、長岡を励ます。

 中庭のクリスマス用ディスプレイが学校側の許可を得られ
ず、気落ちしていた後輩たち。いっきは、校長との交渉を工
夫しろと知恵を付ける。校長との再交渉は無事まとまるが、
生徒会長の大村がプロジェクトの切れ者四方を生徒会の後継
者として狙っていることを知り、プロジェクトは生徒会役員
の養殖場じゃないとむくれる。
 中庭の飾り付け作業の後、四方に大村からのアプローチの
有無を確かめるいっき。四方は、しっかり自分の姿勢を示し
て誘いを断っていた。
 作業の後でリドルに寄ったいっきとしゃらは、進路の方針
を仮決めしたことを互いに話し合う。しゃらはアガチス女子
短大の栄養科で特待狙い。いっきは県立大の生物学部。しか
し、それらはまだあくまでも仮置きだった。

 十二月に入り、学校は進路絡みの面談と期末試験が近くなっ
てざわついてくる。息抜きに寿庵に立ち寄ったいっきとしゃ
らだったが、そこは一触即発の状態になっていた。
 娘を強制的に連れ戻しに来た長岡の両親が、寿庵を貧乏人
の乞食商売だとこき下ろしていたのだ。はらはらするいっき
たちだったが、長岡の助っ人として登場した五条が、父親の
裏の顔を徹底的に曝し上げて撃退する。五条の剛腕に感心し
糸井美郷だったが、五条はそんなのは何の自慢にもならな
いと、親の無理解を嘆いた。

 クリスマスに向けての予定も徐々に動き出す中、尾花沢
ら久しぶりに電話があり、そこで宇戸野半田の間に女児
みどり)が誕生したことを知らされて、いっきは大喜びす
る。しかし、同時に尾花沢の社で働いていた近田が再独立し
たことを知り、複雑な気持になる。いっきは、尾花沢に秀峯
の顛末を語り、墨尾に新しい鋏を作ってもらったことを知ら
せた。尾花沢は、墨尾の鋏に強い関心を示した。

 期末試験が近付き、直前対策で追い込むいっきに、朗報が。
叔父であるリック・マクブライトの結婚式の招待状が工藤家
に届いたのだ。その招待状を見ながら、幸せの意味を話し合
ういっきたち。

 期末試験直前、クラスメートと進路の話をすることも増え
てきた。今一つ気乗りしないいっきだが、帰路で出会った
もっくん中塚元広)が、数学とは全く関係のない別大学を
受験し直すことを知って仰天する。その理由を聞いたいっき
としゃらに、もっくんは謎かけのようなセリフを言い残す。
国文系、滑り止め、お笑い……はて?

 期末試験が終わってほっとしたいっきだったが、とんでも
ない騒動が待ち構えていた。受験に関して実生の通う中学で
父兄説明会があり、市内の高校の再編に絡んで受験戦線に大
きな影響があるだろうというアナウンスが出たのだ。ぽんい
ちの受験倍率や難易度が上がる予想を聞かされて、意気消沈
する実生。母親は、実生の意思を確かめ、ぽんいちにこだわ
るなら出来ることをしなさいとどやした。
 京都でいっきに秀峯を預けた道具屋(喜華堂)に供養の終
了を報告したいっきは、店主の老人が交通事故に遭ったこと
を知って肝を冷やした。電話を切ったいっきのところに、修
学旅行の時に神戸で知り合った女性カメラマン小野からいっ
きとしゃらのポートレートのパネルが届けられた。大喜びす
る二人に向かって、母親が言った。すごく自然になった、無
理をしなくなった、と。

 試験明けの休日。桂坂にバイトに出かけたいっきは、館長
釘谷が孫娘の校倉に自立を迫っていることを知った。文句
を言うなら家を出て自活しろ、出来ないなら文句を言うな、
と。いっきは、それはどちらも不可能だろうと危惧する。
 翌日の日曜、フォルサにスカッシュの練習に出かけたいっ
きはインストラクターの大場と試合をし、充実したひと時を
過ごすが、その直後に社長に娘の穂積をかくまっていたこ
とを口汚く罵られてぶち切れる。相手を高校生だと蔑んで一
方的に恫喝する手口は、あなたが嫌っているヤクザそのもの
じゃないか! 反論出来ない橘を置き去りにして、いっきは
憤然と席を立った。
 いっきと橘社長の衝突を知った伯母のは、完全にへたっ
てしまった穂積を交えて、いっきに経緯説明を求めた。いっ
きは穂積に向かって、本音を明かさない穂積の姿勢は橘社長
と同じでオトナのいいかっこしいだと断じる。穂積の退場後、
巴は自死を口にする穂積がおっかなくてしょうがないといっ
きにこぼした。いっきから橘社長との衝突を聞かされたしゃ
らも、気を落としてしまう。

 週明け、進路面談に臨んだいっきは、斉藤から衝撃的な情
報を聞かされて唖然とする。沢渡校長が校則の改訂を画策し
ている、と。その中に風紀委員会の設立と交際禁止が盛り込
まれていることを聞かされたいっきは激怒する。
 斎藤からの情報リークをクラス中に広げたいっきは、まだ
案に過ぎない新校則に正面から反対運動をするのは意固地な
校長を刺激して逆効果になると考え、水面下でそれを押し返
す方法を考えることにした。
 すぐに校長との懇談に乗り込んだいっきは、校長の案を実
効がなく馬鹿げていると一蹴する。そして、校長の思案は大
きな矛盾をはらんでいる、それに気付いてくれと投げ掛けて
校長室を後にした。

 数日後、矛盾にどうしても気付かないと漏らす沢渡校長。
いっきは、自主独立の意味を自ら問えと僕らに投げかけたの
は校長だ、その検証も何もしないうちに一方的に僕らからそ
れを取り上げるのかとこきおろした。じゃあ、どうすればい
いんだと突如逆ギレした校長に、いっきは他校の風紀委員会
の実例を示す。
 放課後、しゃらと生徒会のじん白井 仁)と共に再度の
懇談に臨んだいっきは、校長から新校則の適用に一定の試行
期間を確保するという譲歩を引き出す。さらに、校則改訂作
業に生徒会も加えるという校長の提案に、じんが実利を取っ
た。生徒会が学校に組み入れられるのは、自主独立に反する
ぞ。校長の皮肉に、じんは交渉窓口の確保の方が重要だと笑
顔で返した。

 終業式を目前に控え、叔父リックの結婚式のためにいっき
の礼服を買いにいく工藤家の面々。いっきの母は、買い物を
早々に済ませたあと、いっきとしゃら、実生を伴ってフォト
スタジオに連れ込む。実生の盛装の写真を撮るためと思い込
んでいたいっきだったが、母親はいっきとしゃらに結婚式の
前撮りのような写真を撮らせる。慌てるいっき。
 いっきは母に、なぜこんな写真を撮るのかと問い詰める。
母は、二人の仲が自立への焦りで壊れることを危惧している
ことを明かし、いつも未来思考でがんばって欲しい、あの写
真はその未来の一つの姿だと、二人を諭した。

 その翌日、フォルサにスカッシュの練習に出かけたいっき
は、がらの悪い大学生たちのマナーの悪さをたしなめた年配
の男性が暴力を振るわれるのを見て、フォルサのスタッフと
警察に連絡する。駆け付けた五条は、ヤンキーをあっという
間に叩きのめして男性を助けたが、それは橘社長だった。
 学生の暴行に対して被害届を出すという橘社長に、構わな
いが実効はないよと突き放す五条。逆恨みされて自分が再度
被害者にならないためにも、寛大な姿勢を見せた方がいいと
アドバイスしたが、激昂する橘社長にはその気遣いが届かな
かった。
 帰宅したいっきのところに、加害者の大学生たちの所属す
る大学(来知大)から、謝罪の電話が掛かってきた。なぜ、
当事者自身がそうしないのだろう? 訝るいっきに、大学職
員の奥村が、改めての謝罪と説明を打診する。

 そして終業式。校長から正式に校則改訂作業のアナウンス
があり、それが校長自身の発案ではなく、もっと上からの要
請であることを明かした。仰天するいっきたち。
 帰り道、病院帰りの五条とばったり会ったいっきとしゃら
は、どこか具合が悪いのかと案ずるが、それがおめでたであ
ることを聞かされて大喜びする。帰宅したいっきは母に五条
の懐妊を伝えるが、母はそれを祝福しながらも本当の試練は
これから来ると案じた。
 そして、来知大職員の奥村が謝罪のために工藤家を訪ねて
来た。いっきは、奥村から大学と高校とのシステムの違い、
学校側の対応方針の説明を受け、学生に下される処分が決し
て寛大なものではないことを知って納得する。



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