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二年生編 あらすじ(8) [あらすじ]

二年生編 第百二十二話〜第百三十五話 二学期中盤編 修学旅行



 学園祭が終わり、いっきたちの関心は徐々に修学旅行に向
かい始める。担任の斉藤から、概略のスケジュールや注意事
項の説明があり、出発までの自己管理についても警告が出た。
 クラスやプロジェクトでの学園祭打ち上げの話が進む中、
いっきは外見も姿勢も鮮やかに大変身した荻尾に驚く。

 学校から修学旅行関係の資料が配られ、ホームルームで斉
藤との質疑が行われる。つっけんどんな態度とは裏腹に、丁
寧に説明に答える斉藤の姿に、いっきは信頼感を覚える。
 プロジェクトでの学祭打ち上げで、いっきは後輩たちに宿
題を出す。今の楽しい雰囲気をどう引き継いでいくかを考え
ろ、と。

 十月最後の雨の日曜日。風邪気味で部屋でのんびりしてい
たいっきのところに五条から電話が掛かって来た。それは、
学園祭最終日にいっきたちの目前で死んだヤクザと、その下
でかくまわれていた市工の連中や高岡の経過報告だった。首
領が斃死したことで隙が出来た事務所を急襲し、未成年性犯
罪の巣窟を摘発したことを告げた五条は、犯罪者がたむろす
るような危険な場所を忌避するよう、いっきに警告する。
 中学の時にしゃらを襲った双子のその後が気になっていた
いっきは、五条の口から彼らの衝撃的な末路を知る。入所し
ていた少年院で、兄が弟を殺していたのだ。更正のチャンス
を自ら潰してしまった兄の愚かさを哀れむいっきだった。

 週が明けて、クラスの中では修学旅行の行動班作りが話題
になるようになった。さっさと決める子。なかなか決まらな
い子。いっきも、同行メンバーをどうしようかと思い悩むよ
うになる。
 放課後、いっきとしゃらは恩納先輩に相談があると呼び止
められる。先輩は、ご隠居こと木戸充彦との同居を決めた
おばあちゃんの家を離れることになったのだ。寂しくて一
人暮らしにはもう戻れないと嘆く先輩に、いっきは伯母の
屋巴
との同居を勧めた。先輩は巴との面接に臨み、同居の許
可を得る。喜ぶ先輩。
 帰り際に巴に呼び止められたいっきは、ばんこのサポート、
父の圧力から逃れて巴のもとに逃げ込んでいた橘穂積の秘匿、
従妹ジェニーの謝罪受け入れを打診され、それを了承した。

 十一月に入ってすぐの土曜日。中庭の花苗の植え替え作業
が行われ、その場でいっきは三人の三年生部員の義務解除と、
次期執行体制についての一年生中心の案出しをアナウンスす
る。先輩から方針が示されないことを不安視していた一年生
男子部員四方に、こっそり知恵をつけるいっきだった。
 作業の帰りに三人の先輩たちとしゃらとでリドルに昼食に
行ったいっきは、実務班の副班長だった酒田真鈴の乾いた姿
勢に驚かされる。また、先輩たちの進路の話を聞き、自分の
将来についても思いを馳せる。

 翌日、フォルサにスカッシュの練習に出向いたいっき。偶
然居合わせた橘社長が、いらいらしていることに気付く。触
らぬ神に祟りなし、そっとしておこうとしたいっきだったが、
突然女子大生の渡瀬に指導を頼まれ、渋々引き受ける。
 ど素人にも丁寧な指導をしたいっきを気に入って、ナンパ
しようとした渡瀬だったが、いっきは焼き餅焼きの彼女がい
るからと断る。その様子を見ていて大笑いした橘を交えて、
三人での恋愛談義になった。橘は、自分は肉食系で心に女を
住わせたいのだと心情を吐露し、いっきはその経歴を聞いて、
社長が行長と穂積の父であることを確信する。

 修学旅行が近付き、自由行動のプラン作りが本格化する中、
いっきの元に、しのやん、あっきー、りん、北尾からそれぞ
れレスキューメールが飛び込んでくる。自由行動の相手がい
ないと。
 それぞれに微妙な事情をあることを理解したいっき。しゃ
らも友人の家原に同行者がいないことを憂慮し、最初いっき
としゃらとで一緒に行く予定だった二日目の日程を急きょ別
行動として組み直すことになった。班作りのどたばたを介し
て、友人の意味をしばし考えるいっき。
 行動班作りが一段落してクラス内が盛り上がっていく中、
いっきはばんこの母親の回復が遅れているていることを知り、
一人で我慢して抱えるなと忠告する。修学旅行への期待の陰
に、変わらない現実があることを憂慮するいっきだった。

 修学旅行への出発直前、いっきは桂坂ミューゼアムにバイ
トに行き、館長の釘谷から校倉の偏った性格が何に由来する
のかを聞き出した。親との軋轢、仲のよかった姉との離別、
海外生活……。転機が来る度に性格が依怙地になっていった
と聞かされたいっきは、釘谷に校倉には構うなと再度警告さ
れる。

 そして、いっきたちが楽しみにしていた修学旅行がいよい
よ始まった。初日の京都市内観光のバスガイド野沢は、いっ
きたちに時の試練に負けるなとエールを送った。それを心に
刻んだいっきだった。
 修学旅行二日目の自由行動日。親友四人で神戸観光に出か
けたいっきたちは、外国人観光客のエレナや神戸港クルーズ
船に乗り合わせた小野らに出会い、その意味を考える。神戸
観光を心ゆくまで楽しんだいっきたちは、四人での再訪を心
に誓うのであった。
 修学旅行三日目も自由行動日。いっきはしのやん、かっち
ん、渋谷と四人で京都中を駆け足観光した。小さなハプニン
グ込みで自由行動を楽しんだいっきは、別行動だったしゃら
たちレディースも体験型のイベントで盛り上がったことを聞
いて安心する。
 四日目の奈良観光を無事終えて、最終日。午前中にお土産
の買い出しに出かけたいっきは、ふらりと立ち寄った道具屋
で刃の折られた秀峯二本を発見して驚く。道具屋の老人に由
来を聞いたいっきは、二本の秀峯を供養のために預かること
になった。

 修学旅行から帰った翌日、京都から宅配便で送ったお土産
が届き、家族はそれに大喜びした。いっきは、修学旅行の記
憶は褪せても、それを心の底から楽しめたことは一生忘れな
いと、充実した五日間を思い返すのだった。







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