SSブログ

二年生編 あらすじ(4) [あらすじ]

二年生編 第六十五話〜第八十三話 夏休み前半編



 夏休みが始まってすぐ。いっきは花農家の榎木にバイトを
持ちかけられ、しゃらと市工の後野を巻き込んで、それを承
けることにした。榎木は、いっきが超高校級の活動内容を誇
るアグリ部とパイプを持っていることに驚く。
 その後、いっきとしゃらはモヒカン山に遊びに行く。モヒ
カン山のてっぺんで、自分との仲が進まないことに苛立つしゃ
らを見たいっきは、以前感じた嫉妬感情のことを明かす。そ
れに喜んだしゃらが大胆な行動に出て、いっきは一抹の不安
を覚える。
 モヒカン山の反対斜面にある設楽寺を訪ねたいっきとしゃ
らは、相変わらず超マイペースの光輪さんに振り回されなが
らも、その妻(伊予田見波)が自分たちと変わらないくらい
若いことに驚く。

 翌日、榎木の農場でバイトするいっきとしゃらを出迎えた
のは後野だけではなく、アグリ部の面々と宇津木先生だった。
榎木とアグリ部メンバーとの高度なやり取り、アグリ部部員
のてきぱきした行動、そしてもてまくるしゃらを見て、強い
コンプレクスを感じるいっき。
 さらに、いっきは榎木が農大に行っている自分の娘(
に厳しい態度で自立を迫るのを目撃してショックを受ける。
榎木の家に住み込んで働いている阿部の積極姿勢への変化。
そして、阿部が尾花沢の会社で働いている山崎と付き合い始
めたことを知って、いっきの中に焦りの感情が生まれた。

 その翌日も榎木の農場で摘心のバイトをしたいっきは、榎
木に娘のことで愚痴られる。悩むというのは、自分を真剣に
考えていることの証しで、それは財産になると。実感のない
いっきだが、年はずっと上なのに子供っぽく見える榎木の娘
の姿を見て恐怖を覚える。
 現実を見据えて里村との付き合いに慎重姿勢を示した佐々
ゆずぽん)の姿にもショックを受けたいっきは、帰宅後
情けない自分の姿を秀峯にグロテスクに見せつけられ、あえ
なく沈没する。
 翌日、その恐怖に耐えられなくなったいっきは、先輩の片
桐にすがる。まじめ過ぎて飲み込んだものを消化出来てない。
それが溢れただけと指摘され、意気消沈するいっき。しかし、
校長の試験制度改革に噛み付く片桐の姿を見て、揺るがない
自分を作る重要性を認識する。

 片桐のアドバイスで少し浮上したいっきは、翌日博物館の
バイトに出かけ、上下、田崎の後任の元締めとして大学から
派遣された牧田が、その情けない姿勢を釘谷に糾弾されて追
い出されるのを目の当たりにした。釘谷は、自分の意思を誰
にでもイエスノーの形できちんと表明出来ないのは論外と、
切り捨てる。いっきはそれを、飲み込むだけで吐き出せなかっ
た自分の姿と重ねて落ち込む。
 バイトから帰宅したいっきは、自立の第一歩として清掃の
バイトに応募した天交が玉砕し、その尻拭いをのうのうと打
診してきたことに呆れる。

 天交の代わりに魚市場の清掃バイトに出かけたいっきは、
経験を活かしててきぱきと作業をこなし、清掃会社の社員さ
んに絶賛される。覚悟のない天交をどやしたいっきは、その
後博物館のバイトに向かった。
 博物館でいっきを待っていたのは上下、田崎、牧田に続く
四代目元締め、県立大マスター一年の遠藤雅美だった。明る
く、ちゃめっけたっぷりでエネルギッシュな遠藤の仕切りに、
いっきは好感を持つ。

 七月最後の日。バイトに追われていてスケジュールの合わ
なかった二人は、やっと二人だけで江ノ島に出かける。露出
度の高いしゃらの格好にどぎまぎするいっき。しかし、昼食
を食べに入った民宿で、宿の女将に無理をしてると言われ、
二人は落ち込むことになった。口から出る好きだという言葉
とは裏腹に、まだ縮まらない心の距離を意識する二人だった。

 翌日、母親がトレマホームセンターでのパートに応募した
ことに驚いたいっきは、昼食で出かけたリドルでかんちゃん
と出くわし、中沢との仲が進まないことを愚痴られる。自分
としゃらの関係に重ね合わせて落ち込むいっき。
 その後トレマの菊田からリョウの就職祝いに来ないかと誘
われ、トレマでの短いバイトをこなしたいっきとしゃらは、
菊田の家で行われた焼き肉を楽しむ。その席で、暴走族のヘッ
ドだった菊田の過去を聞かされ、花を育てるのではなく人を
育てろという指摘に考え込む。

 菊田の訓示翌日。タルボットのバイトがあるしゃらと別行
動のいっきは、博物館のバイトに出かける。片時もじっとし
ていない活動的な遠藤とは対照的に、ひたすらうろついていっ
きに付け入る隙を狙っている校倉にうんざりするいっき。そ
して、試しでトレマでのパートを始めたいっきの母親も、嫌
みな主任の態度に辟易して愚痴をこぼした。

 翌日、もう少しトライしてみるとトレマに出かけた母親を
見送ったいっきは、久しぶりに会長に会い、自分としゃらの
不安定な関係をこぼした。しゃらの露骨な働きかけに自分を
制御出来る自信がない、と。
 会長はそれにはアドバイスせず、自分の過去の家庭環境、
そして娘の自殺の真相をいっきに暴露する。会長の娘が思春
期に親に猛反発し、男にたぶらかされて体を許した挙げ句に
妊娠し、堕胎を拒んで飛び降り自殺したことを聞いて、いっ
きは唖然とする。
 会長はいっきに警告した。『獣はいつも檻の外にいる。檻
があると思うのならそれは幻想だ』と。
 パート先の主任が配置換えになって喜色満面の母親とは対
照的に、会長から重大事を聞かされたいっきの気分は晴れな
かった。母親は、そんないっきを突き放す。自分の色は自分
でしか決められない。会長は、それを知らしめるために自分
の色を先に見せただけだ、と。
 
 会長の爆弾発言を消化しきれなかったいっきのところに、
しゃらからSOSのメールが来る。エアコンのない灼熱地獄
の自室じゃ眠れない。寝かせてくれ、と。昨日のこともあっ
て腰が引けていたいっきは、自室を半日しゃらに明け渡し、
博物館のバイトに出かけた。無邪気な遠藤の行動にどぎまぎ
しながらも、仕切りをきちんとこなす遠藤の姿勢に感心する。
 バイトから帰ったいっきはしゃらと一緒に会長宅での昼食
に招かれ、あっきーと三人で会長に過去の男性経験のことを
聞かされて絶句する。しゃらとあっきーの中にあった聖母の
偶像は、木っ端みじんになった。性について、していない経
験は共有出来ないと三人を突き放す会長。

 従妹のジェニーの来日前日。会長の爆弾発言にひるんだしゃ
らは友人と遊びに出かけ、いっきは博物館でのバイトの後、
本屋に寄って会長の著書を探す。『心』がキーワードの会長
の本。しかし、いっきにはその内容が高度で理解出来なかっ
た。失意を覚えて帰宅したいっきは自分の立ち位置を失う悪
夢にうなされる。そして、しゃらも出かけた先で遊び人の男
にアプローチされて気分を害して帰って来る。

 そして、いよいよジェニーが叔母とともに来日した。引っ
込み思案で自己主張の乏しいジェニーを放って、おばたちが
さっさと旅行に出かける中、いっきは取り残されたジェニー
の扱いに苦慮する。しかし、しゃらたちの合気道や和菓子作
り体験の提案に食いつくジェニーを見て、いっきはジェニー
の姿勢がスローモーなだけで対人恐怖とは違うと気付き、自
分の拙速で雑な対応を反省する。

 翌日、しゃらとあっきーがジェニーを合気道の体験に案内
する。講師の高桑が英語でジェニーを指導するのを見て驚く
いっきたちであった。
 体験終了後、昼ご飯を食べに駅ビルに行ったいっきたちは、
しゃらに迫っていた遊び人に遭遇し、嫌な思いをする。しか
しその後出会ったアグリ部部長の藤原と昼食を共にして、楽
しい一時を過ごす。いっきは、堂々と自分のことを英語でジェ
ニーに説明する藤原の姿勢に強いコンプレクスを覚える。

 ジェニー滞在三日目。将来への不安を会長に吐露したいっ
きは、職選びは一生のことだし、好きと出来るは違うと諭さ
れる。会長の言葉がなんとなく納得しきれないいっき。
 その後寿庵での和菓子体験には、いっきがへましてプロジェ
クト全員に一色宛てのメールを流したことで、一色の他にクラ
スメートの相馬が飛び入りになった。いっきが一色を誘ったこ
とに嫉妬し、激しく怒るしゃら。
 和菓子作りの体験はジェニーにとても喜ばれ、いっきはほっ
とするが、嫉妬爆発のしゃらが収まらずに、いっきにきつい
皮肉をぶつける。険悪なムードになった二人に、ジェニーが
怯える。

 ジェニー滞在四日目。しゃらにジェニーを預けたいっきは、
しゃらとの衝突で逆立った気持ちを休めようとするが、北尾
から思わぬSOSメールが飛び込んできて、うんざりする。
北尾への対応をしゃらに説明する時、いっきは突然キレる。
過剰なジェラシーはこなせない。それが続くなら関係を友だ
ちに戻す、と。
 うろたえたしゃらがりんに泣きつき、りんがいっきに事情
説明を求めてきた。全部いっぺんに片付けようと考えたいっ
きは、りんのいる伯母宅に関係者を全員招集する。
 北尾が悩まされていたのは、無神経な沖田(愛称 寝太郎
のつきまといだった。全員の前で沖田に雷を落としたいっき
は、自分の始末くらい自分で付けろと、北尾やしゃらに苦情
を言って引っ込んだ。

 ジェニー滞在五日目。いっきはしゃらに、ジェニーだけで
なくトラブル対策で来ただけの北尾までりんに引きずり込ま
れて、キャンプ状態になったことを聞いて絶句する。しかし、
北尾の英会話能力とジェニーへの急接近に、しゃらが実力不
足を感じて気を落とす。
 レディースにみのんを加えて博物館のはしごに出かけたいっ
きたち。桂坂で校倉に遭遇した彼らは、その異様な態度に驚
く。そして、県博では部長の井森、学芸員の神村が流暢に英
語を操ってジェニーと会話を交わした。いっきは、その実力
差と自分の小ささを思い知らされる。

 ジェニー滞在六日目。母親や巴伯母、ジェニーの母親らと
ともにローダンセ美術館に出かけたいっきたち。彼らを出迎
えたのは、なんといつの間にか結婚していた橘行長糸井美
だった。二人を祝福するいっきたち。だが、行長の口から
思わぬ事実が語られた。ローダンセ美術館を維持出来ず、畳
むかもしれないと……。
 そして、結婚を急いだ理由が周囲の不理解を跳ね返すため
と聞いて、いっきとしゃらは愛情と結婚の形について考え込
む。さらに、伯母の巴は処遇が不安定な美術館の今後を案じ
て、その場で美術館の買い取りを決める。その行動力に驚く
いっきたち。

 ジェニー滞在七日目。離日前日になり、お土産を買いに街
中に出たいっきたちは、以前しゃらに迫っていた遊び人の男
に再遭遇し、絡まれて嫌な目に遭う。その窮地を救ったのは、
男のクラスメートである陵大付属の武田だった。
 無事買い出しから戻ったいっきたちは、みのんの実家の寿
司屋でジェニーとメリッサ叔母のフェアウエルパーティーに
臨む。高瀬、橘行長と糸井美郷、叔父のリックとその婚約者
丸子静流しずちゃん)、飛び入りの北尾も加わり、パー
ティーは和やかに過ぎて行く。
 行長と美郷、リックとしずちゃんの馴れ初めや裏話を聞い
たいっきたちは、それぞれにまだ障害や課題があることを意
識する。



共通テーマ:趣味・カルチャー