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二年生編 あらすじ(2) [あらすじ]

二年生編 第二十話〜第四十五話 一学期中盤編



 連休明け。欠席した三田が訳ありなことを匂わせたゆいちゃ
んは、いっきとミステリー班の面々を伴って市営住宅に見舞
いに行く。父親の再婚に伴う複雑な家庭の事情を嗅ぎ取った
いっきたちだが、深入り出来ないことを悟る。

 本格的に博物館での胃内容分析のバイトに乗り出したいっ
きは、館長の釘谷美代(くぎたに みよ)、悪魔こと校倉清
(あぜくら さやか)、県立博物館の部長である井森忠夫
(いもり ただお)らと遭遇する。元締めの上下に負けず劣
らず個性の強い面々にとまどういっき。

 休日に、いっきはしゃらをモヒカン山の裏側への探検に誘
う。モヒカン山の頂上で、好きの次を探さないと続かないと
しゃらに告げるいっき。それを聞いたしゃらが膨れる。小さ
な歪みが二人の間で顕在化し始めた。
 モヒカン山の反対側にある設楽寺を覗いた二人は、そこに
現れた住職の伊予田光輪(いよだ こうりん)に無理やり草
刈りをさせられて辟易する。しかし二人に共通した業を光輪
に見抜かれ、そろって落ち込む。

 中庭での春花から夏花への改植作業のあと、北尾のことを
調べていたしのやんが、いっき、しゃら、りんの助言を求め
る。北尾が孤立児童であったことを探り当てたしのやんは、
その彼女がなぜメリアに適応出来ていたのかを不思議がる。
 答えが出ないまま会長の家を訪ねたいっきとしゃらは、聖
メリアの理事長若槻光代から、北尾が怠業によって聖メリア
を退学させられるという衝撃の事実を知らされる。

 その後若槻は、北尾を伴ってぽんいちへの編入を沢渡校長
に打診した。立ち会ったいっきは、北尾に自発的に楽しいこ
とを探すように勧める。

 会長の出産を控えてばたつくいっきの周辺。その合間に体
育祭の種目登録があり、いっきはテニスを選択した。

 そして、いよいよ会長の出産が始まった。慌ただしく産院
に出かける会長たちと入れ替わるように、会長の義理の母で
ある津川松枝(つがわ まつえ)が工藤家を訪ねてきた。
 津川は、会長とその父が母親の心の病で苦労してきたこと、
父親の事業の失敗で会長がスナックのアルバイトで生活を支
えたことをいっきたちに話して聞かせた。運命の波に翻弄さ
れてきた会長が、それを乗り越えて今出産に臨んでいること
に、いっきは強い感動を覚えた。
 関係者全員が安産を祈る中。早朝に、会長は無事に男の子
を出産。男の子は(すすむ)と名付けられる。

 その同じ日。切羽詰まった若槻と北尾の両親が、泥人形状
態の北尾の説得に一縷の望みを託していっきの家を訪ねる。
ぽんいち校長の沢渡が、北尾の受け入れに厳しい条件を付け
たのだ。それは、自ら復学の意志を示しに来いというもの。
 若槻は必死に北尾を説得するが、北尾は無反応。それにキ
レたのは、いっきではなくあっきーだった。北尾をいきなり
引っ叩き、なんでもあるのにそれを無神経に捨てる、あんた
は贅沢だと叫んで泣くあっきー。
 そしていっきの母も、親がいつまでも涎掛けを持って子を
追い回すなと言って、北尾親子を突き放した。

 会長の出産が無事終わってほっとしたのも束の間、今度は
妹の実生が学校で男子生徒のつきまとい被害を受けているこ
とが分かり、工藤家はその対応に追われる。いっきは、かつ
てぽんいちの養護教諭だった森本にその対応を相談する。森
本は、即座に行動を起こして問題児の引き離しを実行に移し
た。安堵するいっきたち。

 いっきの案内で会長の赤ちゃんを見にいった菊田は、自身
の娘の誕生の時に会長から預かったものを返すと言って、銀
のスプーンを会長に贈った。その子が自分の力で幸運をすく
い取りに行きますように、と。

 親から見捨てられればどこにも居場所がなくなる、そう恐
れた北尾はぽんいちへの転入を校長に直訴し、北尾はいっき
のクラスに転入してきた。いっきは、構い過ぎないようにと
校長から直々に釘を刺され、それを受けて関係者に事情を明
かして慎重対応をアナウンスした。
 転校直後は意気消沈したままの北尾だったが、体育祭への
出場が義務付けられていることをいっきに告げられ、バレー
班に編入される。そしていっきは、バレー班にコスプレをそ
そのかす。うろたえる北尾。だが、ムードはお祭りに向けて
一気に盛り上がり始める。

 職業を調べる授業、テーマの題材を学芸員にしたいっきは、
その取材のために県立博物館の井森に連絡を取り、学芸員の
神村(こうむら)を紹介される。神村は中沢の大学の先輩だっ
た。
 そして博物館での公開講座の後、井森と神村が上下の公私
に渡る姿勢を批判し、二人が自らの過去や職の決定について
も厳しい目を向けていることに、いっきは強い印象を受ける。

 体育祭が近くなる中、テニス班で集まって練習に励むいっ
きたち。ペアの組み合わせや基本作戦が決まり、班の目標が
ドゥマイベストに定まる。クラスでも各班の目標が決まって、
徐々に雰囲気が盛り上がってくる。
 そんな中、プロジェクト初の共催イベントとして、体育祭
後に中庭で野点を開催することが決まった。

 体育祭目前で盛り上がる中、いっきの盟友ばんこの様子が
おかしいことに気付いたいっきは、急きょミステリー班(
のやん
さとちゃん
)を召集。ばんこから衝撃的な事実を告
げられる。母親を食い物にしている男から、学校を止めて働
けと言われていると。
 学生には手に負えないと判断したいっきたちは五条にレス
キューを依頼。五条はばんこの家からちんぴらを叩き出すが、
ばんこの母親の精神的ダメージが大きく、入院治療を要する
状態だった。突如孤立したばんこに、伯母(土屋 巴)の家
での同居を提案するいっき。りんが親身に相談に乗る姿を見
て、いっきはほっとする。

 そして。テーマでの発表。テニス班の練習をきっかけに棋
士への道を自ら閉ざして医師を目指す決意を固めた天交
ジャーナリストを目指す佐倉、保育士を目指すばんこらのき
りっとした姿に強いコンプレクスを感じるいっき。しかし斉
藤は、むしろそうした姿勢の方が脆いのだと警告を発した。
近くと遠くを両方見ろ、と。

 伯母の巴の助力があってばんこの事態が落ち着き、いっき
はほっとする。しかし、事情を知らないしゃらが嫉妬に狂っ
ていっきを容赦なく吊るし上げる。
 うんざりしながらもフォローのためにしゃらの家に出向く
いっき。しゃらは、久しぶりに二人きりの時間が持てたこと
で機嫌を直す。いっきは、従妹のジェニーが来日するかもし
れないことをしゃらに予告する。しゃらは、いっきに外国人
が扱えるはずがないと、珍しく妬かなかった。

 しゃらのジェラシーをかわしてほっと一息だったいっきだ
が、今度は親友のかっちんが新しいクラスになじめず、なっ
との仲も進展しないことでへたってしまい、いっきに倒れ
かかってきた。ガッツがあるのにそれを活かせないかっちん
の姿を見て、イライラを募らせるいっき。バイト先で続く
のちょっかいが、余計うっとうしく感じるようになる。

 そして、体育祭が始まる。いろいろなごたごたは引きずら
ずにきっぱり楽しもうとするいっきは、テニス班の試合で闘
志剥き出しで勝ちに行き、死闘を戦い抜いて、クラスの球技
班では唯一決勝に進出した。そして決勝。私情を交えず冷徹
に勝ちにこだわったいっきの姿勢は、新旧のクラスメートた
ちに鮮烈な印象を残した。
 体育祭では、コスプレバレー班のお笑いに北尾さんがはまっ
ていたこと、佐倉が天交とのペアで勝ち切れなかった悔しさ
を隠さなかったこと、昨年体育祭がきっかけで付き合いだし
たかつての旧友カップルが壊れていたことなどがいっきの印
象に残った。
 いっきが自らに課したこと。それをやり遂げた満足感を胸
に、体育祭は幕を閉じた。

 体育祭が終わってすぐ。今度はプロジェクトの共催行事と
して、中庭での野点の舞台設営が行われた。弱小部のあり方
を通して部活の意味を一段深く考え始めるいっき。
 バイト帰りにしゃらの家に寄ろうとしたいっきは、しゃら
の部屋に男の気配を感じて初めて強いジェラシーを覚え、そ
れが解消しないまま電話をかけてきたしのやんにぶっきらぼ
うな応対をする。それを思いがけず当てこすられて、いっき
はべっこりへこむ。

 翌日、しゃらの部屋にいたのがかっちんだと判明してもいっ
きはすっきりせず、いらいらが募っていた。その態度をりん
からも指摘され、いっきはひどく落ち込む。
 その後気晴らしに出向いた設楽寺で、いっきは住職の光輪
に荒れ狂っていた過去を聞かされる。穏やかな今の姿との
ギャップにとまどういっきに、光輪は言い放った。俺は石だ。
どんなに尖っていても、誰かが手に取らない限り何もしない。
出来ない、と。
 家に帰ったいっきはしゃらに、自分は今精神的に余裕がな
いと吐露して理解を求めた。

 しのやんにも精神疲労の現状を訴え、どよっていたいっき
とは対照的に、体育祭を乗り切った北尾が思い切った行動に
出た。いっきの主催するプロジェクトに参加を申し込んだの
だ。快諾したいっきは、夏休みに北尾と同じひっきーの従妹
ジェニーが来日するかもしれないことを、みのんと北尾に告
げる。

 そして、中庭で茶華道部とプロジェクトの共催の野点が行
われ、校長、教頭の飛び入り参加もあって、成功裏に終わる。
久しぶりに、すっきりと満足感に浸ったいっきだった。

 



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